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始まり
実力
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十一
かなり速い自分の心臓の鼓動が伝わってくる。
例え異世界だとしても、女性は女性である。
現実で、彼女一人いなかった高校生が、夜3時頃に女性の部屋のベットに並んで二人きりとは、かなりハードである。
「なんで黙ってるの?」
「付き合ってって言ったのはルミルさんじゃないですか...」
ルミルは飴の包装紙を取りながらこう言った。
「それもそうか...。飴、美味しい?」
「はい。なんか昔を思い出します...俺の友人も、飴が好きだったんですよ。次会うときはペロキャン持ってきてやるって言ってたんですけどね....。」
「...?」
「もう、会えないんです。なんか少し遠いところに行ってしまった気がします。」
あいつの顔が頭によぎる。
「....なんかすまない。悲しい過去を、掘り出してしまったな。」
「でもここに来て新しい仲間が見つかった気がします!これからもよろしくお願いします。」
ルミル少し悲しげな笑顔をこぼした。
「...自分が、お前をクロミツ呼ぶと言った理由はもう一つあるんだ。半年ほど前、このギルドに魔術師が、来た時があってな...」
いきなり始まったルミルの、神妙な話に少し戸惑ったが、黙って聞く事にした。
「その時の、魔術師はとても出来る奴で、お前のように明るかった。でも、自分はどうしても喋るのが苦手でフレンドリーになれなかった。そのせいもあるのか、約一ヶ月でギルドを退会してしまってな。だから、お前にはフレンドリーに接しようとする、努力の一つ目だ。」
ルミルは、ベットに座ったまま窓の外を眺めている。
彼女は数秒の間の後、大きく息を吸いこう言った。
「お前、クロミツは、この呼び方気に入ってくれているか...?」
「勿論です!俺、黒蜜きな粉パフェよく食べてましたよー!」
かなり明るめな応答をしてみた。晴夫に初めて連れていかれた時は感動の感激のオンパレードだったことを覚えている。
「本当か!?今度、特訓の合間に食べに行かないか?いいパフェ専門店を知っているんだ!」
顔を真っ赤にして、今にもヨダレが出そうな笑顔で食いついてきた。甘い物の話になると急に、テンションが上がる所が、まさにJKに似ている。こんなに普段とのギャップがある奴は、いなかったが....
「良いですねー!是非とも連れていってください!パフェ専門店かー。いろんな味があるのかなー。抹茶とか、あずきとか....あ。マジ?」
ルミル急に眠くなったのかバタンと言う音とともに寝息をたて始めていた。
ミツルは、微笑し、近くに置いてあったタオルケットを、掛けてルミルの部屋を出た。
十二
「それでは今からクロミツ氏の実力確認を始める。ここは、自分たちがいつも使っている狩場、《カルサナ山脈》だ。」
「何堅苦しい事言ってんだー!いつもなら『はーい、狩場到着ー。一時間後に集合ねー。』程度だろ!」
ロイがヤジを飛ばす。
「ゴホン。とにかく、クロミツ。そこのミノタウロス切ってみな。」
「了解でーす。」
気の抜けた返事とともに左腕を外す。
右手にもち、剣ができるまで八秒。
「....ッ。」
沈黙。
「おいクロミツ早く行かんか。」
「え、行ってきましたけど」
約五十メートル先のミノタウロスに、一瞬で斬りかかり戻ってきたのだ。
「よく操れたな...そのスピード。」
「もう、意味わかなんないよー...」
その後も、数時間掛けて数百体のミノタウロスを切り倒していった。
全員が、満足するまでやるのがこのギルドの掟だ。
今回はミツルが、リスキルしまくったので、他のメンバーは諦めたらしい。
「よし、結構経験値溜まったか?クロ。」
「クロ以下略になってますよ...え、あれだけ倒して経験値上昇がこれだけなの?」
ミツルの、レベル2に上がるためのバー、つまりレベル1の3分の1程度しか溜まっていなかった。
「これは『固有スキル』かもしれない。普通はメリット系のスキルがつくが、ステータスが異常に高かったり生まれつきの能力的なのがある人は、デメリットが付く可能性がある。」
「ちなみに私達の、固有スキルは、ロイが『絶対守備』ルミルは『超狙撃』サリアは『自己防衛』そして私が『起死回生』と『完全主義』だ。」
「えー、何故ティアナさんは二つ固有スキルがあるのですか?」
「稀に二つ付く、冒険者がいる。大体レベルアップで付与されることが多い」
「なるほど。選ばれしって感じですね。効果とか教えてもらえたりしますか?」
「効果は、別章の《登場人物のステータス》に書いてあるぞ(キメ顔)」
「何の話ですか...」
「クロミッちゃんのの固有スキルは?」
「何故、急にちゃんが付いている...」
ステータス画面を下にスクロールすると文字が出てきた。
「固有スキル『不成長』...なんか見るからに弱そうダネ。」
「だな。まあ今日のところはこれで引き返すか。あとクロがこの強さあのことも考えてもいいかもしれんな。」
