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『コロコロかわる』 3
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「……仕方ないか、多少なら教えてやれるからちゃんと勉強しろよな」
「まじで! 助かった~」
俺はやれやれと思いながら苦笑した。ふと、俺は窓の外に目を向けた。昨夜のように降ってくる雪はもうなく、その代わりにどす暗い雲が空に漂っていた。窓から遠くを見ても影が分からないほど、夜の帳が下りきっていた。
「明日は雨かな……」
「雨……てことは登校時間遅くて良いじゃん!」
そう、俺達が通っている学校がある地区は滅多に雨が降らない。そのため登校は1時間遅れの登校で良いという。なんて優しい世界なんだ!
「よし、ゲームしようz……」
「その前に勉強な?」
カイが甘えたことを言おうとしていたので、俺は思わずカイの口を手の平で塞ぎ、顔を近づけて勉強という名の圧をかけしまった。
カイが何やらもごもご言っているが聞こえないので反発的に
「聞こえないなぁ?」
と言ってしまった。俺はこのとき全く気づいていなかった。カイの口を俺が塞いでいて声が聞こえないことを。
「……あぁんと、えんきょうしゆるから……」
カイの声がくぐもっていて全く聞き取れない。俺は「ちゃんとハッキリ言えよ」と思っていた。そして俺はやっと気づいた。
「あ、」
俺はようやくカイの口を俺の右手で塞いでしまっていることに気がつき、口から除けた。
やっと言葉が使えるようになったカイは
「……っぷはーー! 死ぬかと思った……」
「すまん」
俺は精一杯謝罪の意を込めて一言、謝った。
「いいよ、別に。というか俺が悪いんだし……?」
なぜか語尾が曖昧になっている。だが俺には理由が分かるぞ、それは
「なぁ、俺なにも悪くなくないか?」
「……うん」
悪いのは全部俺だ。と言うか普通、相手の口を自ら塞いでおいて忘れるバカがいるだろうか、いやいない。
両者無言の時間が過ぎた。しびれを切らしたのかカイが
「……よし、寝るか」
「だn……」
だな。と言いかけて俺は踏みとどまった。あわよくカイの策略にハマるところだった。
「さて、寝るまでまだ時間もあるし、勉強をしようか」
「ひぇ?」
この後俺達は寝るまでの2時間、たっぷりと勉強をした。カイが途中寝そうになっていたり、トイレに引き籠もろうとしたりで大変だったがなんとか勉強を続けられた。
【翌朝】
俺はいつも通り目覚めた。カイを見るとまだ寝ていたので、起こさないように布団から出て、窓の外を見た。空は灰色の雲に覆われおり、サーっと静かな雨が窓を曇らせていた。
視線を上から下に、地面に向けると、カラフルな円が幾つも見えた。登校時間にはまだ早いので、おそらく職員さんか先生だろう。
俺は再び空へ視線を戻す。部屋から、それも閉じきっている窓から見ているだけでは物足りないと思い、雨が入り込んでくるにも関わらず窓の取っ手を両手で持ち、押して開けた。
サーー
窓を開けたことにより雨音が強まった。
どうやら風も吹いていたようで、窓の縁は木材で出来ているのだが水が染みこみ、少し色が濃くなっていた。
(……久々だな。こういうの)
俺は少し感慨に耽っていた。
実のところを言うと、今年に入ってから雨が降ったのはこれが初めてになる。
普段は雪ばかりなのでこうして『雨』を眺めるのも久々だなと、一人、ほんわかしてしまっていた。
俺は一度窓の前から離れ、木製の椅子を勉強机から抜き出して再び窓の前へ椅子を持って行った。
……カタ
椅子を地に着けたときに、木特有の木音が鳴ってしまったがかなり小さな音だったのでカイを起こさずに済んだ。
(うん……こうして椅子に座って眺めるのも悪くないな)
このまま時間が……ともなることはなく、その人の意思とは無関係にただただ時間は一方的に過ぎていく。時間の摂理とはここまでも人に無関心なものなのか。
コロコロかわる 4へ続く……
「まじで! 助かった~」
俺はやれやれと思いながら苦笑した。ふと、俺は窓の外に目を向けた。昨夜のように降ってくる雪はもうなく、その代わりにどす暗い雲が空に漂っていた。窓から遠くを見ても影が分からないほど、夜の帳が下りきっていた。
「明日は雨かな……」
「雨……てことは登校時間遅くて良いじゃん!」
そう、俺達が通っている学校がある地区は滅多に雨が降らない。そのため登校は1時間遅れの登校で良いという。なんて優しい世界なんだ!
