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第25話 王女殿下の訪問⓶
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次の投稿は本日12:00です。
「ハルト、やっぱりここにいたのか」ジェラ兄様が温室で本を読んでいた僕に声をかけてきた。朝なのにお疲れモードに見える。
僕は王女殿下がいる間は勉強を免除されたので、朝から温室に入りびたっていた。
アトレもお気に入りクッションを持参して寝ている。
「ジェラ兄様、疲れているようだけれどどうしたの」
ジェラ兄様は早朝いつものようにリプカをポケットに入れて屋敷の周りを走っていた時に、王女殿下から一緒に走ってよいかと声をかけられたそうだ。
断れないから一緒に走ったそうだが、いつもリプカをポケットに入れて走っているのかとか、滞在中会ったら一緒にこれからも走りたいとか、リプカと会話できるのかなど色々聞かれたらしい。
早朝から王女殿下と遭遇、不意打ちというかびっくりするというか偶然なのだろうか。
この短期間でぼくたち兄弟の行動とか調べての行動だったらすごいな。
昨日の書類の件とかみていると賢い人だと思うから調べていない方がおかしい。
この温室にくる可能性は高い。はぁー、めんどうだな。
王女殿下が滞在中、温室以外の別の場所を点々として避けたい気持ちもあるけれど怪しまれそうだし、一度は話したほうがよさそうだと覚悟をしたのに王女殿下と夕食で会う以外接点がなかった。
今、樹海に向かって移動中である。王女殿下は乗馬服を着て一人で馬を乗りこなしている。
僕とアトレはいつものようにマイヤー騎士と一緒に馬に乗っていた。
なぜかいつもアトレは屋敷から樹海までの往復は僕の腕の中にいる。
これが続くならアトレ用の抱っこひもを作ってもらわないと2時間もこの体制は結構しんどい。
でも樹海に行ったら走り回ってそばにほとんどいなのにな。
王女殿下が同行しているので、我が家の隊員は無言で行動している。
今は王女殿下の護衛は全員同行しているが、ほとんどが砦で待機になり魔獣討伐経験が豊富な騎士3名が樹海に同伴、あとはすべて我が家の隊員になるそうだ。
僕たちが樹海に行ったときは15名ぐらいいたが今回は30名ぐらいの規模になる。
王女殿下の希望で、隊員たちの通常業務、ココットの雌の生け捕りや魔獣の討伐も直に見たいと希望されているため規模が大きくなったようだ。
砦に到着して、少し休憩を取り樹海に入った。
早速、一角ラビットやココットが僕たちに向かって突撃してくるから、討伐やココットの雌の生け捕りが行われ、説明をクリス兄様がリナルーナ王女殿下に説明している。
「カイル隊長が王女殿下に説明しないでクリス兄様なんだね」
「リーンハルト様、王女殿下と我々では身分が違いすぎます。また同行者も多く、通常業務もご覧になりたいとのご希望ですから、隊長は隊員たちへの指示や道中の警戒だけで手一杯ですよ」とマイヤー騎士が教えてくれる。
「ほんとはリナルーナ王女殿下の護衛兼説明でという話はあったのですが、隊長は、いやだーと逃げ回って、クリスフォード様に押し付け、いえ粗相があったらいけないとお願いしたのです」と僕の耳元でこっそり本当のことを話してくれた。
建前と本音ってやつですね。
カイル隊長の性格からして堅苦しいことは嫌いっぽい感じがする。
一角ラビットやココットの討伐、生け捕りをしながら広場まで来たので休憩に入る。
先行していた隊員がお湯を沸かして氷魔法で冷やしたお茶を用意してくれたらしくみんなに配られた。
いつもは冷たいお水だけれど今日はアイスティーでうれしい。
アトレが戻ってこない、どこまで行っているのか。
何もしていないよね。心配だ。
休憩が終わり、前回ブラウンベアがいた川へ向かって歩く。
王女殿下の希望だ。たぶんビアンカの話を聞いているからだろう。
隊が突然止まった。緊急事態かと身構えたが、マイヤー騎士が周りには魔獣がいないので川の方に何かいるのではないかと言う。
先発隊からの報告で、オーク3体とシルバーウルフ10匹が争っているらしい。
オークは肉と皮。皮は幌馬車の幌に、肉の味は豚肉に近く見た目もブタだ。ただ、前世のブタよりは2回りほど大きく2足歩行だ。素材としては人気のEランクの魔獣だが、皮に穴や傷ができると価値がさがるため討伐は腕・足・頭を狙う。
兄様たちと隊員8名の10名で対応する。
他の隊員は王女殿下と僕の護衛や周囲の確認などに分かれ、王女と僕は木陰から戦闘の様子を見ることになった。
ジェラ兄様と2人の隊員はオークの足を風魔法で、クリス兄様と3人の隊員がシルバーウルフ頭や足に風魔法や氷魔法を一度ぶつけて、半分以下に減らしたところで10人全員が剣で残りの討伐をした。
「マイヤー、魔法だけでも討伐できたと思うけれど、なぜしないの」
「Eランクですから剣だけで倒せます。魔法はできるだけ温存が基本です。高ランクの魔獣にいつ出会うかわかりませんからね。討伐は完了したようです、近くで魔獣を見られますか」
「そうだね。オークは初めてになるから近くでみたいな」
近くで見るとオークがでかい。これに体当たりされたら死んでしまうだろうな。
