願いを叶える魔法の傷薬~俺の異世界転生に必要なスキルを72時間しか遊べない体験版ゲームで取に行くところです~

ゼルダのりょーご

文字の大きさ
上 下
67 / 70

067

しおりを挟む

 
 昨晩、布団の中で女神エンジンを閲覧していた。
 それは寺子屋に関してだった。
 学問はどのようなものだろうかと。
 夜通し徹夜ってわけにもいかない。
 夜更かしは早死にの元だ。

 だからほんのすこし、おさらい程度に見て置いたのだ。

 くりかえし読み上げて、いくつか暗唱できるぐらいに。
 それが当日来てみて流れで口にすることになってしまった。

 俺は盤次郎の顔を見に来ただけだった。
 お里との約束の手前、早々に帰るつもりでいた。
 あいにく盤次郎がそこに居合わせなかった。
 居合わせたのは通学の他の生徒だった。

 出会った小夜子の厚意で教室に顔を出すことになって。

 本来文字を読めることが困難な町民の子である。
 しかも7歳なんて現代でも、平仮名程度なら親が居れば不思議ではないが。

 小夜子に指摘され、ハッとする。

 ただ、いい気になろうと思っていたわけではないのだ。
 貧乏人がこんな場所に通うことは、どういう状況を生むかを案じて。
 そう、盤次郎がうまく溶け込めているのかが心配で。
 来てみたのだが。

 案の定、庶民であっても格差はあったか。

 為吉の差し向けた卑下の言葉につい、カッとなって。
 覚えたばかりの孟子の言葉を得意げにそらんじてしまった。
 
 結果的に。

 為吉と居合わせた十人の生徒が「えっ」と声を上げた。
 意表をつかれたように口を吐いたのだ。
 小夜子も驚いて、俺を見ながら賞賛?した。

 為吉の表情を見るに、どうせ「馬鹿の一つ覚え」なのだろうと否定の色がうかがえた。生徒たちも同様にまぐれ呼ばわりをした。

 だがこのままでは恥をかかせたであろうこの者たちからテストされてしまう。
 瞬間そう思い、手に取った教科書を返して回れ右を決めたのだ。

 そうそうに退室をしようと走り出したその時、入ってきた誰かとぶつかった。


「みんな、大変だ!」

「どうしたの、血相かえて」

 
 どうやらここの生徒のようだ。
 慌てた様子で飛びこんできたのだ。


「藤吉郎先生が大名行列に巻き込まれて、お縄になったんだ」

「何ですって? 先生に限って。どういうことなの?」

「それが勉強会にいく道中に行列があったのだが、子供を庇おうと盤次郎が余計な進言をして籠を止めたらしいのだ」


 やばい。やばい状況のやつだ。
 大名行列に巻き込まれた子供を庇った盤次郎はどうしたんだ?

 為吉と同様に身を乗り出して状況を問いだす生徒。


「あの身の程知らずが、余計な真似を! 盤次郎はどうした?」

「勉強会には参加するように先生に言われて会場の宿場へ行ったよ」


 盤次郎が向かったのは宿場。
 なにか特別な催し物があるようだな。


「先生がてめえのせいで大変なのに恒例の知恵比べに出て、いい気なもんだな」


 盤次郎はそんなにも認められているのか。
 宿場っていえば、どのあたりだ。


「ねえ、おねえちゃん。バンさんはどこいったの?」

「勉強会といってね、他の寺子屋の生徒との交流に出かけたのよ」

「場所はどこですか?」

「カミセの宿場町にあるお座敷よ」


 カミセ?
 

「…ツナセじゃなくて?」

「えっとね、ツナセ界隈はずっと西の方よ。ツナセまでは行かないわね」
 

 そうなんだ。
 どうやら東のエリアはカミセと言うらしい。


「それじゃあ、神社はカミノセだったりしますか?」

「え、カミノセ…神社? そんなの聞いたことないけど。いま大変なことが起きてるから構ってあげられないの、ごめんね」

「お嬢さん、先生のもとに急ぎましょう!」


 俺とぶつかった生徒が小夜子に向けて言った。
 この子は先生のお嬢さんのようだ。
 小夜子も慌ただしく教室を出て行くようだ。


「とりあえず番所へ急ごう、為吉さんたちは自習をお願いします」

「仕方ねぇな。小夜ちゃん、藤吉郎先生のこと、しっかり頼んだぜ」


 小夜子は神社の存在を知らないと言った。
 こちらの方にはないのかもしれない。
 確かに出て来た祠は寺のお堂だったし。

 向こうがツナセでこちらがカミセなら。
 神社があるとして、カミノセかと思ったものだから。

 それにしてもここの先生は大変なことになったな。
 いくらかの生徒が番所へ急いで行った。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~

トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。 旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。 この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。 こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明
ファンタジー
 秋津直人、85歳。  50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。  嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。  彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。  白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。  胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。  そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。  まずは最強の称号を得よう!  地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編 ※医療現場の恋物語 馴れ初め編

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

強奪系触手おじさん

兎屋亀吉
ファンタジー
【肉棒術】という卑猥なスキルを授かってしまったゆえに皆の笑い者として40年間生きてきたおじさんは、ある日ダンジョンで気持ち悪い触手を拾う。後に【神の触腕】という寄生型の神器だと判明するそれは、その気持ち悪い見た目に反してとんでもない力を秘めていた。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *無断転載、無断翻訳を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

処理中です...