上 下
46 / 91

第46話 やっぱり欲しいな

しおりを挟む
いつもお読みいただきありがとうございます。
次の投稿は11月1日午前7:00です。

.。o○ .。o○ .。o○ .。o○ .。o○ .。o○ .。o○ .。o○



僕が体力づくりメニューの一つ、ランニングのため屋敷周辺を走っているが、秋だからか気温が下がり涼しくて走りやすい。
もう少ししたら寒くなるから、やっぱり気軽にお茶が飲めるティーパックもどきを作りたいな。
来週、樹海の世界樹のところへ行くから暖かいお茶が飲めたらカイル隊長たちも喜んでくれないだろうか。


和紙は他国産で我が国にはなく、僕も作り方を知らない。
代用品、ナイロンみたいなのってあったかな?
マリアのところへ勝手に行くと怒られるし、どうしようかなぁーと考えながら走っていたら、騎士団の医療室近くで包帯が風になびいていたのが見えた。

包帯ってガーゼだよね。もしかしたらナイロンの代わりになる?
でも綿製品って高いかも。異世界って綿製品高級だったりするし・・・
まぁ、ラジエルに聞いてみるか。

「新品の包帯の値段ですか。高くないですよ。サウスコートで綿花がたくさん採れますから。また何か思いついたのですか」とラジエルがため息をつきながら聞いてくる。
気にせずに以前に話したティーパック構想に使えないかと話した。
「包帯・・・・網目の荒いガーゼにお茶の葉を包むですか。・・・・諦めていなかったのですね」
最後の言葉はスルーする。
上手くいったら茶葉の量の調整は必要だけれど、できるか試したいというと用意しますと言ってくれた。


「リーンハルト様、お呼びと伺ったのですが」と侍女のロザリーナが僕の部屋にやってきた。アトレたちの抱っこバックでお世話になった侍女さんだ。
「ちょっと裁縫で協力してほしくてね。こっちにきて座ってくれる」とソファーに案内する。
座れないと言われるが、裁縫をしてもらうから座って、これは命令ですというと遠慮しながらも座ってくれた。

新品の網目が荒いタイプの包帯を一度洗ってもらったものが入っている箱を開けると中にぎっしりと詰まっていた。一つ取り出し三㎝ぐらいの袋になるように巾着タイプの袋を10個作ってもらう。
一つ巾着が完成したので、スプーン一杯の茶葉を入れ、紐を引っ張ると巾着袋みたいになった。ティーパックもどきの完成だ。


僕が魔法でお湯をティーカップに注ごうとしたら、ジョルジュが、私がお湯を注ぎますと言ってお湯を持ってきた。
ロザリーナがいる前で魔法を使うところだった。まだ調整が上手くいかなくて時々ドバッとお湯が出ちゃうからね。
あぶない、あぶない・・・・。


ティーカップにお湯を注いでもらい、ティーパックもどきをカップに入れて数回振ってから取り出すが色が薄い。
新たなお湯が入った別のティーカップに新たなティーパックもどきを入れ、しばらく時間をおいて数回振り取り出す。今度は上手くいった。
前世のティーパックは抽出が早かったから、普通2~4分程蒸す時間があるのを忘れていたよ。

茶葉量の調整はジョルジュに頼み、ロザリーナには包帯がなくなるまで巾着タイプの袋を作ってくれるようにお願いする。
業務外だから賃金に上乗せするからとも伝えたら、前回の抱っこバックで毎月発案料が給料とは別に貰えてすごくありがたいとお礼を言われた。

今回も任せておいてくださいとにっこりされた。
もしよければ同じように裁縫が得意な侍女たちを参加させてもらえないかとのこと。
今回もらえる金額を侍女たちで分けるからとも言う。

あぁ、侍女たちの中でやっかみとかあるのかも知れない。しかし、抱っこバックの発案料って知らなかった。母様の采配だろうな。
僕はいいよと返事する。ただし業務をおろそかにしない範囲でしてねと伝えて包帯の箱を渡した。母様にも言っておこう。


夕食後の居間で家族にティーパックを使って自分たちで紅茶を作ってもらった。
「これハーブティーとかもいけると思うのですがどうですか」と僕が家族に聞くと
「馬車での移動や遠征、商人や冒険者需要はありそうだな」
「樹海に行った時、これあったら便利だ」
「これも、我が家では対応できない規模になりそうよ。かわら版と一緒にダヴィー兄様を巻き込みましょう。来てもらうように手紙書いたから、丁度よかったわ」と父様、ジェラ兄様、母様が言う。

えーこれもなの?ダヴィト伯父様の対応は母様お願いします。
まぁ、周りが喜んでくれれば僕は満足だ。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界でのんびり暮らしたい!?

日向墨虎
ファンタジー
前世は孫もいるおばちゃんが剣と魔法の異世界に転生した。しかも男の子。侯爵家の三男として成長していく。家族や周りの人たちが大好きでとても大切に思っている。家族も彼を溺愛している。なんにでも興味を持ち、改造したり創造したり、貴族社会の陰謀や事件に巻き込まれたりとやたらと忙しい。学校で仲間ができたり、冒険したりと本人はゆっくり暮らしたいのに・・・無理なのかなぁ?

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

愛すべきマリア

志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。 学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。 家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。 早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。 頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。 その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。 体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。 しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。 他サイトでも掲載しています。 表紙は写真ACより転載しました。

ドアマットヒロインはごめん被るので、元凶を蹴落とすことにした

月白ヤトヒコ
ファンタジー
お母様が亡くなった。 それから程なくして―――― お父様が屋敷に見知らぬ母子を連れて来た。 「はじめまして! あなたが、あたしのおねえちゃんになるの?」 にっこりとわたくしを見やるその瞳と髪は、お父様とそっくりな色をしている。 「わ~、おねえちゃんキレイなブローチしてるのね! いいなぁ」 そう、新しい妹? が、言った瞬間・・・ 頭の中を、凄まじい情報が巡った。 これ、なんでも奪って行く異母妹と家族に虐げられるドアマット主人公の話じゃね? ドアマットヒロイン……物語の主人公としての、奪われる人生の、最初の一手。 だから、わたしは・・・よし、とりあえず馬鹿なことを言い出したこのアホをぶん殴っておこう。 ドアマットヒロインはごめん被るので、これからビシバシ躾けてやるか。 ついでに、「政略に使うための駒として娘を必要とし、そのついでに母親を、娘の世話係としてただで扱き使える女として連れて来たものかと」 そう言って、ヒロインのクズ親父と異母妹の母親との間に亀裂を入れることにする。 フハハハハハハハ! これで、異母妹の母親とこの男が仲良くわたしを虐げることはないだろう。ドアマットフラグを一つ折ってやったわっ! うん? ドアマットヒロインを拾って溺愛するヒーローはどうなったかって? そんなの知らん。 設定はふわっと。

【完結】彼女以外、みんな思い出す。

❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。 幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

処理中です...