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18 悪くないかもしれない。

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 ゼィゼィゼィ。
 ハァハァハァハァ。

「ちょっ――、ちょっとっ」
 ぐったりしぼんだムスコから手をはなし、ベッドのへりにしがみついて息を弾ませる。達成感と爽快感と疲労感でいっぱいだ。いつもなら、オナニーでイったらこれで終わりなんだけど――。

 でも幽霊はまだ俺の胸をまさぐりつづけ、お尻をズコズコやっていた。ちょっと休みたい。それにイったばかりで敏感になっている胸を触られるのはつらすぎる。

「まってっ、ちょっと……ハァ、ハァ、まっ、てっ、てっ! 胸っ、痛いっ痛いっ、ゼィ、ハァ、……くすぐったいぃぃっっ、はぁはぁはぁ、ああんっ……やんっ」

 お尻はズンズン攻められていて、蕩けそうなほど気持ちよくて。なのに胸が不快で集中できないじゃないかっ。俺は息も絶え絶えに、「触んないで」と、掴めない幽霊の手を振り払おうとやっきになった。

(キィィィッ、掴めないっっ!)
「手ぇ放せってっ、ちょっとっ、……休ませてっ。あぁ、はぁ。ああんっ。……しんどいっ、息っ、できないっ、酸素っ、酸素っ! あんっ、あんっ」
 
(く、苦しいっ。落着いて呼吸がしたぁいぃぃっ。どエロ幽霊のばかっ!)
「胸、ストップ! やめてっ!」

 懸命に訴えているのに、まったく聞きいれようとしないバカ幽霊に、俺はついにキレた。
「死んじゃうっ、死んじゃうっ!……――おっ、俺まで幽霊になっちゃうじゃないかっ‼」
 思った以上に大きな声がでて自分自身でもびっくりしたが、やっと幽霊の動きがぴたりと止んだ。

「はぁはぁはぁ……」
(よかった。やっとおとなしくなってくれた……。お父さんとお母さんが起きてこなければいいんだけど)
 俺は呼吸を整えながら、階下に耳をすませた。家のなかはしんとしていた。

「はぁはぁはぁ……ぅうんつ」
 もじもじもじ。

「はぁはぁはぁ……、はぅんっ」
 もじもじもじもじ。

 内腿をこすりあわせお尻をくねらせる俺の下着のなかから、ヌチャ、ネチャとねばっこい水音がしている。しかもあそこが気持ちよくてぎゅんぎゅんするので、腰はときおりひきつけている。

 ひりつく乳首を防御するように両手で押さえつけた俺は、苛立ちながらシーツに額をこすりつけた。クッソ。だから幽霊なんか、大嫌いなんだ。

 幽霊って恨みつらみのかたまりって云うけど、生前本当にロクな人生送ってこなかったんだ。いや、人生って云ったら語弊がある。云いなおそう。ロクな人間じゃなかったんだ!

 きっと我儘で欲が深くて鈍くてズルくて……、そんでもって自分は正しいのに世間が冷たいって逆恨みすぎて成仏し損ねて。死んでまでもひとに迷惑かけて――。

 云ってやる。世間が悪いんじゃない、てめぇが最低なんだっ! もっと他人の話を聞けっ、もっと他人の気持ちをよめっ! 他人を労われ! 

「バカバカバカッ! 俺は胸を触るなって云ったんだっ! だれがお尻つくのやめろって云ったよ! はやくっ、はやく、動けぇぇっ!」

 癇癪を起した俺がお尻を揺すりながら叫ぶと、しずしずとまた身体のなかにナニかがはいってくる感覚がした。

(やっときた…‥)
 ズプズプと遠慮ぎみに挿ってきたソレに、背筋にそってぞわりと肌がそそける。
 背中を反らした俺の鼻から「……はぁんっ」と甘ったれた声が抜けていった。うん、うん。はぁ、気持ちいい――……。

 それから俺は、
「うん、うん、あん、ああんっ」
「ああん、ああんっ、ああんっ」
「イっちゃうっ、イっちゃうっ、もぅイっちゃぅぅっ」

 自分で股間を揉みしだきながら幽霊にいっぱい後ろを気持ちよくしてもらい、心ゆくまでたのしんだ。そしてこの夜、怖い顔や血みどろの姿さえ見えなければ幽霊とするエッチは最高だと俺は思った。



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