ラーメン憩い

ラーメン憩い 六日目

六日目。

カタカタカタカタ。パソコンを操作する美幸の頭の中は、ラーメン憩いでいっぱいだった。

ラーメン憩いに行きたい。

「島谷くん！」

「はい？」

ふと見ると、そこには社長の姿が。

「社長。おはようございます」

立ち上がり、挨拶した。

「どうされましたか？」

「どうされたじゃない！お前、何て事をしてくれてんだ！」

「はい？」

何に対して怒っているのか分からないが、社長が出てくると言う事は相当だ。

「昨日！大手企業の三谷様から電話があって、君が情報を漏らして、ライバル会社に売ったと話しが来たんだ！」

「……………………えっ？」

瞳を揺らし、唖然としてしまう。

「それ、私じゃ無いです」

「データが残ってるんだよ！君が電話をしたデータが！お前のような奴はクビだ！出て行け！出て行けええぇ！」

「………………………………………」

浴びせられた言葉は、衝撃的だった。上司の哀れむ視線や、部下の同情している視線。自分がした事じゃ無いのに、今日。クビになってしまうとは。すると、デスクに座っていた瀬田の口角が緩んでおり、手を振る姿が。

カチッカチッカチッカチッカチッ。ラーメン憩いの壁に掛けられている時計が、静かに鳴り響く。

「………………………………………」

ナガレは厨房に立って、島谷が来るのを待っていた。いつものように、良い音を立てて、良い顔をして食べる彼女を、待っていた。鈴はカウンター席を濡れたピンク色のダスターで拭いており、尊は座って頬杖を付いていて、夢も寂しげに立って、美幸が来るのを待っていた。純也も今日はパッとしない。

カチッカチッカチッカチッカチッ。