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しおりを挟む「俺の体内に女神の知識ぜんぶあるの……か。って、どうやって理解できるの中二の俺が」
『案ずるな、逆だ……』
「え、ギャグですか?」
カチンと来たかな? 宝石の様な瞳に、ギラっと力が籠る。
『逆だと言った。私と比べるまでも無いが、お前はものを知らなさすぎる。つまり無知である。それではお前を強化できないからな。そのシステムは魔法だ。お前の中に私がいるようなものだが、お前自身に異世界の知識がなければ、スキルが解放されないのでな』
女神も時々感情的になり、質問に答え切ってくれないな。
魔法とか、スキルってなんだよ。また別のワードを出してきた。
俺の頭の悪さを問いながら、話のペースが速いんだよ。
まったく好き勝手かよ!
なんの痛みも感じないと言っても、頭にあんなデカイものを入れられたら受け止められない。一旦すかして恐怖ごと否定したが、女神の声のトーンがすこし低くなった。
そっちも怖いので、もう神経を逆撫でするのをやめようかと。
だけど逆の意味は知っておきたい。
「それで逆というのは?」
『良い質問だ。私の膨大な知識を一度には読み込めないだろうから、少しずつ小出しにして、分け与える装置だと考えろ。分かったな』
単なる疑問ですが……。
そこは素直に頷いておこう。
『今から説明をするが、私の知識もスキルの一種だ。お前は自動的に進化していく』
「うん……」
おお!
自動的に進化するんだ。だから埋め込んだのか。
小難しい勉強で苦しまなくて済むように配慮されている。
ただのガキをさらってスパルタでは、あまりに地獄で無慈悲だからな。
『では、スキル取得について触れて置くか。まず、お前は死んでも非力な人間のお前だ。だが身体を鍛える必要はない。なぜかと言えば、特化された能力がすでにある。それはスキルと呼ばれる。これからゲームに挑戦してもらい、成績に応じてスキルをボーナスとして取らせる。ここまでは大丈夫か?』
ゲームか、……なるほど。
それで神様の力でもって俺の身体能力を大幅に強化して行けるのか。
身体を鍛えなくても強くなれるのは、すごくてありがたいです。
どんなゲームかにもよるけど。
「だから神様の持つ知識が、そのゲームに必要になるのですか?」
『いや。ゲームに関しては心配はいらぬ。お金の勘定と文字が読める程度でいい。下界の店で飴を買い、紙芝居を見ていたな……それだけで十分だ』
え、そうなんだ。
それならそのゲームは俺の知識で理解できる範囲ってことだから。
難しく捉えなくていいかな。
俺の身体には様々なスキルが内包されている。おそらく知識として。
ゲームでスキルをもらうって所が、たぶん試練なんだ。
女神が認めてくれた時、この身に特別な何かが湧現してくる感じかな。
ゲームの挑戦者としての条件は整っているようだ。
でも、これって他のやつらでも良かったわけだよな。
女神は条件を持つ人間を求めてこの町にやって来た。
そこに偶然、俺が死んでいたので鍛えて連れて行こうと。
そうなると、スキルの中身が気になる所だ。
俺はすでに死人。
もう死ぬこともないんだろうな。たぶん。
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