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第35話 するどいな

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「アルフレッドのサインがいる書類がこれだ。宜しく頼むよ」とダヴィト伯父様が父様に手渡しする。
「これならすぐサインしますので」とインクと羽ペンを持ってくるように指示する。
そして書類にサインしている最中に父様が「羽ペンは書きづらいな」と独り言を無意識に言っていた。

「羽ペンは書きづらい・・・アルフレッドは羽ペンを使っていないのかな」ダヴィト伯父様、聞き逃さない。
ニッコリ笑顔、獲物は逃がさないみたいで笑顔が怖いです。
父様、気づいても遅い。母様が諦めたようにガラスペンを持ってくるようにヘンリーに合図する。


「まだ、試作品で販売の目途はたっていないものなのよ」と母様がダヴィト伯父様にガラスペンを渡す。
伯父様はさっそく紙に試し書きをし始めた。
「これで試作品かい?羽ペンより長く文字が書けるしガラスにインクが絡まっているところなんて奇麗だ。これ、うちの家族分用意してほしい。私だけだと苦情が来るからね。早く売りに出そう。他国でも飛ぶように売れるよ。これは!!」興奮してまくしたてる。

母様がダヴィト伯父様をなだめ、一旦落ち着いた。
「さっきは申し訳なかった。ガラスペンは急いで完成させてくれ。それとリーンハルト、もう隠しているものないよね」と念を押してくる。

ないですよ。ダヴィト伯父様。
身内だから優しいけれど、怖いよ鋭くて・・・

急に何か見つけたのか「ジェラルド、何かあるのかい」とジェラ兄様に矛先がいく。
「これ、リプカが相棒になったあとにハルトから貰ったんです。僕たち兄弟だけしか持っていないものですけれど」と自慢げに言って飾りナイフを見せる。

うん?リプカが相棒になったときのプレゼント?
ジェラ兄様、わざと内容を少し変えて話している?
そういえば王女殿下がくる前の打ち合わせで相棒になった後に変更するって話していたなー。


「これは、・・・・すごい。刃には護符、防御の言葉や文様、鞘の部分はフィアンマ、いやリプカをチャームの技法を使って描いているのか。これは、贈り物に喜ばれそうな一品だ」ジェラ兄様はさらに専用の飾り棚があることも自慢げに話す。
「リーンハルトの方は、アトレを描いたものを持っているのかい」
「はい、そうです」
「そちらも見せてもらってもいいだろうか」
仕方ないのでジョルジュに持ってきてもらい、僕の飾りナイフをダヴィト伯父様に見せる。

「職人の腕もすごいが、リーンハルトの発想・・・アイデアはすごいな。しかし急に新商品が作られ始めたのはなぜだ」

そこは父様がアトレと従魔契約してネームプレートに始まり、チャーム、ブックバンド・・・・と思いつくままの行動が今の結果だと正直に話した。
ダヴィト伯父様には隠しても暴かれてしまうだろうから、ざっくりでも正直に話した方がいいと判断したのかな。

「リーンハルト、これだけの新商品。しかもどれも売れている品だ。誰が生み出しているのか探り当てる者はいるだろう。さすがにウエストランド家とノーストレイド家を敵に回そうという貴族はそうそういないと思うが、中にはお前を利用しようと接触してくる者もいるはずだから気を付けなさい。8歳の魔力鑑定で注目もされるだろうから」

僕の魔力鑑定ってそんなに注目されているの。
銀髪を持つ子供の魔力鑑定は、いつも注目されているそうだ。魔力が多いことはわかっているから。
父様たちに口酸っぱくいわれていること、ホントなんだ。
あまく考えていたかもしれない・・・・。

ダヴィト伯父様は、翌日に商談が入ったと屋敷を去っていった。
「我が家が商売に本気になってないことがわかったし、ノーストレイドにも利益があるから、よしとしたところかしら」と母様が言う。

「どういうこと?」
「ハルトに野心があるわけでもないから強引にことをすすめて機嫌をそこねるより、味方だからねってところでしょ」
「今のままでいいということ?」
「・・・・・今のところはね」


考えても仕方ないから今まで通り、好きに過ごそう。
「ところでジェラ兄様、飾りナイフ、なんで居間に持ってきていたの」

「あれは兄上から連絡があったんだ。抱っこバックを使って学園に行っているだろう。すぐにノーストレイドから新商品ですかって問い合わせがあったらしい。飾りナイフも後から見つかって本当のことを知られるより、こちらから話をもっていけって。前の打ち合わせで考えていた内容だから不自然はないだろ。心配しなくても兄上も同じように答えるはずだから大丈夫だ」

ダヴィト伯父様なら僕たちの飾りナイフ見たからには、クリス兄様の飾りナイフをいずれ見に行って理由を聞いてくる可能性は高い。

クリス兄様さすがです!!
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