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『ハナコトバ』
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お題 背中 逃げる 花
題『ハナコトバ』
ひとつ。ふたつ。みっつ……。
夜中に妙な声が聞こえた。数を数えているかのような、不気味な声が。
私は逃げていた。その不気味な生物から、その生物は物凄い勢いで私を追いかけてくる。今にも咲き誇れそうなくらい……。
やっつ、ここのつ、とう……。まだ、足りない。
私は住宅街を駆け回る。辺りは真っ暗、街灯もほとんど機能していない。ただ私の走る音だけが聞こえる。
ふと何かが私の前を通り過ぎた。それは突然急停止し、私の方を見ていた……いや、正確には私に背を向けて立っていた。
私はその人に助けを求めようと声を掛けようとした。が話しかけるよりも早く、一瞬にしてその人は花びらに変わってしまった。その花は『ユリ』だった。辺りが暗くて色まではよく分からないけど、恐らく“クロ色”だと思う。
ねぇ? どこにあるの? タリナイ、タリナイ……
私は当てもなくただ走り回り無我夢中で逃げ続けた。逃げながら私は頭も回転させ続け、友人の家に泊めさせて貰おうと言う結論になり、路地裏や細道などを通って出来るだけショートカットをしつつ友人の家へ直行した。
ねえ? まって タリナイノ、ドコ ドコニアルノ?
声はまだ聞こえる。何かを探しているようだが私は知らない、いえ知りたくもない。あんな物を見てしまってからではもう遅いのだから。
ねええぇぇぇええ!!! まってよ! アト、アトスコシナノォォォ
そう叫びながら走るスピードが速くなった。もはや人間が出せるスピードではない、車いやバイク並だ。逃げる。逃げる。私は逃げ続ける。誰も、来ない、場所まで……
アナタで最後……アリ、ダララダトウ
目の前には友人の家。私は助かったのだと思い、家のチャイムを数回連打した。二階の電気がついているので恐らくまだ押しているだろうと思い、擦るようにピンポンを鳴らし続けた。
アハ、ハハァハハァァハハ!!
追いつかれた。
玄関に“居る”私は後ろは見ずにそう判断した。
ドアが突然開いた。私は勢いよく何も考えずそのまま勢いよく開けた。
みぃーつけた。――もうアナタにヨウハナイ
――そこで私は、気を失った。
これは後に聞いた話なのだが、『百合』の花言葉「純潔、威厳」らしいが……『“クロ”ユリ』の花言葉は「恋、“呪い”」だそうだ……
題『ハナコトバ』
ひとつ。ふたつ。みっつ……。
夜中に妙な声が聞こえた。数を数えているかのような、不気味な声が。
私は逃げていた。その不気味な生物から、その生物は物凄い勢いで私を追いかけてくる。今にも咲き誇れそうなくらい……。
やっつ、ここのつ、とう……。まだ、足りない。
私は住宅街を駆け回る。辺りは真っ暗、街灯もほとんど機能していない。ただ私の走る音だけが聞こえる。
ふと何かが私の前を通り過ぎた。それは突然急停止し、私の方を見ていた……いや、正確には私に背を向けて立っていた。
私はその人に助けを求めようと声を掛けようとした。が話しかけるよりも早く、一瞬にしてその人は花びらに変わってしまった。その花は『ユリ』だった。辺りが暗くて色まではよく分からないけど、恐らく“クロ色”だと思う。
ねぇ? どこにあるの? タリナイ、タリナイ……
私は当てもなくただ走り回り無我夢中で逃げ続けた。逃げながら私は頭も回転させ続け、友人の家に泊めさせて貰おうと言う結論になり、路地裏や細道などを通って出来るだけショートカットをしつつ友人の家へ直行した。
ねえ? まって タリナイノ、ドコ ドコニアルノ?
声はまだ聞こえる。何かを探しているようだが私は知らない、いえ知りたくもない。あんな物を見てしまってからではもう遅いのだから。
ねええぇぇぇええ!!! まってよ! アト、アトスコシナノォォォ
そう叫びながら走るスピードが速くなった。もはや人間が出せるスピードではない、車いやバイク並だ。逃げる。逃げる。私は逃げ続ける。誰も、来ない、場所まで……
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アハ、ハハァハハァァハハ!!
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玄関に“居る”私は後ろは見ずにそう判断した。
ドアが突然開いた。私は勢いよく何も考えずそのまま勢いよく開けた。
みぃーつけた。――もうアナタにヨウハナイ
――そこで私は、気を失った。
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