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第136話 はっきりと言ってください

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「リーンハルト君、我が家のどの本だい?」
「この国に現れた聖女様の一生を書いた本で、降臨理由が呪いに侵された不毛の土地と狂暴化した魔獣を浄化するため神に遣わされたと書かれた一文がありました」

「なぜ、聖女の本を読んだのだ」
「我が領に来た獣人から国元に聖女が現れたと聞いていましたし、我が国にも150年前に聖女が降臨したと父から聞いたので興味があり読みました」

「では、今のところ我が国まで影響がないと考えてよいか。ルーファス長老、念のため聖女関連の本を読んで対策は考えておいてほしい」
「お任せください」

「では、またドラゴンが無事に転生したら合わせてもらおう。リーンハルト、責任重大だが無事にドラゴンを転生させなさい」
「はい」
「すまないが、王女もドラゴンの卵を見たいと言っておる。帰りに王女の所へ案内するから見せてやってくれ」
えっー僕、王女殿下のこと苦手なのだけれどな、拒否はできないからしょうがない。



ウエストランド親子が部屋から出て行ってすぐに
「彼は、会うたびに面白いことをしているね。植物神の成長促進で世界樹の葉の力を倍増させるっていう発想、考えつかないよ」
「公爵、面白がっていますがリーンハルト君は神の愛し子ではないでしょうか」
「聖女に似たような者のことか」
「はい、陛下」

「彼はこのまま自由に行動させた方が、ドラゴンの鱗にしろ、今までの実績をみてもこの国の利益になります」
「宰相、しかし教会が彼のことを神の愛し子だと騒ぐのは目に見えている」
「彼を教会に奪われないようにするべきではないでしょうか」
「「陛下」」

「・・・考えていないことはないが、もう少し待ってほしい」
「ここは陛下にお任せしよう」
「公爵、あなたはウエストランドから利益を得る事業提案されているから庇うのはわかりますが、リーンハルト君を教会や他国に奪われるわけにはいきません。急ぐべきです」
「時間がないことは解っているが、もう少し時間がほしい」
「陛下がそこまでおっしゃられるなら・・・しかし時間はないと思ってください」



終わったと思ったのに、まだ終わらなかった。
父様はドラゴンの鱗の競売の打ち合わせとかで僕だけが王女殿下に会う。
リュックを背負い王女殿下と会うために移動しているが王宮は広い、案内してくれる侍従さんよく道わかるなぁー。

庭に出てきた。部屋ではなく暑いのに庭で会うの?
とにかくついて行くと、噴水が手前にあるあずま屋へ行くようだ。あずま屋にはすでに王女殿下がいた。

「遅くなり申し訳ございません」と頭を下げる。
「わたくしが早く着いたのだから気にしないで。それよりもどうぞお掛けになって」
侍従や侍女が冷たいフルーツジュースを置いて下がっていく。
護衛騎士も会話は聞こえない位置にいる。

「???」なんだ、この極秘会談っぽい配置は。
「くすっ」と王女殿下が笑い、
「リーンハルト様はすぐに顔に出るわね」と言われてしまった。
「羨ましいわ。私は表情を隠すことを徹底された立場だから・・・」

「僕・・・わたしに別のお話しがあったのですか」
「ドラゴンの卵も見たいのは本当よ。でもあなたには本音で話さないと認めてもらえないと解っているからね。ねぇドラゴンの卵を見せてもらっていいかしら」
何か話したいことがあるのは解った。付き合うしかない。

僕はリュックからドラゴンの卵を出し、テーブルに置いたクッションの上に置く。
「まぁ、光っているのね。とても綺麗だわ。ドラゴンの鱗と同じ輝きね」
「ドラゴンの鱗でできていますから、同じ輝きになりますね」と差し障りのない話をしばらくする。早く本題に入ってくれないかな。

「わたくしね。これからもリーンハルト君の役に立てると思うのよ。紅茶事業やガルーダ家のこととかもそうだし、わたくしの肩書きもあるから・・・」
「僕は8歳なので裏を読めと言われても読めません。家も兄が継ぐので貴族的な言い回しは好んでいません」
何が言いたいのだ、はっきりと言ってほしい。

何かを決意したように王女殿下が真顔で
「わたくし、リーンハルト君の義理の姉になりたいの」
「はい?」どういう意味でしょうか。
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