これでEランクなんて、樹海は浅瀬でも気が抜けないって言われているのがわかった気がした。
この日はオークやシルバーウルフにはかち合ったが、高ランクの魔獣には遭遇しなかった。広場に戻るとアトレが寝ていたのでほっとした。
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「ジェラ兄様、疲れているようだけれどどうしたの」
ジェラ兄様は早朝いつものようにリプカをポケットに入れて屋敷の周りを走っていた時に、王女殿下から一緒に走ってよいかと声をかけられたそうだ。
断れないから一緒に走ったそうだが、いつもリプカをポケットに入れて走っているのかとか、滞在中会ったら一緒にこれからも走りたいとか、リプカと会話できるのかなど色々聞かれたらしい。
早朝から王女殿下と遭遇、不意打ちというかびっくりするというか偶然なのだろうか。
この短期間でぼくたち兄弟の行動とか調べての行動だったらすごいな。
昨日の書類の件とかみていると賢い人だと思うから調べていない方がおかしい。
この温室にくる可能性は高い。はぁー、めんどうだな。
王女殿下が滞在中、温室以外の別の場所を点々として避けたい気持ちもあるけれど怪しまれそうだし、一度は話したほうがよさそうだと覚悟をしたのに王女殿下と夕食で会う以外接点がなかった。
今、樹海に向かって移動中である。王女殿下は乗馬服を着て一人で馬を乗りこなしている。
僕とアトレはいつものようにマイヤー騎士と一緒に馬に乗っていた。
なぜかいつもアトレは屋敷から樹海までの往復は僕の腕の中にいる。
これが続くならアトレ用の抱っこひもを作ってもらわないと2時間もこの体制は結構しんどい。
でも樹海に行ったら走り回ってそばにほとんどいなのにな。
王女殿下が同行しているので、我が家の隊員は無言で行動している。
今は王女殿下の護衛は全員同行しているが、ほとんどが砦で待機になり魔獣討伐経験が豊富な騎士3名が樹海に同伴、あとはすべて我が家の隊員になるそうだ。
僕たちが樹海に行ったときは15名ぐらいいたが今回は30名ぐらいの規模になる。
王女殿下の希望で、隊員たちの通常業務、ココットの雌の生け捕りや魔獣の討伐も直に見たいと希望されているため規模が大きくなったようだ。
砦に到着して、少し休憩を取り樹海に入った。
早速、一角ラビットやココットが僕たちに向かって突撃してくるから、討伐やココットの雌の生け捕りが行われ、説明をクリス兄様がリナルーナ王女殿下に説明している。
「カイル隊長が王女殿下に説明しないでクリス兄様なんだね」
「リーンハルト様、王女殿下と我々では身分が違いすぎます。また同行者も多く、通常業務もご覧になりたいとのご希望ですから、隊長は隊員たちへの指示や道中の警戒だけで手一杯ですよ」とマイヤー騎士が教えてくれる。
「ほんとはリナルーナ王女殿下の護衛兼説明でという話はあったのですが、隊長は、いやだーと逃げ回って、クリスフォード様に押し付け、いえ粗相があったらいけないとお願いしたのです」と僕の耳元でこっそり本当のことを話してくれた。
建前と本音ってやつですね。
カイル隊長の性格からして堅苦しいことは嫌いっぽい感じがする。
一角ラビットやココットの討伐、生け捕りをしながら広場まで来たので休憩に入る。
先行していた隊員がお湯を沸かして氷魔法で冷やしたお茶を用意してくれたらしくみんなに配られた。
いつもは冷たいお水だけれど今日はアイスティーでうれしい。
アトレが戻ってこない、どこまで行っているのか。
何もしていないよね。心配だ。
休憩が終わり、前回ブラウンベアがいた川へ向かって歩く。
王女殿下の希望だ。たぶんビアンカの話を聞いているからだろう。
隊が突然止まった。緊急事態かと身構えたが、マイヤー騎士が周りには魔獣がいないので川の方に何かいるのではないかと言う。
先発隊からの報告で、オーク3体とシルバーウルフ10匹が争っているらしい。
オークは肉と皮。皮は幌馬車の幌に、肉の味は豚肉に近く見た目もブタだ。ただ、前世のブタよりは2回りほど大きく2足歩行だ。素材としては人気のEランクの魔獣だが、皮に穴や傷ができると価値がさがるため討伐は腕・足・頭を狙う。
兄様たちと隊員8名の10名で対応する。
他の隊員は王女殿下と僕の護衛や周囲の確認などに分かれ、王女と僕は木陰から戦闘の様子を見ることになった。
ジェラ兄様と2人の隊員はオークの足を風魔法で、クリス兄様と3人の隊員がシルバーウルフ頭や足に風魔法や氷魔法を一度ぶつけて、半分以下に減らしたところで10人全員が剣で残りの討伐をした。
「マイヤー、魔法だけでも討伐できたと思うけれど、なぜしないの」
「Eランクですから剣だけで倒せます。魔法はできるだけ温存が基本です。高ランクの魔獣にいつ出会うかわかりませんからね。討伐は完了したようです、近くで魔獣を見られますか」
「そうだね。オークは初めてになるから近くでみたいな」
近くで見るとオークがでかい。これに体当たりされたら死んでしまうだろうな。
これでEランクなんて、樹海は浅瀬でも気が抜けないって言われているのがわかった気がした。
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