「あの事ってなんですか?」
「ネプチューン討伐だ。」
第一章 始まり 完
かなり速い自分の心臓の鼓動が伝わってくる。
例え異世界だとしても、女性は女性である。
現実で、彼女一人いなかった高校生が、夜3時頃に女性の部屋のベットに並んで二人きりとは、かなりハードである。
「なんで黙ってるの?」
「付き合ってって言ったのはルミルさんじゃないですか...」
ルミルは飴の包装紙を取りながらこう言った。
「それもそうか...。飴、美味しい?」
「はい。なんか昔を思い出します...俺の友人も、飴が好きだったんですよ。次会うときはペロキャン持ってきてやるって言ってたんですけどね....。」
「...?」
「もう、会えないんです。なんか少し遠いところに行ってしまった気がします。」
あいつの顔が頭によぎる。
「....なんかすまない。悲しい過去を、掘り出してしまったな。」
「でもここに来て新しい仲間が見つかった気がします!これからもよろしくお願いします。」
ルミル少し悲しげな笑顔をこぼした。
「...自分が、お前をクロミツ呼ぶと言った理由はもう一つあるんだ。半年ほど前、このギルドに魔術師が、来た時があってな...」
いきなり始まったルミルの、神妙な話に少し戸惑ったが、黙って聞く事にした。
「その時の、魔術師はとても出来る奴で、お前のように明るかった。でも、自分はどうしても喋るのが苦手でフレンドリーになれなかった。そのせいもあるのか、約一ヶ月でギルドを退会してしまってな。だから、お前にはフレンドリーに接しようとする、努力の一つ目だ。」
ルミルは、ベットに座ったまま窓の外を眺めている。
彼女は数秒の間の後、大きく息を吸いこう言った。
「お前、クロミツは、この呼び方気に入ってくれているか...?」
「勿論です!俺、黒蜜きな粉パフェよく食べてましたよー!」
かなり明るめな応答をしてみた。晴夫に初めて連れていかれた時は感動の感激のオンパレードだったことを覚えている。
「本当か!?今度、特訓の合間に食べに行かないか?いいパフェ専門店を知っているんだ!」
顔を真っ赤にして、今にもヨダレが出そうな笑顔で食いついてきた。甘い物の話になると急に、テンションが上がる所が、まさにJKに似ている。こんなに普段とのギャップがある奴は、いなかったが....
「良いですねー!是非とも連れていってください!パフェ専門店かー。いろんな味があるのかなー。抹茶とか、あずきとか....あ。マジ?」
ルミル急に眠くなったのかバタンと言う音とともに寝息をたて始めていた。
ミツルは、微笑し、近くに置いてあったタオルケットを、掛けてルミルの部屋を出た。
十二
「それでは今からクロミツ氏の実力確認を始める。ここは、自分たちがいつも使っている狩場、《カルサナ山脈》だ。」
「何堅苦しい事言ってんだー!いつもなら『はーい、狩場到着ー。一時間後に集合ねー。』程度だろ!」
ロイがヤジを飛ばす。
「ゴホン。とにかく、クロミツ。そこのミノタウロス切ってみな。」
「了解でーす。」
気の抜けた返事とともに左腕を外す。
右手にもち、剣ができるまで八秒。
「....ッ。」
沈黙。
「おいクロミツ早く行かんか。」
「え、行ってきましたけど」
約五十メートル先のミノタウロスに、一瞬で斬りかかり戻ってきたのだ。
「よく操れたな...そのスピード。」
「もう、意味わかなんないよー...」
その後も、数時間掛けて数百体のミノタウロスを切り倒していった。
全員が、満足するまでやるのがこのギルドの掟だ。
今回はミツルが、リスキルしまくったので、他のメンバーは諦めたらしい。
「よし、結構経験値溜まったか?クロ。」
「クロ以下略になってますよ...え、あれだけ倒して経験値上昇がこれだけなの?」
ミツルの、レベル2に上がるためのバー、つまりレベル1の3分の1程度しか溜まっていなかった。
「これは『固有スキル』かもしれない。普通はメリット系のスキルがつくが、ステータスが異常に高かったり生まれつきの能力的なのがある人は、デメリットが付く可能性がある。」
「ちなみに私達の、固有スキルは、ロイが『絶対守備』ルミルは『超狙撃』サリアは『自己防衛』そして私が『起死回生』と『完全主義』だ。」
「えー、何故ティアナさんは二つ固有スキルがあるのですか?」
「稀に二つ付く、冒険者がいる。大体レベルアップで付与されることが多い」
「なるほど。選ばれしって感じですね。効果とか教えてもらえたりしますか?」
「効果は、別章の《登場人物のステータス》に書いてあるぞ(キメ顔)」
「何の話ですか...」
「クロミッちゃんのの固有スキルは?」
「何故、急にちゃんが付いている...」
ステータス画面を下にスクロールすると文字が出てきた。
「固有スキル『不成長』...なんか見るからに弱そうダネ。」
「だな。まあ今日のところはこれで引き返すか。あとクロがこの強さあのことも考えてもいいかもしれんな。」
「あの事ってなんですか?」
「ネプチューン討伐だ。」
第一章 始まり 完
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