私の日常

林原なぎさ

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過去のお話 -夫婦編-

報告会

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入籍してから2週間。


秀一さんが手続きを済ませ、いつの間にか購入していた新築のマンション。

引っ越しする際に、私の荷物など全て秀一さんが運んでくださった。


つわりは日によって波が有り、最近は結構しんどい方だ。


そんな私の様子から母は早く産休を取った方がいいと勧められ、私もそうした方が良いかも…と。

近々産休に入る手続きをオーナーである智秋さんにして頂いている。


職場でもお祝いされ、かほりは'身体を大切に!健康第一だからね!'と体調面も気を遣ってくれた。


秀一さんからは専業主婦になっていい、と言われたが、考えていないので曖昧な返事をした。

一度'専業主婦にはならないかな'と言った時、何故か秀一さんは渋い表情かおを見せたので、はっきり言葉に出すのは憚れる。



つわりはまだ酷いものの、今日は体調が良く友人を招いてもいいと許可を頂いた事で、愛歌と湊音を招く。




「おめでとう。こうなると思ってたけど。」


「おめでとう!こうなるって分かってたけど!」


「…ありがとう。」



湊音と愛歌は祝福こそしてくれるが、反応はまぁそうだよね、と驚いた様子はない。

むしろ、当然と云った態度だ。


「全部の思惑通りよね。」


「西園寺先輩だしねぇ。あ、歩も'西園寺'さんだね。あはは!」


愛歌は楽しそうに笑う。


「そうだ!仕事はどうするの?」


「産休と育休取って、辞めるつもりは無いよ。」


「西園寺先輩、よく許してくれたね。専業主婦になれって言うと思った。」


顎に手をあてながら、当たらずも遠からずの秀一さんの胸中を答える愛歌に流石だと感心する。



「それよりこれ。私と愛歌から。」


湊音はぶつぶつ独り言を言う愛歌を無視して、私の前にラッピングされた紙袋をスッと差し出した。



「あ~!一緒に渡そうって言ったのに!湊音のバカ!」


「気にいるか分からないけど。」


「ちょっと!?」


なぜ!と大きな声を出す愛歌を無視し続け湊音は気にする素振りも無く、私に中身を見るよう促す。



可愛らしいウサ耳付きフードパジャマ、クマの形をした前掛けとラトル。

ベビーギフトセットだ。


産まれてくる赤ちゃんに…とふたりからのプレゼントで、その気持ちに嬉しくなった。


「ありがとう。」


「どういたしまして。」


「あ、あとこれも!」


愛歌から手渡されたのは'安産祈願'と書かれたお守りだ。


入籍しただけに限らず、これから産まれてくる赤ちゃんの事にもお祝いしてくれた。

その事実にやっぱり私は心が温かくなり、ふたりと友人で良かったと感じた。



「で、女の子なの?男の子なの?」


「んーまだ正確には判らないんだって。」


「そうなの?」


「うん。でも性別は聞かないつもりなんだ。」



そうなの?と再び聞き意外そうな顔をする愛歌と湊音に答える。

まだ子どもの性別は判らないがふたりに答えた通り、性別は聞かず楽しみにとって置く事にしたのだ。

秀一さんからも'歩の好きにして良い'と言ってもらえたので、お言葉に甘えさせて頂いている。



「じゃあまだまだ楽しみだね。」


「うん。」



体調も良好。

友人ふたりにお祝いされ、今日はとても良い日だと感じた。





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