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第104話 どこの世界も同じ

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今回のクロンデール公爵家への同行者は、父様、ラウール、ナタリアと護衛騎士4人(僕付の4人)に、アトレとシエル。
アトレは僕の膝か座席にクッション置き寝ている。シエルは汽車の中で休んだり空を飛んだりしている。

ジェラ兄様はアルラウネや獣人が我が家にいるし、今回は父様が行くので留守番役になった。
公爵家と事業の話になったら父様でないと進まないからね。
王都にはいかずに直接公爵領の屋敷に行くことになっている。公爵閣下もラファエルも公爵領の屋敷に滞在しているらしい。
でも事業の話になれば王都に寄らないといけないと父様に言われた。
詳しくは教えてくれなかったけれど、何かあるのだろう。


汽車を降りると「父上、ハルトこっちだ」と声がする。クリス兄様だ。
あれ、学園は?学園休んでいいのですか?

「仕方ない、こちらが優先。ジェラがいないしハルトを見張らないといけないからね」と言われてしまった。
まぁ、やらかしたから何も言えません。
クリス兄様が護衛を連れてくるから、僕たちの護衛が少なかったのか、納得。

クロンデール公爵家から迎えが来ていて馬車3台に分かれて乗り込む。シエルとビアンカは初対面なのでお互いの自己紹介を僕がする。


「しかし、カレー粉だっけ。私が領都に戻った時に聞いていないし食べてないよ。ハルトの行動報告会で全部話してくれていたと思っていたけれど・・・」
「カレー粉がなかったんですよ。ラウールたちから世界樹で貰った時にすべて使ったので。今年収穫できたらお披露目する予定だったのですが、ダンジョンでカレー粉の元となる香辛料が育ったのなら今回食べられますよ」

「父上やジェラは食べて、わたしと母上が食べてないわけか。なるほど、だから報告会でジェラは話をしなかったのだな」
前世でも食べ物の恨みは怖いとはよく言うけれど、この世界も同じなようだ。今回カレー粉を少しでもいいから分けてもらって母様のお土産にしよう。
後が怖い・・・・。
あとジェラ兄様ごめんなさい。クリス兄様からなにかしら報復があるかもしれませんと心の中で謝った。


クロンデール公爵家に着いた。
王都の公爵家の屋敷に比べると小さいが、奥にも建物があるようなので規模は同じくらいかもしれない。屋敷の前は噴水がある庭園になっていて見応えがある。
王都とは違った趣だけれど、流石は公爵家といったところだ。

玄関ではラファエルが出迎えてくれた。挨拶のあと
「本来なら、休息を入れてから父上と会ってもらうのだが、このまま案内させてほしい。こちらから申し出た話なのに、どうしても今日は父上の時間があまり取れなくてね。申し訳ない」
「急な事案でしたから仕方ありません。大丈夫です」と父様が言う。

公爵令息として父様たちへの対応がスマートだ。同じ8歳なのにこの違いは何だろう・・・。前世の記憶がある僕だけれど、子供の感情に引きづられている感じなんだよね。だから余計にすごいと思ってしまう。
僕たちも同行するように言われたので一緒に行くが、クリス兄様に同行した護衛騎士は先に下がる。


案内された部屋は豪華な応接室だった。
中央に大きな楕円形のテーブルがあり、それを囲むように一人掛けや3、4人座れるソファーが程よく置かれている。

父様は一人掛けを薦められシエルは父様の肩にとまっている。僕とクリス兄様は3、4人座れるソファーに案内される。たぶん、アトレとビアンカがいるからだろう。
マイヤーとハミルトン、ラウールとナタリアはソファーの後ろに立つ。
ウィルソンとカムエラは応接室の外で待機だ。

するとすぐにクロンデール公爵閣下が入室してきた。
「長旅で疲れているところ申し訳ないね。我々がダンジョンから香辛料を取ってくることも考えたが採取の仕方も知らないから、悪いがダンジョンの5階層まで行ってもらうことになる。それとこの香辛料を使った料理も我が公爵家の料理長に教えてもらう。それを食してから新事業の話で間違いないだろうか」

父様が「間違いないです。こちらからダンジョンに同行する者は、私以外のこの応接室にいる者と部屋の外で待機している2名の8名で行きます。従魔ももちろん同行します」
「公爵家からは採取の仕方の聞くため、口の堅い騎士5名をラファエルの護衛として同行させる。獣人の2人は注目を浴びたくなければフードコートを用意させるがどうする」

ラウールとナタリアはフードコート不要と言う。
ここまでもフードコートをかぶらなかったし、ウエストランド家の騎士服と侍女服を着ているから問題ないと言われた。
逆にかぶる方が目立って怪しいか。

詳しいことはラファエルと話してほしいと言って出て行った。
本当に忙しそうだ。嘘だったら、ラファエルが大人しくしていないだろうしね。

ラファエルからは、今後の予定を聞く。
明日から1泊2日でダンジョンに行く。ここからだとダンジョンまで片道2時間ほどかかるそうだ。今回は5階層に行くことが目的なので4階層までは最短距離と最低限の討伐で進むらしい。
このダンジョン初組の僕たちがいるから1階層から行くしかない。
だから今日は疲れをゆっくりと癒してほしいと言われ部屋に案内された。
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