もう一度、彩りを

白うさぎ

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直人の焦り

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「百合さん、そろそろあの...」
「なあに?」
にこりと笑いながら直人に顔を向けた。
「あの...」
言いかけたところで百合の電話がなった。
「え!?廉ちゃんがぐったり!?またエアコンつけてなかったんでしょ?もー。百々ちゃん、冷蔵庫にスポーツ飲料入ってるから、それに少しだけお塩いれて水で薄めて少しずつ飲ませてくれる?脱水だと思うから。スポーツ飲料は約3倍くらい薄めていいよ」
廉がどうやら熱中症による脱水でぐったりらしい。
「冷房つけてタオルケットで包んであげて?冷房はなるべく風向上ね!」
百合は電話が終わると、直人に謝り
「ごめんなさい、何かあった?」
「あ、いや急ぎじゃないし、今日は帰って廉くんについてあげた方がいいんじゃない?」
「そうね...」
「もし重症そうなら、病院へ」
「ありがとう。あの子昔から冷房も扇風機も得意じゃなくて」
「風が嫌なのかな?」
「かもしれないわね~。たまに不思議なのよ」
笑いながら帰る準備をする。
「直人さん、今日は本当にごめんなさいね」
「いいんだよ。子供が何より大切だからね。それは僕も同じだよ。」
「ありがとう。」
百合を送った車の中で直人はため息をついた。
「百合さんにまた結婚のこと聞けなかったな。」

百合から中度と軽度の間くらいだから、病院は大丈夫そうと連絡が来て安心した。
「百合さん、そろそろ結婚とか...」
「なにしてんの?親父」
「翔!いるならいるって言ってくれよ」
「いや、帰ってすぐだよ俺。で、百合さんに結婚申し込むの?」
「はい...」
「焦んなくていいんじゃない?廉くんと百々ちゃんだっけ18と15でしょ?」
「もう付き合って長いし、そろそろ...」
「反抗期終わるまでは待つべきだと思うよ~。あの子たちは父親に良い印象持ってこなかったのも再婚ってのに敏感になる原因になるしね~」
「せめて、百々ちゃんが17まで待ちなよ。」
「なんで17?」
「17歳は学校生活充実で一番楽しくて、尚且つ進路で悩む。百々ちゃんは多分百合さんが看護師だから看護師希望になるだろうね。となると進学するからお金がかかる。そこで医者の親父と再婚したら...」
「いや、ずる賢い子達じゃないんだよ。廉くんなんて授業料や教材費一部自分で負担してる上に国立大学入学したみたいだよ。」
「百合さんすご。シングルで子育て成功してるんだ。」
「本当に彼女は尊敬する部分がたくさんあるよ」
「まあ、でもあと2年はプロポーズ待ちなよ?」
「...はい」


「わかってねーな、親父。」

百合にプロポーズはもう少し先の話になりそうです。



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