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第40話 領主様、案件です

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いつもお読みいただきありがとうございます。
次の投稿は10月29日7:00です。

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「お説教はここまでにして、紙問屋に行きたい理由をお聞かせ願いましょうか」
しょうがないから、ティーパック構想を話した。
「はぁ、領主様がよくため息ついていたこと、つくづく実感しました。もしティーパックが、完成したら今までよりもはるかに利益が望めます。いいお話なんですがねぇ」
ラジエルの愚痴はスルーする。どうやら紙問屋に着いたようだ。

「今日はわざわざ店までご来店いただきありがとうございます。今日はどのような紙をお求めですか」
和紙って言っても通じないだろうから珍しい紙があったら見たいと話した。
「珍しい紙ですか」
僕は、普通に利用されている紙ではなく、出回っていないもの、他国の紙などが見たいと話す。
それなら数点ありますのでお待ちくださいと部屋を出ていった。


「リーンハルト様、なぜ出回っていない紙をと言われたのでしょうか」
「ティーパックってお茶の葉をお湯に注ぐのだから、粗目の紙でないと意味ないでしょ」
「なるほど、紙だけれど普通には利用できない紙を探されているわけですね。しかし紙だと糊を使っているのでお茶の味が変わったりしませんかね」

うーん、前世のティーパックは不織布かナイロン製。麦茶は紙パックだったように思うけれど詳しくは知らないし。
思い付きで来たけれど、今回は空振りかな。
まぁ、そんなときもあってもいいか。今までができすぎだしね。


「お待たせしました。当店にあるもので、ご希望に沿う紙はこの2つになります」
渡してもらった紙は藁半紙と和紙だった。

藁半紙は通常の紙より破れやすく品質も悪いので使い道がないが、領内の貧しい村が作ったものなので買い取りしたらしい。
和紙は他国の品で入手は難しいそうだ。
藁半紙使えるけれどな。2つの紙を買って店をでた。


「ラジエル、この茶色の紙、結構使い道あると思う」馬車の中で話をする。
木の板に絵や文字を掘りインクをつけて版画にする。領内に伝えたい出来事をボードに貼る。違うお知らせができれば、新たに刷る。この藁半紙を使ったかわら版だ。
かわら版にお店の宣伝入れて宣伝料もらい、かわら版が欲しい人には安い値段で売るとか。

我が国の識字率は高い、我が国の建国の王様が力を入れておこなった施策のため、今でも教会で読み書きは無料で教えてもらえるし、教会のない村だとお年寄りが子供たちに教えている。読み書きできない領民が多いと教会や領主の責任になり、かなり重い処罰が与えられる。
建国の王様は僕と同じ転生した人だと思う。


話がそれたけれど、あとはメモ帳。
ちょっとメモしたいときとか、後で正式な書類に書くときの下書きとか。
普通に紙は手に入るけれど、書き捨てできるほど安くもないからね。

それから食べ物を包むとか。パンにお肉とか挟んだものを包めば、外でも気軽に食べられるよね。屋台で使えそうじゃない。
和紙は他国のものだから残念だけれど。ティーパックはまた別の機会に考えよう。

「・・・・・・」
「ラジエル、聞いていた。どう思う?」
「どれもできそうな案件で、あれば便利だと思います。それに紙問屋が利益にならないのに購入したほど、この紙を作った村は困窮しているはずです。ただ領主様に相談案件です」
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