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しおりを挟む来るな、来るな、たのむ来るな!
ばか女神、デリカシーの欠片もないのか。
待ってくれ、もう少しだけ。
あと少しでフィニッシュに辿り着くんだ。
こうなりゃ速度をあげるしかない。
うおおおおおっっ!
「もうダメっ……」
『どうした、なにがダメなのだ?』
そんなこと口が裂けても答えられるか!
『腹でも壊したか。こっちを向くのだ、手当くらいはしてやろう』
「え、うわっ! そんなとこ掴んじゃダメ……」
呼びかけに応じない俺を心配して、女神が俺の片膝を掴んで自分の方へと向けた。
祠の出口になる扉からは幾重にも陽の光が差し込んでいた。
逆光により──女神は、ほぼシルエットで佇んでいた。
「ほんとに女神さま? まるで後光が差しているようだ」
外の陽光ではなく、自分のためだけに優しく接する君が眩しくて。
一瞬で我を忘れてしまっていた。
俺はまたぐらを開脚させれ、あられもない状態で、くるりと女神と対面した。
その刹那──呆けるように彼女に見惚れてしまっていた。
自慰行為ですっかり火照っていた体だったが、全身の力が一気に抜けてしまい。
朝に目覚めた時のように自力じゃ止められない放出を許してしまった。
「だから待ってと──」
言いかけて止めた。
もう──思い残すことはないよ。
これで生への未練は断ち切れただろうから。
抜けた力はすぐには戻らない。
背筋に恐怖が走るも、なにもできない自分がいる。
引っぱたかれるんだ──きっと。
悪さをしたその生き物の首根っこを掴んで、引っこ抜くかもしれない。
屍だからって、めちゃくちゃに扱わないでくれぇ。
そんな妄想に駆られる。
女神の両手で俺の両足はがっつりと開脚させられている。
勝手に見たうえに、雑草のように引っこ抜かれる。
それに今……滑りやすくなっているから。
何度も掴み損ねるかもしれない。
思わず想像したら、恥ずかしくて死にたくなってきた。
穴があったら入りたいけど、いまタイムトンネルを抜けてきたところだ。
すでに死んでいると言われた身だけど。
アホらしいぐらいに、余計にみじめになった。
怒鳴られるだけで済むなら、もう怒らないですよね。
急いでいらっしゃるもんね。
震えながら、涙声になる俺がいる。
女神さんは元から白かったから、気にしないで下さると助かります。
『おい、なにか飛んできたぞ。やけにドロドロしておる……』
飛沫を浴びせてしまったのだ。
まさか、こんな事態になるとは予想もできなくて。
『腹を壊して、ゲロでも吐いたのか!?』
まったく、ハレンチ転生者だな、俺…………って!?
うおおおっっ、ゲロなら許されるのかっ!?
さすが、神様だぁ!
ちょっとやそっとじゃ動じねぇな。頼もしすぎる!!!
心配して損しちゃった。
でも正直に打ち明けたらキレるかもしれない、油断は禁物だ。
それならゲロだ。
ゲロってことで誤魔化そう。
「そ、そ、その通りなのです! この暑さでお腹の調子が。ゲロなんか巻き散らしてごめんなさい」
ジンジンしている下半身にエクスタシーを残しながら、俺は生みの母に甘える様に泣いた。
女神のシルエットは、降りかかった俺のアレを光の泡で浄化しているように見えた。
「あの、やっぱりそれってお清めが出来るのですね?」
『そうだ、それが女神である私の基本スキルだからな』
女神の基本スキルは浄化なのか。清廉潔白なイメージにピッタリじゃないか。
『どれ、お前の身体の汚れも拭い去ってやろう。泡では時間がかかる。立てるか?』
え?
このまま直立しろってゆーのか。
ええいっ!
もう、なるようになればいいさ。
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