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しおりを挟むえ、調べられるの。マジで!?
あ、そうか。
図書館とか資料館とかあるな。
くそっ。すっかり忘れてたわ。悔しくて腹立つな。
「マジっすか。調べてもらえるんだ、女神様すごい!」
『お前は、まじでアホだの──』
なっ。
なんだよ、こいつ。
ほめてやれば、すぐこれだ。まったく、女ってやつは。
上から目線でよ。優等生の女子がこんな感じでいつも虐待感を抱えているから。
冷めた視線がたまらなく女狐のようだ。
プンスカプン。
こっちが興奮すれば、またキレられるかもしれない。
ここは落ち着いて返すのだ。
「言いたいことは分かるよ、うん。でも俺、貧乏だから本を買う金はないよ。それにだな──」
女神の方がどこかの図書館から歴史本か文献を引っ張って来いよ。
俺も文字は読めるから。さっきアンタがいったじゃん。
金の勘定と文字が読めれば十分だって。
だいたいアホはそっちだろ。
俺は死んだから、図書館なんかに行けないだろ。
なんのための神様なんだよ。
『──それに。死人だから現世には戻れないはずだ、とか──私がそれを念頭に置いていないとでも言いたげだな。申し訳ないの、お前に死を告げたのは誰だったか教えてはくれぬか?』
あ、あなた様でございます。
これは一本取られましたな。
「あっはっは……」
ここは笑って誤魔化すのだ。
『さらに言わせてもらえば──私がお前の時代の神なら、なにもお前に訊く必要はないだろ。私は異世界から来たと伝えたはずだ。つまり本屋の場所も知らなければ、この世界の金も持っておらぬ』
は?
「場所なら俺がいくつか知ってるよ。聞いとく?」
『私は生きている人間には接触できぬ。それに盗み見などという愚行もできぬな』
愚行……っていわれても。
じゃあ、どうやって調べるんだよ。
俺も行けない、アンタも行けない。
結局、お手上げじゃないか。
意味不明だわ。
俺が怪訝そうに眉根を寄せていることだけは、顔に書いておこう。
『なぜそのような顔をするのだ。そのための【女神エンジン】なのだ。お前の頭の中に入れただろ? 先手を打っておいた私の聡明さに感謝しろ』
うん?
そういえば、なんか得体の知れないもん頂いたな。
あ、女神の知識が全部詰まっているという……あれか。
何だよもう、それならそうと優しく教えてくれればいいのに。
教師には向いてないな、こいつは。
向いてる必要もないか。
それは単なるこっちの願望だが。
「なあんだ、そこに江戸時代の情報が入ってんのね。早く言ってくれれば良いだけじゃないっすか」
『ほう……どのタイミングで言えば良かったのだ。非常に興味深いな。ぜひとも教えてはくれぬか?」
「え、タイミングって。それ、どういう意味なの?」
『だから。私がお前に【女神エンジン】を入れた。そのあとすぐに教えるのか? 膨大な神の知識を? 言うからには飲み込めるんだろうなお前?』
なんだよ、後半の所、めちゃくちゃ語気を強めたぞ。
斜に構えて、凄んでやがる。
こういう時のこいつは嫌いだ。意地悪女め。
どういう意味なんだよ。覚えれるわけないだろ。
あんたの世界の全部なんて。
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