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 「で……出稼ぎって。ちょ、ちょっと──」

 貧乏神の世界からやって来たのかな、この方は。

 要するに、中二の神様が作ったゲーム世界に参加して欲しい、と。
 神様の作ったゲームが神ゲームじゃないのかと訊ねると、それがどうも違うらしいのだ。

 出稼ぎに行った他の神たちはそれぞれ異なるルールの世界を作った。
 神様だったらそれぐらいやってのけるのは朝飯前だろう。

 だが、中二の神様は俺の耳元でこう言った。

『そして私たちは今や、レンタルゴッドなのだ』

「……レンタルえっちビデオみたいな感じのやつですか?」

 中二の神様が眉根を寄せた。
(お、怒られる。か、雷が落ちる……)思わず頭を抱える俺がいる。

『はじめて説明が要らない奴に会ったので助かるわ』

「は?」

『ハーレムのような破廉恥なものばかり……私には耐え兼ねんのだ』

「でも中二なら、そろそろ耐えれる頃合いでいきませんと……童貞神に、いや」

『じゃあっかましぃ──わっ! テメェもう一回、絞め殺すぞっ!!』

 さっきまで保健室の美人先生みたいに優しい声と顔立ちだったのに、豹変した。
 ドスの利いた声でキレてきた。これはガキ大将の脅迫より怖かった。

「ひぃ! ごめんなさい。こ、殺すなんて物騒なこと言わないでください!」

 むしろ童貞を脱する機会に恵まれるかも知れないから、喜ぶべきだと言おうとしたら言い方を間違えてしまっただけなのだが。

 待て。

 俺の死因は……こいつだったのか。しかも、絞殺だし。

 死の恐怖を打ち払ってくれたのも証拠隠滅のためだ……確信犯、いいや計画的犯行というやつか。

 お巡りさん、犯人はこいつです。
 必ず死刑にしてやってください。
 しかし相手は神だ。日本警察の優秀な検挙率でも、もはやお手上げだ。

 これが本当の神業殺人というやつなのか。
 もはや迷宮入りではないか。お母さ──ん!

『もう観念して、私の世界の迷宮に出かけて来るのだ!』

 そっちの迷宮も謎過ぎて怖い。

「行きますよもう、行かせて頂きますよ! だからルールだけでも聞かせてくださいよぅ! でなきゃ成仏できやしませんて」

 どうやら年貢の納め時が来たようだ。この転生への宣告がくつがえることはないようだ。

『成仏? それはしなくて良い。お前には、作者になってもらいたいのだ』

 はい? 
 ゲームの駒だと言ったじゃないですか。

 年貢の納め時はさておき。
 作者とはいったい何のことなのだ。
 やっと真実を理由を語り始めるようだ。
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