願いを叶える魔法の傷薬~俺の異世界転生に必要なスキルを72時間しか遊べない体験版ゲームで取に行くところです~

ゼルダのりょーご

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 腰を落ち着ける宿がきまった。
 ツナセ宿場のアヒルノとうい旅籠である。

 日本は広い。
 ましてや江戸時代ともなれば、俺が知らない地名などいくらでもある。
 江戸はここよりまだずっと東になるらしい。
 でもいいや。女神は黄門様がいる時代へ行こうといった。
 だから江戸というよりは、水戸の周辺に来ているのだと喜べばいい。
 時代劇が良かっただけで、べつに会って話したいわけでもない。

 それにたった3日間しか滞在できないんだ。
 目的は、あくまでも能力向上のスキルの獲得。
 そのために、俺が成すべきことがある。

 スキルポイントを貯めること。
 人助けに貢献すれば、それらに応じたものが稼げる。

 すでに、145ptを獲得した。1000ptを目指している。
 この点数に満たなければ、スキル獲得がかなわないのだと判断した。
 1000ptに関しては、『つぎのレベル』という文言が指し示すとおり、これはスキルの格付けではないかと考えている。

 つまり、点数に応じてより良いスキルを付与する、と女神が最初にこういった。
 それならば、このptの獲得に応じてという意味になり、スキルの質を示しているのだろうという結論に至っている。
 質の高いスキルが能力として大きい。それはわかる。
 獲得できるスキルの種類が今回のチャレンジで1種なら、このポイント表示は、レベルの高いものを狙うための目安ということだろう。

 1000ptで確実に1種のスキルがもらえる。
 しょぼい例にあった、『うんこを踏まなくなる』も1000ptが最低レベルではないかと。
 とにかく取得すればわかるのだ。
 取得できなければ、振り出しに戻される。失敗は避けたい。


「コマさんを3日の間にヤクザ者から解放する手立てをみつけなくちゃ。このポイントは大きいはずだ。ほかの誰かにおいそれとできはしないから。お里という娘の身請け金をどうやって稼ぐのか」

 駒次郎の苦悩はそれに尽きる。
 身請け金さえあれば、すべて丸く収まるのだ。
 奴らも納得し、手を引くことを前提に話を進めるのが肝心だ。

 街道のときは咄嗟の行動だったから、こうなったが。
 おかげでゲームの仕様みたいなものが少しずつ見えてきた。

 いつまでも、悪人といえども倒し続けるわけにはいかない。
 奴らも商売と借金の形という名分がある以上は、役人に訴えるだろう。
 役人のお出ましは、要注意だ。

 問題は、お金なのだ。
 手元の3両では、とても足りない。
 借金も10両ぐらいにならなきゃ、身売りまで持ち込めない。
 遊郭からの卒業もそれ以上と考えれば、30両ぐらいは準備しなければ。


 ◇


「……」
「グン……。ご飯、口に合わなかったのか?」

 俺は、スキルの獲得に向けて脳裏に考えを張り巡らせていた。
 部屋には、温かい食事を乗のせた膳が運ばれていた。
「頂きます」と一言、手を合わせてから黙り込んでいたようだ。

 先ほどから、向かいで駒次郎の呼びかける声があった。
 飯の味はどうかと。

「ううん、とても美味しいよ」

 白いご飯。鮎の塩焼き。芋やゴボウを柔らかく煮込んだ惣菜。
 椎茸のお吸い物。ほうれん草を胡麻であえたお浸し。大根の漬物。
 デザートの串団子まである。

「それなら良かった。でも……旅の疲れをとるのには湯が一番だよ」

 適度に返答をかえして相槌を打っていたのが、返って心配をかけたみたいだ。
 旅の疲れが出ているのではないかと、風呂に入ることをすすめてくれる。
 食事はほぼ終わっていた。
 ご馳走さまをいうと、大の字になり、畳の上に寝転んだ。

 俺は、駒次郎をみて、

「一休みしたら湯につかるとしようか?」
「そ、それがいいです。早速伝えてきます」

 駒次郎は嬉しそうに、兄に伝えにいった。
 
 程なくして、戻ってきた駒次郎に俺は告げる。

「コマさんも一緒に入るか、あいつらに追い回されて汗かいただろ」
「い、一緒にはいるの?」

 なんか驚いた表情を見せたが。
 この時代、そういう感覚ってまだないのかな。
 俺はさらに言葉を加えた。

「俺に礼をしたいんじゃなかったの? 背中ぐらい流してよ」
「あ、そういうことっすね。えっへへ。もちろんお背中流しますとも」

 そういうことの他に何があるのだ。
 やたらと入浴を口にしながら。サービスしてくれるのではないんかい。
 浴場に入ると、掛け湯をして湯船にドポンと浸かる。
 駒次郎の手を引っ張って、なかば強引に湯に入れる。
 
 湯船に仲良く並んで浸かる。

「コマさん、こういうの初めて?」
「は、初めて……です」
「なんで? お里ちゃんと初夜を過ごしたんでしょ?」
「うちに風呂なんてあるわけないし、一緒にはいるわけないでしょ」

 べつにからかう訳じゃないが。
 女子に迫られて一夜を共にするって、そういうことじゃないの。

「ただ単に抱きしめ合って、別れを惜しんだってこと?」
「……グンは積極的なんだな」
「そうじゃないけど。もう会えないかもしれないんなら、口づけぐらいはするかなって。そんで気持ちが入って、がばっと……」
「が、がばっと?」
「お布団の上に押し倒して!」
「うわ、ちがうちがう! お里とはただの幼馴染だから。バカバカ……グンのバカ!」

 なんで俺のせいなんだよ。
 勇気が出せなかったのは駒次郎さんだろ。
 それだけ純粋だということか。

 なんにせよ、問題は、お金だが。

 駒次郎をともに入浴させて、いい気持ちも味わえたことだろう。
 そして赤裸々な話題で心のケアも一緒にして、人間としての距離は縮まったのではないか。

 さてSTの更新はどうなったかな。
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