異世界でゆるゆる生活を満喫す

葉月ゆな

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【リーンハルト:8歳】

第106話 あぁ、食べたい

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翌日、5階層へ行く。ここも暑いが草原に近いところだった。
マンティスと呼ばれる魔獣が出没する。見た目はカマキリそのもので僕と同じぐらいの大きさだ。

僕たちは討伐に、ラファエルとラファエルの護衛騎士たちはナタリアからカレー粉に必要な部分を聞いて採取しているが、見本でどの品種も数本、根元から持って帰るらしい。
あと太い根っこが黄色で使い道不明と言っていたものはウコン(ターメリック)だった。違ったらカレー粉作れないからよかったよ。
そして討伐の戦力過多だから、僕やクリス兄様も採取を手伝った。

しかし、ちまちま採取していたら少ししか取れない。これだと土産に持って帰るカレー粉が確保できないかもしれない。それはやばい!!何とかしなくては。
母様を怒らせるわけにはいかない。

ターメリック以外は、実や種子だから上の部分を刈ってもらえばいい。あとはそれを拾う・・・・いや拾うのも時間がかかる。
防御魔法は魔法だから茎の部分を避けながら布みたいに広げられないかな。布に茎が刺さっているイメージかな。そうすれば刈った部分を受け止めて簡単に回収できる。


クリス兄様に僕の考えを話すと面白そうだからやって見たらと言ってくれた。
ただ、失敗したら拾わないといけないので、試しで縦横2m部分をやってみる。
防御魔法で布みたいに広げることができたので、クリス兄様が風魔法で実の部分の少し下を狙って刈ってくれた。

実の部分は上手い具合に防御魔法の布もどきに落ちてくれた。あとは布もどきの奥側を持ち上げて実の部分を集めようとしたら、実の部分の一部が茎で開いた穴から落ちていったがそれ以外は回収できた。

勿体ないな、他に方法ないかなと考えていたら、
「風魔法で一か所に集めたらどうですか」とマイヤーが言ってきた。

僕が防御魔法の布もどきを持ち上げる際に穴を防げたらいいけれど、マイヤーの案が無駄なく回収できそうだ。
ここは効率重視でいこう。


香辛料の種類ごとに僕が防御魔法の布もどきを広げて、クリス兄様やマイヤーが風魔法で刈ってくれたあと、布もどきで僕たちに近い箇所に集めたものをみんなで袋詰めしていった。

「全部回収してもいいのか」とラファエルが呆れたように聞くので、ダンジョンだからまたすぐ生えてこないか検証してほしいとお願いする。
生えてこなければ1/2、1/3残したら生えてくるか試してほしいと。
あと回収した種子をまたこのエリアに蒔いて量を増やしてほしいと話す。


すべてを回収して満足していたが、アトレたちがいない。どこに行ったのだろう。
「この周辺はラウールや騎士たちで対応できるから、アトレとビアンカとシエルは、討伐してくると言って散っていったぞ」とクリス兄様が教えてくれた。
だから魔獣がこなかったのか。

「アトレー、ビアンカー、シエルー。戻るから帰っておいでー」と叫ぶとみんな戻ってきた。うん、みんな賢いね。


ダンジョンの帰り道、ラファエルが
「リーンハルト、見てはいたのだが何魔法を使っていたのか教えてほしい。どうやって香辛料を回収したのか」と聞くので、布を広げた状態を防御魔法で再現して、風魔法で実の部分を刈って一か所にまとめてもらい袋詰めしたと話した。

もし大量に回収したいときに騎士たちに覚えさせて活用してもいいかと聞くので、活用してくれればいいと答えた。


公爵家に戻り、各香辛料一袋分だけ奇麗に洗いナタリアの指示ですべて乾かす。
カラカラに乾燥させるものは時間がないので風魔法で終わらせる。
あとは種子とか実をゴリゴリと潰して粉末にするそうだ。なんて力仕事なんだ。
僕はしないけれど、クロンデール公爵家の騎士さん頑張って。

ある程度、香辛料の粉末ができたところで、メモを見ながら僕が配合する。
メモは日本語で書かれたものではなく、僕がこちらの言葉で書き直したものを持参している。完成したものの匂いを嗅ぐとカレー粉だ。上手くできたみたいだ。


瓶詰めしたカレー粉を調理場に持っていき、料理長にカレースープの作り方と串に刺した肉にカレー粉をまぶすようにお願いしたが、串に刺した肉をそのまま出すことはできないと言われたので、串から外して出してくれればいいと伝える。

料理長はカレー粉の色を見て大丈夫かとカレー粉を見ていたが、普段はここに来ることはないラファエルがいたのですぐ調理に取り掛かった。
しばらくしたら、カレーのいい匂いが調理場に充満する。

あぁ、カレーライスやカレーパンが食べたい。カレーパンの作り方は知らないから、前世の記憶を持つ獣人の女の子、作り方知らないかな?
連絡手段ないし厳しいかぁー。
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