上 下
90 / 152

第90話 アルラウネからの贈り物?

しおりを挟む
いつもお読みいただきありがとうございます。

次の投稿は本日12:00です。

.。o○ .。o○ .。o○ .。o○ .。o○ .。o○ .。o○ .。o○


僕はサフィードと話している父様の所へ行った。
「父様、彼らは我々に莫大な利益になりそうなものを持参していましたよ」
「どういうことだ」
「これから作りますから」と言って調理をしている騎士たちの所へ行く。

簡単にできる2種類を用意した。串肉にカレー粉をかけたものとスープカレーだ。
「味見しているので大丈夫です」と言って父様とジェラ兄様に渡す。

串肉とスープを一口ずつ食べた後、ジェラ兄様が
「最初は色がどうかと思ったけれど食欲をそそるいい匂いだし、めちゃくちゃ美味しい。食べたことない味だ」と言ってあとは食べる方に集中している。

「この調味料の素になるものを彼らが栽培できるということか」
「そうです。この調味料は色々な種類の香辛料を配合したものです。ほとんどはとても暖かい地方でしか栽培できないはずです。しかし彼らの数人は場所がどこででも育てられるそうです。あと持参している穀物も調理法を伝えれば一気に拡大する可能性があります。開拓村は保護しないと大変なことになると思います」
「もしかして植物神の加護が・・・・」
「たぶん、早く教会で確認した方がいいです」

植物神の加護があるなら、トンミとウガの栽培も任せられることになる。
このカレー粉と米だけでなく、涼しい生地と暖かい生地(こっちはまだできていないけれど)の拡大が見込めることになる。
父様も事の重大性がわかったようだ。

「あの、この穀物は家畜の餌なのですが、そんなに価値があるのでしょうか」とサフィードさん。
「それは食べ方を知らないからだ。今は数がないから今年この穀物がたくさん取れたら調理法を教えるよ」

父様とサフィードたちとの話し合いで、彼らも僕たちと一緒にここを立つことになった。
数日、領都で必要なものを仕入れてから、新しい土地へ行く。農作業や家を建てるのなら早く始めた方がいいと言ったそうだ。


翌日、アルラウネにスケルトンフラワーの魔石を渡し、次は2か月後に来ると話す。
「今回もありがとう、助かったわ。それで報酬なのだけれど」
「アルラウネに羽の粉をたくさんもらっているから大丈夫だよ」

「でも、とりあず見て頂戴」と言ってアルラウネは口に手を当てて口笛を吹く。
ピュー、ピューという鳴き声がして空を見ると鳥が降りてきて世界樹にとまる。

後ろにいたマイヤーに何の鳥?と聞くとグラースホークですとの返事。
「グラースホークだって」大きな声を出してしまった。
「そうよ、気に入ってくれた」とアルラウネが僕の周りを飛び回る。
僕の声につられて、父様、ジェラ兄様、カイル隊長が集まってくる。

「ハルト、どうしたのだ今度は」と父様。
「アルラウネが、グラースホークをくれるって言うのです」
「はぁ?」「えっ?」「・・・」

「父上、グラースホークですよ。ハルトからの誕生日プレゼント」
そう、父様と母様にも強請られた飾りナイフ。父様の誕生日に氷属性のグラースホークにしたんだ。母様は今月だ。
グラースホークは「氷の鷹」だ。口や羽から氷魔法で攻撃してくるAランク魔獣だ。
毛並みは白銀で目はブルーサファイアだ。

「アルラウネ、グラースホークの気持ちもあるから勝手にくれると言うのはおかしくない」と僕が言うと
「グラースホークたちに声をかけて彼らはあなた達の行動を見ていたのよ。その中で、あの子があなた達と一緒に暮らしてもいいと言ってくれたの」
「父様、グラースホークに声をかけて魔力をあげてみてください」
「あぁ」少し上ずった声だった。


父様は世界樹の枝にとまっているグラースホークに向かって
「この腕にとまってくれるかな」と左腕を前に出すとグラースホークが父様に向かって飛んできて左腕にとまる。
やっぱり、この子も賢いな。僕たちの言葉を理解しているよ。
しかし近くで見ると大きいな。今までは雛や子供だったから成獣は初めてだよ。

「まずは私の魔力を受け取ってみてくれ」と右腕をグラースホークの頭に持っていき頭から背中にかけて撫でている。
グラースホークに魔力を渡しているようだ。グラースホークは目を閉じて気持ちよさそうにしている。

「アルラウネが私たちと一緒に暮らしてもいいと言っていたが無理強いはしたくない。嫌だったら家族の元に帰りなさい。本当に我々と一緒に暮らしていいならついておいで」と言ってグラースホークを空へ返す。
父様は「さぁ、帰ろう」と僕たちに言った。


グラースホークは僕たちについてきた。父上は時々空を見上げては嬉しそうにしている。
「父上、嬉しそうだな。しかしアルラウネはどうしてグラースホークに声をかけたのだろうか」
「僕も聞きそびれてしまったので、次回行ったときに聞こうと思っていました」
「ハルト、これからも飾りナイフは魔獣と契約後に作成で押し通すぞ」
「わかっています。それより母様が何か言い出さないか心配です」
「あぁ、そっちもあったか。拗ねるだろうな、たぶん・・・」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

ねえ、今どんな気持ち?

かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた 彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。 でも、あなたは真実を知らないみたいね ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

異世界でのんびり暮らしたい!?

日向墨虎
ファンタジー
前世は孫もいるおばちゃんが剣と魔法の異世界に転生した。しかも男の子。侯爵家の三男として成長していく。家族や周りの人たちが大好きでとても大切に思っている。家族も彼を溺愛している。なんにでも興味を持ち、改造したり創造したり、貴族社会の陰謀や事件に巻き込まれたりとやたらと忙しい。学校で仲間ができたり、冒険したりと本人はゆっくり暮らしたいのに・・・無理なのかなぁ?

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

決して戻らない記憶

菜花
ファンタジー
恋人だった二人が事故によって引き離され、その間に起こった出来事によって片方は愛情が消えうせてしまう。カクヨム様でも公開しています。

令嬢に転生してよかった!〜婚約者を取られても強く生きます。〜

三月べに
ファンタジー
 令嬢に転生してよかった〜!!!  素朴な令嬢に婚約者である王子を取られたショックで学園を飛び出したが、前世の記憶を思い出す。  少女漫画や小説大好き人間だった前世。  転生先は、魔法溢れるファンタジーな世界だった。リディーは十分すぎるほど愛されて育ったことに喜ぶも、婚約破棄の事実を知った家族の反応と、貴族内の自分の立場の危うさを恐れる。  そして家出を決意。そのまま旅をしながら、冒険者になるリディーだったのだが? 【連載再開しました! 二章 冒険編。】

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

処理中です...