異世界でゆるゆる生活を満喫す

葉月ゆな

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【リーンハルト:10歳】

第326話 雛たちの引っ越し

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2日後、ダミアンとロゼッタは王都に向かい、その際にクリス兄様たちへのお土産(大判焼き3種類(赤あん、白あん、抹茶あん)とプチ麦料理)を持たせることができたのでよかった。

そして石工房から暖かい石が板状になって戻ってきた。

サイズ外で板状にも出来なかったものは砂利にしてもらっている。


計算すると60人分の石板があった。

新街用に50人分、残りの10人分の石板とサイズ外の石板と砂利をもってヴァーシュの砦に向かう。

今回ココットの雛も一緒に連れてきている。

7匹とも自力で食べられるようになったし、体を覆う毛も生えてふわふわな羽毛になっているし、寒くなる前に連れてきた方がいいだろうという判断だ。


雛を騎士に引き渡す際にジョルジュが少し寂しそうな顔をした。

2週間近く面倒をみたので愛情が沸いたのだろう。

しかし寂しそうな顔をほんの一瞬だけなので気が付いた人は少ないと思う。


ヴァーシュの砦に着くと小屋はすでに出来上がっていて、ドドリンの木も順調に成長していた。

私がこれから水魔法で水を撒けば実がつくだろう。

あとはバレーボールぐらいの大きな実の種を取り出して砦周辺に植えるつもりだ。

この大きな実についてマイヤーたちや父上に確認したけれど、誰も知らなかった。

名前を知りたいが図書館で調べる時間がない。

名前がないのは本当に不便だ。


砦につき先に雛をベイルさん一家に引き渡す。

抱っこバックの中にバックのサイズに合わせて作った藁の籠の中に雛はいて、少しは揺れを軽減出来ていると思いたい。

マリア作製の保育器と卵孵化器も渡す。

保育器に7匹は移し替え、餌と水を保育器の中に入れて小屋の内部が完成するまでの仮住居は完了だ。


ベイルさん一家はココットの雛を興味深く見ている。

特にベイルさんの妹さんは触りたそうにしていた。

まぁ、毛が生えてきてヒヨコにそっくりだから可愛いいのはわかる。


これが狂暴になるココットだとは思わないよねー。

ベイルさん以外雛の面倒をみられても、子供ココットは大丈夫かなと心配な面もある。

樹海の洞窟にいた子供ココットは、ココットの女王がしっかり管理していたから私に飛び掛かってくるものはいなかった。

育ててみないとわからない面もあるから気をつけながら飼育してもらいたい。


飼育方法を説明してから、小屋へ行くと小屋は完成していた。

小屋の中は全体の1/4と3/4の2つに仕切られていて、内側にも板を打ちつけた2重板だから冬でも隙間風は入らないと思う。

1/4は雛のスペースで、3/4が子供ココットのスペースだ。

そして地面は温泉が流れていて湯気が小屋の中を充満している。



まずは小屋全体に暖かい板を敷き詰め土を掛ける。

それから雛の部屋になるスペースで壁から20cm離したところに暖かい石板を高さ70cmぐらいになるまで埋め込込み囲った。

壁一面に貼らなくても温泉熱で地面が暖かいと思うから取り外し可能で試してみたい。

後は中心から50cm離れた4隅に竹を打ち込み、上に布を被せて薄暗い場所を作る。

布は竹にくくれるようにロザリーナに布の4隅に紐を縫い付けてもらっていて取り外し可能にした。

でないと掃除がしにくいと思ったからだ。


あとはベイルさん一家が飼育しやすいように改善していってくれればいい。

今度は小屋の外に出てバレーボールぐらいの大きな実の木の種をドドリンの木の左右に5つずつ等間隔に植えていく。

植え終わったら、ドドリンの木と一緒に水魔法で水やりをして本日の作業は終了だ。

両手を組んで頭の上で伸びをして「あー、終わった」

「まだです」とつかさずマイヤーが突っ込んできた。


「何があるの。目途立ったよね」

「温室から運んだドドリンの木はどうするのです」

忘れていました。


大きくなり過ぎたドドリンの木の枝を一度だけトムさんに剪定してもらったけれど、翌日には元に戻っていたため大きいままなのだ。

砦内だと場所をとるから砦の外か。

今日も十分働いたし、仕事が終わった気分だから明日にしよう。


翌日、ベイルさんと一緒に砦の外にいる。

ドドリンの木は樹海側に植えるが、ココットの小屋からは離れたところに植えることになった。

ベイルさんから、ドドリンの木をつたって砦に侵入されたくないと言われたからだ。

ヴァーシュ側ならばヴァーシュが運動できるからいいよって言ってくれていたし・・・・いいか。

そのことを話したらベイルさんが苦笑いしていた。


目的地に着いたのでハミルトンとカムエラにドドリンを植えるため土魔法で穴を掘る。

最近2人に人使い荒いですと愚痴らしきことをいわれたが、気にしない。

土魔法がたくさん使えていいではないですか。


穴が掘れたのでマイヤーにマジックバックからドドリンの木を出してもらい穴の中に入れる。

「これはりっぱなドドリンの木ですね。樹海から持ってきたのですか?」

「・・・・そうね」

本当のことは言えないので嘘にはなるが同意しておく。

マイヤーたちは笑いをこらえている。


「枝を支柱で支えたほうがよさそうです」

「任せるよ」

砦内のドドリンの実がなるまでは、このドドリンの実が活躍するだろう。

あと冬になって採れない可能性もあるから、今実っているものをすべて採ってしまってもいいと思う。


「小屋に移った雛はご飯をしっかり食べている?」

「はい、今朝しっかり食べていました」

環境が変わっても大丈夫そうだ。

ペレの飼育を頼んでいるシナーナ村でも渡した観察記録を書くことをお願いして帰った。
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