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第152話 治療しよう

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3日目、予定なら今日ヴァーシュに会えるはず。
トニトルスやアトレたち中心に魔獣の討伐をしながら進むと、木々がまばらになってきた。アトレがヴァーシュの縄張りに入ったみたいだと教えてくれた。

さらに進むと、ヴァーシュが3頭こちらを見ていた。
アトレがヴァーシュにミルクを分けてほしいから来たと通訳してくれると、
「それならよい、ただし自分たちで搾乳してくれ」と言われたとのこと。

村でヤギを飼っていた人が騎士の中に数人いたのでお願いした。
自分たちで搾乳なんて考えていなかったよ。
見ているだけだけれど、思ったよりも大変そうだ。

交代で搾乳してくれたミルクが全員に行き渡る量が採れたので、ヴァーシュにお礼を言う。
みんなに「飲もう」と言ったら、搾乳してくれた人が一度沸かしたしたほうがいいですとアドバイスをくれたので、鍋で沸かしてから飲んだ。

乳牛のミルクも美味しいが、ヴァーシュのミルクはさらに濃厚で美味しい。
これでアイスクリームを作ったら美味しいのができそうだ。

ヴァーシュに今まで飲んだことがない美味しさだったありがとうというと、「モー」と鳴いた。
アトレが「美味しいにきまっている」と言っていると教えてくれた。


「ヴァーシュさん、僕たちと一緒に暮らしてミルクを提供してくれませんか」
「モー、モー」
ここに取りに来るなら提供する。人間と一緒に生活などしない。私たちは自由を好んでいると言う。

そこを何とかと頼んでいると、別のヴァーシュがやってきた。
そのヴァーシュは、最初にあった3頭とは違っていて、やせ細り皮膚に白色のまだら模様ができている。
皮膚がまだら模様のヴァーシュが僕らに近づくと、先程の3頭は他所に行ってしまった。

まだら模様のヴァーシュに病気なら治療するよと言うと、できるならやってみてもいいと言ってくれた。

ヴァーシュのまだら模様になっているところに手をかざして回復魔法をかけてみるが上手くいかない。他の回復魔法師にもしてもらうと、魔力が上手く循環できていない、詰まった場所が回復魔法を跳ねのけていると教えてくれた。

治療法はと聞くと、魔力を巡らせて循環をよくするしかないそうで、回復魔法師でもできる人は少ないそうだ。
しかも一時的に治るが定期的におこなわないといけないらしい。


白いまだら模様がないところに手をかざして回復魔法をかけると魔法を跳ねのけない。ここからヴァーシュの体内に魔力が巡るように流していくと、壁のようなものにぶつかり進まなくなった。

これが白色の部分ね。暖かくして溶かすイメージで魔力を送ると魔力が巡り始めるが、またすぐに壁のようなものにぶつかった。
これを繰り返しながら10分程で一周できた。

ヴァーシュの皮膚を見ると白いまだら模様が小さくなっているのが見た目でわかる。

ホワイトドラゴンが僕の肩に乗り「魔力詰まりなら、毎日温泉に入れば治るぞ」

「なんで早く教えてくれないの。10分ちかくも魔力を送り続けて力使ったあとに、解決方法いうのさ」
「いや、そなたが必死で治そうとしていたから、言うタイミングがなくてだな・・・・」

「温泉がいいといわれても、さっきの病状だと温泉まで行けなかったと思うからハルトの治療で正解だと思う」とアトレがフォローしてくる。

「そ、そうだぞ。それに温泉がいいとヴァーシュに説明しても信用してくれないと思うぞ。リーンハルトが一生懸命治そうとしてくれている姿を見てヴァーシュも信用してくれよう」とホワイトドラゴンも焦ったように言う。
僕が怒っているとでも思ったのだろうか?


ヴァーシュが温泉とは何かと聞いてきたのでアトレが説明する。この場所からだと樹海の温泉まで1日半ぐらいかかるみたいだ。

ヴァーシュが温泉に行くのは難しいといった。
1回だけならいいが、毎日入るとなると温泉近くに縄張りを移さないといけないが、今いる場所が自分たちには合っているから無理とのこと。


ここに似た環境と温泉にも毎日入れる場所を提供したら、人間が住む近くに移住可能か聞いた。
自分と同じ病状のものなら行くものもいるかもしれないと言われる。

「是非皆さんと話をさせてください。もちろん断られてもさっきおこなった治療は皆さんにします」と僕が言うとここでしばらく待つように言われた。

しばらく待つと同じ病状のヴァーシュ2頭を連れ立ってきた。
よく見るとこの2頭は白いまだら模様の部分が多く、病状がさらに悪いように見える。

さっきよりも魔力が詰まっている箇所が多いので1頭20分ぐらいかかったが、皮膚の白いまだら模様が小さくなったのが見た目でもわかる。

これで信用してくれたのか、皆のいるところへ連れて行くからついてきなさいと言われた。
一緒について行ったらヴァーシュが散らばってくつろいでいる牧草地に着いたが、一か所だけ10頭以上の集団がいて、3頭のヴァーシュは集団の場所に向かっていく。

近づくと彼らも同じ病気を抱えていた。

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