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【リーンハルト:8歳】
第159話 お引越し
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ヴァーシュは人が多いのを嫌うので、朝早く屋敷を出て移動する。
領都から出ればヴァーシュも落ち着くだろう。
ベイルさん一家は、ベイルさんの両親に妹2人に弟1人の4人兄弟の6人家族だった。
ベイルさんの父親は、村で農業を主にしていたが、家族で生活するのがやっとの収入のため、ベイルさんが冒険者になって家計を助けていたそうだ。
村の家と畑はベイルさんの妹が結婚したので妹夫婦に任せて、家族5人で砦の生活になるらしい。
今回ベイルさんから周囲に隣人はいないが、新築の家付で小さな家庭菜園なら可。給与もベイルさんとは別で、今までの収入の1.5倍。
話を聞いたときは信じられなかったらしい。
ただ領主の屋敷に面接に来てほしいと言われたので、急いで家族と来たそうだ。
ヴァーシュが世話をするのを認めたらと父様から言われて、ベイルさんと一緒に家族で一生懸命世話をしたそうだ。
ヴァーシュはのんびり歩いているように見えるが早く歩く。
朝早かったので、昼過ぎには牧草地に到着した。
砦の門を開けてヴァーシュに入ってもらう。気に入ってくれればいいな。
砦の門の近くに、ベイルさん達の住居、作業場、荷馬車やミルク缶を置く倉庫、馬屋がある。住居は街道側で、馬屋は樹海側と離している。
ヴァーシュたちは砦の中に入ると散らばってしまったので、あとで要望を聞きに行こう。
ベイルさんが僕たちに近づいて
「この家に本当に住んでいいのですか。大きくないですか」
「あと何人か世話人がくると思って大きめに作ったんだ。あと家に温泉引いているから入れるよ。湯加減は調節してね」
「家の中にも温泉があるのですか」
「ヴァーシュがここに住む条件のひとつが温泉にいつでも浸かれることだったから、ついでにね。お願いするにはヴァーシュが気持ちよくここで過ごせる環境を維持することと、ヴァーシュの病気が治ればヴァーシュのミルクの配送が始まるかな」
「はい、水と温泉と牧草の状態を奇麗に保つことは厳しく言われています」
「ヴァーシュがベイルさんたちを拒んだら契約は終了になる。今のお世話を続けてくれれば大丈夫。あとヴァーシュはとても強い魔獣だ。見た目に騙されてはいけないことを家族には説明しておいてね」
ヴァーシュのまとめ役の所へ行き、飲み水場所はどこがいいと聞いたら、2つの温泉がある中間がいいと言われたので、樹海側の砦でヴァーシュが希望した場所に作る。
水飲み場は、樹海の水飲み場を土魔法で再現。
岩の代わりに土魔法で固めた高さ4m、縦横3m、深さ2mの水槽を作り、水魔法の水を入れた中にトラサンペを放つ。
またヴァーシュの高さに合わせた飲み水台は長さ3m、5、6頭同時に飲める長さにした。水槽に小さな穴を開け、木枠をはめて水飲み台へ水が常に流れるようにする。
ベイルさんの母親と弟が水魔法を使えるらしく、一日2回水槽に水の補充をしてもらうことになっているので、水槽を登る階段をつける。
あとは一週間後様子を見に来た時に改善箇所があれば改善することになった。
「なぁ、トラサンペが大きくなっているように思うのは俺の気のせいか?」
確かにトラサンペはピンポン玉よりも一回り大きくなっていた。
「何もしていないですよ。トラサンペもベイルさんに任せていましたし」
ジェラ兄様に疑いの目を向けられたので僕は否定する。
ベイルさんに聞いたら僕から預けられた時からこの大きさだという。
なぜ知っているのか聞いたら、騎士団の人がサイズを測っていたからだそうだ。
僕の後ろに控えていたマイヤーたちを見ると苦笑い。
何か知っているな。
マイヤーが言うには、僕のせいらしい。
ヴァーシュの所から屋敷に戻る途中でトラサンペを何度か日光浴させているときに、僕がトラサンペを入れている寸胴へ水魔法の水を足しながら、
「今、ヴァーシュと一緒にお引越し中だから、狭くてごめんね。引っ越し先は広々としているから大きくなっても大丈夫」といつもトラサンペに話しかけていたのが原因だとみているらしい。
なぜそれだけで?
話しかけているときに水魔法から植物の加護も与えていたのではないかと言われた。
「おそらく、マイヤーたちの推測は当たっているだろうな。騎士団がトラサンペを測っていたのは?」
僕の独り言を聞いていたウィルソンが、もしかしたらトラサンペが大きくなるかもと思って樹海の移動中にトラサンペを測っていて、屋敷に着いてから再度測って確認したそうだ。
それって、面白がってやってない?
もしかして何かの賭け事にしている?
