願いを叶える魔法の傷薬~俺の異世界転生に必要なスキルを72時間しか遊べない体験版ゲームで取に行くところです~

ゼルダのりょーご

文字の大きさ
上 下
30 / 70

030

しおりを挟む

 
 駒次郎と街道で出会わなければ、10分ほどで宿場町に着いていた。
 それが何処だともわからずにだ。
 彼との接触で、ゴロツキを相手に10分ほど消費してしまった。
 ここは江戸ではなく、ツナセという宿場へ通じるツナセ街道だと知った。

 そこへ向かう道中だ。
 彼に道すがら事情を聞くことで、さらに20分が経過した。
 祠を出て、程なく街道へ出たので少なくとも、合わせて30分が経過した。

 街道を東へ歩き出すと、すぐ彼らの存在を忍びの聴覚で感知した。
 その時も数分が経過したはずだ。
 これで、40分弱。
 こちらの計算上ではあと10分ほどで宿場へ着くだろう。到着までの時間は約50分となる。
 そこまで行ければ、この世界で50分間を生きたということだ。

 いきなり戦闘なんかすれば、命を落として失敗だった可能性もある。
 だが、すんなりと人の助けとなれた。
 すがすがしい体験に心が躍った。
 一時しのぎだが。その勝因は先手必勝にあった。
 俺は、ぐだぐだとした相手の事情を聞いているうちに、相手のペースに持ち込まれると判断したのだ。

 人に意地悪をする連中には、嫌というほど心当たりがあるからだ。
 理屈で勝っていても道理に反する行いをするからヤクザなのだ。
 部外者の正論など通らない。ならば物理でいくだけだ。俺としても、相手に手を出させて様子を見ていられるほど、立ち回りに自信はない。

 それなら忍者の特技で素早く打ちのめすのが、有効だ。
 特技にイシツブテがあり、その命中率が30とあった。あくまで確率だから、どこを狙うかが重要だと考えたのだ。
 悪人といっても、出会い頭に人様に石をぶつけるには勇気がいる。
 それも大人より威力が大きいことは表示で確認済みだし。
 最初は、足を狙った。それが少し外れて顔に着弾したようだ。上下にずれるとその範囲だとわかった。左右に外れてもその範囲なら、ゴロツキたちが逃げ場を塞ぐ対策として俺たちの周囲を囲ったことは、返って好都合となった。

 奴らの立ち位置がばらついているよりも、どこを向いても均等な間隔でいてくれたことだ。これで左右にも外れる確率は下がる。
 下がるというより、狙った者から外れた所に他の者がいただけなのだ。
 連投すれば、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる。という結果がでる。
 ここに無関係な者がいなかったことが幸いした。そこは今後気をつけねば。

 俺は生前、学友と草野球を経験した。投げるのも、打つのも下手で結局、仲間外れになった。
 どちらも命中率が関係していた。ボールを打つのもこの確率とわかっているなら三振ばかりはしなかったのにな。


 ◇


「グン、宿場に着いたら、おれがいい宿を案内するよ」
「いい宿? 雨露をしのげればそれで良いんだよ。目立つ所は控えたい」
「もちろん、上等って意味じゃないよ。旦那様と働き手の人の良さだよ、心配しないで期待しててよ」

 なんだか駒次郎が張り切っているように思える。
 案内は嬉しく思う。あるに越したことはない。
 これで宿の確保に手間取らなくて済むわけだし。
 
「料理が美味しくて、湯も評判で、部屋もたくさんあるんだ。安くて客足も多いからかえって目立つことがないと思うよ」
「なるほど、一理あるな。大きな宿で人の出入りが多い所か。よし、宿の方はコマさんに任せるよ」

 彼は彼で大変な事情を抱え込んでいるというのに、助けた礼だといい、道案内と宿の紹介までしてくれるというのだ。

 宿場にたどり着いた。
 多くの人が行き交っていた。
 宿までの道のりも案内があるので、すんなりと到着した。

「ここがコマさんのオススメか?」
「はい。アヒルノ宿屋さんです。おれの兄ちゃんが奉公させてもらっているんだ」

 どおりで強く推してくるわけだ。

「お兄さんがね。下働きですかな?」
「風呂の薪を割って、風呂釜の火加減を任されています」
「ほう、では早速部屋を取るとしようかな」

 駒次郎が客引きをして来たかのように、俺を案内した。
 空いていた小部屋をひとつ借りてくれた。
 早速、風呂に案内してくれようとしたのだが、俺は断った。
 なぜなら女神と別れて一時間も経っていないからだ。
 走って汗をかいたわけでもない。ゴロツキたちは軽くひねった程度だし。

 それより水飴せんべいを食べ損ねたせいか、腹が鳴っているようだ。

「風呂は食事のあとでいい。2人前、自慢の料理を頼む」
「そんなに食べるんですか?」
「なにをいってるんだ。コマさんの分に決まってるだろ」
「おれも食べていいの?」

 兄がここで働いていたのは意外だったが、追われの身だぞ。
 このまま長屋に帰っても、連中に捕まるのは時間の問題だ。

「コマさんも一緒に泊まるんだよ。このまま家に帰ってもヤクザが諦めると思うか?」
「……いや」
「そもそも、俺が隠れる理由はないだろ。俺強えし。コマさんをかくまうための宿だ」
「……ッ! う……かたじけない」

 町民がいう台詞だったか。
 俺のための宿だが、君にいなくなられては俺が困るんだよ。
 スキル獲得のためのポイントが欲しいんだ。問題児じゃなければ人助けの難易度が下がるからだよ。
 
「泣くなよ、うまいもんでも食べて元気をだして」
「うん」

 番頭を呼びつけて二人分の宿泊に切り替えてもらった。
 二泊三日。
 三両で足りるかと尋ねると、番頭は一両で釣りがくると答えた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

『お前を異世界に配置する』

ゼルダのりょーご
ファンタジー
主人公レオ。14歳男。 14の夏に突然死が訪れた。 目の前に現れた女神は彼に告げる。 「お前を異世界に配置する」 配置されなければならない理由は身勝手で自己中心的であった。 彼に死をもたらせたのは、この女神だったから。 レオの「死」はもう動かせない事実。 彼は、コワ可愛い女神をゆるして異世界に旅立つ。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~

トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。 旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。 この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。 こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

強奪系触手おじさん

兎屋亀吉
ファンタジー
【肉棒術】という卑猥なスキルを授かってしまったゆえに皆の笑い者として40年間生きてきたおじさんは、ある日ダンジョンで気持ち悪い触手を拾う。後に【神の触腕】という寄生型の神器だと判明するそれは、その気持ち悪い見た目に反してとんでもない力を秘めていた。

処理中です...