私の日常-それぞれの-

林原なぎさ

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宮園から見たお話

簡単な方法

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秀一から連絡を貰い、イトコ含む警察官を引き連れて向かった先はもちろん、歩ちゃんの住まうマンション。


放心状態の男は、間違いなく歩ちゃんにストーカー行為を働いていた男だ。

刺してやろうと思っていた秀一に返り討ちに遭ったからなのか、目の前で秀一に抱き着く歩ちゃんにショックを受けたのかは判らないが、男はもうおとなしい。


張り合いの無いヤツだなぁ。


「張り合い無いなぁ。これから面白くなると思ったのにさぁ。」


隣に立つイトコも同じ気持ちの様で、さくっと男の身柄を確保し。


じゃあ、コイツ連れてくわ。

あ、証拠になるようなもんはまた提出で。


軽い調子で終わりを迎えた。


歩ちゃんに連絡先を渡した男を刺した事、歩ちゃんへの数々の贈り物は秀一が保管していた事、襲おうとした事、秀一を刺そうとした事。

全て言い逃れのできない証拠がある事から、ストーカー男の罪は重くなるだろう、とイトコから伝えられた。


秀一は満足していないだろう…と思っていたが、歩ちゃん本人が無事だったのだ。

それだけでアイツは良いらしい。


意外だと思ったが、あのストーカーが刑務所から出た際の就職先は海外にするという…何とも秀一らしいやり方に納得した。


そして、歩ちゃんに関するストーカー事件は幕を下ろした。





そしてあの事件から2週間。

会社で仕事をこなす秀一は普通だが、休憩中や書類を睨みつける様な、ふとした時。

何故か機嫌がすこぶる悪い、と。



その原因はどうやら歩ちゃんにあるらしい。


歩ちゃんが自分に黙って引っ越しを先に済ませた事や自分に必要以上に甘えてくれない所か普段と変わらない様子の彼女に納得がいかない様子だ。


…これはあれだな。


要は拗ねているのだ。

大事な歩ちゃんに、また何かしらのコトがあっては心配な秀一は彼女を手元に置きたいのだ。

出来れば、誰の目にもつかないような所に。



そこではっとなった俺は秀一にこんな提案を出してみた。


「簡単な方法があるぞ?」


自分でも自覚する程に口角が上がる。

秀一も何だ?と聞く姿勢を変えない。


「妊娠させちゃえばいいんだよ。歩ちゃんをお嫁さんに出来るだろう?」


「…妊娠の必要は?」


成る程、と納得の様子の一方、妊娠の必要性に疑問を感じる様だ。

しかし妊娠はかなり重要だ。


あの歩ちゃんにプロポーズした所で。


「まさか。」


笑って冗談に済まされるだろう。

しかし本気だと理解されても。


「じゃあまだまだ先ですね。」


これ又軽く先延ばし発言をするに決まっている。


だからこそ妊娠の必要があるのだ。


歩ちゃんなら間違いなく生む。

秀一との子どもだって嬉しいに決まっている。


そうなれば結婚はスムーズにに進むし、一時的だが仕事も休んでくれる。

そうなれば彼女との時間も一気に増える。


子どもさえいれば、歩ちゃんから'離婚'の二文字も無い。

歩ちゃん以外目にも入らない秀一が浮気する筈も無い。


これで一生、彼女の側にいれるのだ。

こんな話は無い。



一方的に喋る俺の話を珍しく真剣に聞いていた秀一は、自分の中で簡単に答えは見つかった様だ。





この話はから半年もしない内に、秀一は愛しの歩ちゃんを嫁に貰う事になる。



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