願いを叶える魔法の傷薬~俺の異世界転生に必要なスキルを72時間しか遊べない体験版ゲームで取に行くところです~

ゼルダのりょーご

文字の大きさ
上 下
57 / 70

057

しおりを挟む

 
 意識を奪われてしまった。
 そのままどれぐらい時間の経過があったのかは分からない。
 それを計り知る術はない。
 
 目が覚めた。
 そこに青空はなかった。
 ただ静寂に包まれていた。
 宿屋にでも運ばれたのだろうか。

 
『目を覚ましたようだな、気分はどうだ?』


 その声を聞いた俺は、思わず立ち上がった。
 う、嘘だろ!?


「め、女神様! これはいったい??」


 目の前に女神がいた。
 これは、女神の祠に戻っているようだ。


『思い出して見るがいい』


 あ、
 駒次郎に首を絞められて、落ちたのだった。


「え、あの……。もしかして女神様が窮地から救ってくれたのですか?」

『私が手を貸せるルールだったかな?』


 涼しい目をして女神はそう告げる。
 あ、そんなわけないのか。
 それじゃあ。


「…俺、駒次郎に殺されたんですね?」

『初日に死んでしもうたな』

「ははは……。面目ないです」


 痛みや恐怖はそれほど残っていなかった。
 女神の声も落ち着いているし、そんなに落ち込まずとも良いみたいだ。
 なんとも情けない気持ちではあるが。

 まだ夕暮れにも至らない時間帯だった。
 半日も持たずに死んでしまったのか。


『まあ初回にしては良く生きた、どれ戦歴を見せよ』


 あ、あれか。
 ステータスオープン!


『ほう。しっかりバトルで人助けをし、効率よくポイントを稼げておるな。
 1000ptには満たないが、半分近く稼いだな。やるではないか。
 
 この調子で死ななければスキルを取得できたのだが、残念だったな』

 
 本当に言葉通りである。
 残念である。
 だがここで疑問点が生まれた。
 仕様についてだ。

 死んだら、やり直すわけだが。
 ポイントは続きからなのか、ここで失ってゼロから再出発なのか。
 俺は訊ねた。
 教えてくれるのかな?


『すこし経験を積んで来たようだから、すこし答えてやろう。

 経験を積めるのはゲーム内だけで、ここはログアウトの空間だ、つまり無効だ。

 ここに来てしまうと失点になり、点数は一から稼ぎ直す必要がある。
 でなきゃ、死のペナルティが弱い。ペナが弱いと強力なスキルが引き出せない』


 ゲームの世界を体験して来れば、答えてもらえる項目も増えるのか。
 今回はスキルを貰えないのか、辛いな。
 このまま、またあそこに戻って行くのかよ。
 気が重いなぁ。


「また、すぐ行かなくてはダメですか?」

『これ以上、ここに留まる理由はないぞ。多少の経験だったが、多少は強くなっておる。多少の自信は持って良いぞ。

 では、ジョブチェンジからだ。
 どうしたい? このまま忍者で行くか? それとも変わりたい存在はいるか?』


 変わりたい、ということは忍者は厳しかったからだな。
 その気遣いは嬉しいけど、忍者じゃなくなれば益々厳しいと思う。
 どうやってpt稼ぐんだ。

 
「俺が、ptを稼げるのは忍びの特技があってのことだった。
 その体験後、村人は怖くて選べないです」


 ジョブチェンジはパスして。このまま忍者を継続したい。
 けど、ここでも疑問点があるので訊ねたい。


「ゲームを体験して知ったのですが、俺が成ったのは少年忍者サスケでした。
 べつの忍者も選べたりするのですか?」


 おやまた、女神が怪訝そうな顔を見せている。


『サスケはお前にとって不適合だったのか、扱いやすい存在でなければ返って辛くなると判断してのことだったのだが』


 扱いやすさ、か。
 確かに。
 そして俺はサスケで間違いなさそうだな。

 駒次郎なんかに成ったら、強い分、敵も引き付けてしまうんだな。
 あいつこそ、何を抱えているのか分からないし。
 戦う必要はべつにないのだから。
 死亡率を下げる意味では強い忍者は避けるべきということだ。

 つまりは出来なくはない、そういうことですね。
 さらに訊ねたいことが出て来た。


「駒次郎に会いたくないのですが、サスケのまま出る場所を変更できますか?」
 
『お前はこう言いたいのだな。
 
 二の舞に成りたくないから、出発地点を変えたいと。では、どこがいい?

 ツナセ街道。ツナノセ神社。宿場。芝居小屋。鉱山。綱隠れの里。長屋。
 すでに登場した名称でなければ駄目だが、候補はこれくらいだ』


 お、なるほどね。
 選択可能に成ったってことか。
 遊郭は除外されてるな。女じゃないから金を使う側になるってことかな。

 鉱山からの出発だと、駒次郎に出くわしそうだ。
 綱隠れの里か、長屋だな。あいつらの実家? も危険だ。

 綱隠れの里がいいかもしれない。場所を知っておくいい機会だ。
 
 うん?
 待てよ。

 すでに登場した名称と女神は言ったのか。

 とても重要なことだぞ、これは。
 俺もしかしたら天才かもしれない。
 そんなレベルのことを閃いちゃった。

 聞けるのなら聞いておきたい。


「教えてもらえるか分からないけど、とりあえず聞いてください」

『話して見ろ』

「時間軸の変更って可能ですか?」

 
 俺の質問の意味が不透明だったので女神はもっと噛み砕いて説明しろといった。
 女神が説明を要求してくれた。
 これはもしかしたら、もしかするぞ。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~

トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。 旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。 この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。 こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ
ファンタジー
髪の色がとてもカラフルな世界。 そんな世界に唯一現れた白髪の少年。 その少年とは神様に転生させられた日本人だった。 その少年が“髪の色=愛の証”とされる世界で愛を知らぬ者として、可愛がられ愛される話。 ⚠第1章の主人公は、2歳なのでめっちゃ拙い発音です。滑舌死んでます。 ⚠愛されるだけではなく、ちょっと可哀想なお話もあります。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

貞操逆転世界の男教師

やまいし
ファンタジー
貞操逆転世界に転生した男が世界初の男性教師として働く話。

天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜 

八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。 第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。 大和型三隻は沈没した……、と思われた。 だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。 大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。 祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。 ※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています! 面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※ ※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※

処理中です...