「よし、ゲームしようz……」
「その前に勉強な?」
カイが甘えたことを言おうとしていたので、俺は思わずカイの口を手の平で塞ぎ、顔を近づけて勉強という名の圧をかけしまった。
カイが何やらもごもご言っているが聞こえないので反発的に
「聞こえないなぁ?」
と言ってしまった。俺はこのとき全く気づいていなかった。カイの口を俺が塞いでいて声が聞こえないことを。
「……あぁんと、えんきょうしゆるから……」
カイの声がくぐもっていて全く聞き取れない。俺は「ちゃんとハッキリ言えよ」と思っていた。そして俺はやっと気づいた。
「あ、」
俺はようやくカイの口を俺の右手で塞いでしまっていることに気がつき、口から除けた。
やっと言葉が使えるようになったカイは
「……っぷはーー! 死ぬかと思った……」
「すまん」
俺は精一杯謝罪の意を込めて一言、謝った。
「いいよ、別に。というか俺が悪いんだし……?」
なぜか語尾が曖昧になっている。だが俺には理由が分かるぞ、それは
「なぁ、俺なにも悪くなくないか?」
「……うん」
悪いのは全部俺だ。と言うか普通、相手の口を自ら塞いでおいて忘れるバカがいるだろうか、いやいない。
両者無言の時間が過ぎた。しびれを切らしたのかカイが
「……よし、寝るか」
「だn……」
だな。と言いかけて俺は踏みとどまった。あわよくカイの策略にハマるところだった。
「さて、寝るまでまだ時間もあるし、勉強をしようか」
「ひぇ?」
この後俺達は寝るまでの2時間、たっぷりと勉強をした。カイが途中寝そうになっていたり、トイレに引き籠もろうとしたりで大変だったがなんとか勉強を続けられた。
【翌朝】
俺はいつも通り目覚めた。カイを見るとまだ寝ていたので、起こさないように布団から出て、窓の外を見た。空は灰色の雲に覆われおり、サーっと静かな雨が窓を曇らせていた。
視線を上から下に、地面に向けると、カラフルな円が幾つも見えた。登校時間にはまだ早いので、おそらく職員さんか先生だろう。
俺は再び空へ視線を戻す。部屋から、それも閉じきっている窓から見ているだけでは物足りないと思い、雨が入り込んでくるにも関わらず窓の取っ手を両手で持ち、押して開けた。
サーー
窓を開けたことにより雨音が強まった。
どうやら風も吹いていたようで、窓の縁は木材で出来ているのだが水が染みこみ、少し色が濃くなっていた。
(……久々だな。こういうの)
俺は少し感慨に耽っていた。
実のところを言うと、今年に入ってから雨が降ったのはこれが初めてになる。
普段は雪ばかりなのでこうして『雨』を眺めるのも久々だなと、一人、ほんわかしてしまっていた。
俺は一度窓の前から離れ、木製の椅子を勉強机から抜き出して再び窓の前へ椅子を持って行った。
……カタ
椅子を地に着けたときに、木特有の木音が鳴ってしまったがかなり小さな音だったのでカイを起こさずに済んだ。
(うん……こうして椅子に座って眺めるのも悪くないな)
このまま時間が……ともなることはなく、その人の意思とは無関係にただただ時間は一方的に過ぎていく。時間の摂理とはここまでも人に無関心なものなのか。
コロコロかわる 4へ続く……
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