追及したら、エール1杯分を賭けようとしたけれど、みんなトラサンペが大きくなるに賭けるので成立しませんでしたと言う。
「だろうな、俺も話を聞いたらトラサンペが大きくなるに賭けるわ。わかっているとは思うが、騎士団が乱れるから金や大きな賭け事はするなよ。」
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ベイルさんの父親は、村で農業を主にしていたが、家族で生活するのがやっとの収入のため、ベイルさんが冒険者になって家計を助けていたそうだ。
村の家と畑はベイルさんの妹が結婚したので妹夫婦に任せて、家族5人で砦の生活になるらしい。
今回ベイルさんから周囲に隣人はいないが、新築の家付で小さな家庭菜園なら可。給与もベイルさんとは別で、今までの収入の1.5倍。
話を聞いたときは信じられなかったらしい。
ただ領主の屋敷に面接に来てほしいと言われたので、急いで家族と来たそうだ。
ヴァーシュが世話をするのを認めたらと父様から言われて、ベイルさんと一緒に家族で一生懸命世話をしたそうだ。
ヴァーシュはのんびり歩いているように見えるが早く歩く。
朝早かったので、昼過ぎには牧草地に到着した。
砦の門を開けてヴァーシュに入ってもらう。気に入ってくれればいいな。
砦の門の近くに、ベイルさん達の住居、作業場、荷馬車やミルク缶を置く倉庫、馬屋がある。住居は街道側で、馬屋は樹海側と離している。
ヴァーシュたちは砦の中に入ると散らばってしまったので、あとで要望を聞きに行こう。
ベイルさんが僕たちに近づいて
「この家に本当に住んでいいのですか。大きくないですか」
「あと何人か世話人がくると思って大きめに作ったんだ。あと家に温泉引いているから入れるよ。湯加減は調節してね」
「家の中にも温泉があるのですか」
「ヴァーシュがここに住む条件のひとつが温泉にいつでも浸かれることだったから、ついでにね。お願いするにはヴァーシュが気持ちよくここで過ごせる環境を維持することと、ヴァーシュの病気が治ればヴァーシュのミルクの配送が始まるかな」
「はい、水と温泉と牧草の状態を奇麗に保つことは厳しく言われています」
「ヴァーシュがベイルさんたちを拒んだら契約は終了になる。今のお世話を続けてくれれば大丈夫。あとヴァーシュはとても強い魔獣だ。見た目に騙されてはいけないことを家族には説明しておいてね」
ヴァーシュのまとめ役の所へ行き、飲み水場所はどこがいいと聞いたら、2つの温泉がある中間がいいと言われたので、樹海側の砦でヴァーシュが希望した場所に作る。
水飲み場は、樹海の水飲み場を土魔法で再現。
岩の代わりに土魔法で固めた高さ4m、縦横3m、深さ2mの水槽を作り、水魔法の水を入れた中にトラサンペを放つ。
またヴァーシュの高さに合わせた飲み水台は長さ3m、5、6頭同時に飲める長さにした。水槽に小さな穴を開け、木枠をはめて水飲み台へ水が常に流れるようにする。
ベイルさんの母親と弟が水魔法を使えるらしく、一日2回水槽に水の補充をしてもらうことになっているので、水槽を登る階段をつける。
あとは一週間後様子を見に来た時に改善箇所があれば改善することになった。
「なぁ、トラサンペが大きくなっているように思うのは俺の気のせいか?」
確かにトラサンペはピンポン玉よりも一回り大きくなっていた。
「何もしていないですよ。トラサンペもベイルさんに任せていましたし」
ジェラ兄様に疑いの目を向けられたので僕は否定する。
ベイルさんに聞いたら僕から預けられた時からこの大きさだという。
なぜ知っているのか聞いたら、騎士団の人がサイズを測っていたからだそうだ。
僕の後ろに控えていたマイヤーたちを見ると苦笑い。
何か知っているな。
マイヤーが言うには、僕のせいらしい。
ヴァーシュの所から屋敷に戻る途中でトラサンペを何度か日光浴させているときに、僕がトラサンペを入れている寸胴へ水魔法の水を足しながら、
「今、ヴァーシュと一緒にお引越し中だから、狭くてごめんね。引っ越し先は広々としているから大きくなっても大丈夫」といつもトラサンペに話しかけていたのが原因だとみているらしい。
なぜそれだけで?
話しかけているときに水魔法から植物の加護も与えていたのではないかと言われた。
「おそらく、マイヤーたちの推測は当たっているだろうな。騎士団がトラサンペを測っていたのは?」
僕の独り言を聞いていたウィルソンが、もしかしたらトラサンペが大きくなるかもと思って樹海の移動中にトラサンペを測っていて、屋敷に着いてから再度測って確認したそうだ。
それって、面白がってやってない?
もしかして何かの賭け事にしている?
追及したら、エール1杯分を賭けようとしたけれど、みんなトラサンペが大きくなるに賭けるので成立しませんでしたと言う。
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