私の日常

林原なぎさ

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過去のお話 -日常編-

6ヶ月

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「成る程。じゃあ愛歌が悪いわね。」


「えぇ。なんで?」


「歩をその先輩に任せて、自分は大好きな先輩に夢中になるなんて。」


最悪よ。

にっこり笑って言い切る彼女は吉川よしかわ湊音みなと

高校からの付き合いで、現在は医学部に通う友人だ。

名前の響きだけで男の子とよく勘違いされるが、彼女はかなりの美人さんで、れっきとした女性だ。

そして湊音は昔から、かなり達観していて現実主義者。

加えて毒舌だが、間違った事を口にするタイプではない。


そんな湊音に詰め寄られ愛歌は、どうして私のせい!?と叫んでいる。



ことの始まりは2時間前。


今は各々違う大学・専門学校に進んだが高校で一緒になった湊音と中学から一緒の愛歌と私は結構仲良しで。

予定の合いそうな日には集まって、近況報告がてらショッピングやご飯を食べに行く。

そして例に漏れず、本日もたこパ(たこ焼きパーティー)をしようと愛歌からの提案で一人暮らししている私の部屋まで集まった。

ちなみに、たこパ用の鉄板は、一人暮らしが決定した際に愛歌からプレゼントされた。



材料を買い込んでうちに来た愛歌と湊音を迎え入れる。

そして季節は冬。

ハイネックのセーターを着て参加していた私が悪かったのだが、たこ焼きソースが溢れセーターにべっとり着いてしまった。


「上着変えてくるね。」


「はーい。」


ハイネックセーターから首元の見えるニットに。

この時、あった服をそのまま着た事で気付いていなかった。

所謂、キスマークがある首元を晒した事を。

何でこんな痕が出来るんだろう?と当時の私は知らなかったのだ。




私はそのままふたりの元へ。

元いた位置に座ると、ふたりから凝視される。


…何事でしょう?



「歩、彼氏いたの!?聞いてないよ!」


「え?」


いきなり私に詰め寄り興奮した状態の愛歌に何事だと疑問に思う。

そんな私に気付いた様子の湊音から。


「キスマーク。首元のそれ。」


首元を指差しながら教えてくれる。

慌てて鏡を確認する。

えぇ…。これってキスマークなの?


これって何だろう?と疑問に思っていたが、これが噂の…と初めて知る。

相手は秀一さんしか思い浮かばず、えっちなコトを思い出して恥ずかしくなった。


「さっき寝室入った時も疑問に思ったのよね。コンドームあるし。」


「歯ブラシ2本あったのも彼氏の分な訳!?」


私、聞いてないよぉー!と興奮した愛歌に責められ?

にっこり笑顔で、吐け、と無言の圧力を掛けてくる湊音に負けた私は一通り説明することに。


そして冒頭の台詞に戻る。



「てか西園寺先輩にハジメテ奪われちゃったってコトでしょう?」


「えっと…。うん…。」


「歩の反応から見て、無理矢理って感じでもなさそうだし…。」


「当たり前でしょう。西園寺先輩だよ?」


「愛歌は黙ってて。話がややこしくなる。」


ぴしゃりと言われて愛歌は大人しく、はーいと返事する。


「でも、嫌ならちゃんと相手に言った方がいいからね。言いにくいなら代わりに言うし。」


湊音は私を心配して気を遣ってくれる。



「うん。ありがとう。」


何かあれば友人に頼ろうと思い、何だか胸が暖かくなった。


「で!西園寺先輩とはまだ会ってるって事だよね?スゴイよ!」


湊音との間に流れる空気をぶち壊し割入ってくる愛歌に再び湊音が喝を入れる。


うーん。愛歌との関係をどうしよう?

一瞬考えた私はきっと悪くない筈だ。



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