嵐は突然やってくる

白うさぎ

文字の大きさ
上 下
232 / 312
第8章 彼女と空

しおりを挟む
苦しい・・
『あんたがいるから・・・』
・・・・誰?首を締める女に俺は見覚えはない。
夢ということはわかるのだが苦しくて息が吸えない状況にそろそろ限界がくる。
『酸素!!!』
『起こすのが先かもしれないな!』
なんだか女の背後から声が聞こえる。
硬直した体は自分の意思では一切動かせそうにない。
『あんたさえ消えれば!!・・・』
消えればって・・・会ったこともない人に俺そんなこと言われなきゃダメ?
『廉くん、戻っておいで!!頑張って!!』

ぼやぁっと視界が明るくなる。
酸素チューブが嫌で取ろうとすると「ダメだよ。まだしていてね。」と直人さんに手を布団に戻される。
何でこうなってるかわけわからないという顔で直人を見ると、「廉くん?なんか覚えてない?」と聞かれた。
「くるしかった」
「うん、息ができてなかったからね。」
「できてなかった・・・?」
「翔がびっくりしてナースコール押してね。僕が病室に来た時には翔が必死に声をかけたり、ほっぺたぺちぺちしてたけど廉くん全く起きなかったんだ。」
「そんな感覚全くなかった・・・。」
「そうだと思うよ。全く反応なかったからね。どうしたんだろうね。精密検査してみるかい?」
「・・・いやだ。」
「あはは。そんなすぐに拒否しなくても。でも、また同じことあったら大変だしね・・・。」
「たぶん、金縛り・・・。」
「金縛り?」
「夢で女の人に首絞められてた・・・。動けなかった。」
「廉くん疲れてるからなりやすいのかな?」
「あんたさえ消えればって言われた・・・。」
少しだけ涙が出ると、そっと拭ってくれた直人さん。
「そっか・・・。生霊とかかな?原因はどちらにせよ翔だな。」
「直人さんは・・・金縛り信じるの?」
「そりゃそれを否定したらお墓で空とコミュニケーション取ってるのも否定することになるからね。」
「・・・・。あ、空君も夢であった・・・」
「空がなんか言っていたかい?」
「部屋の隅・・・ぬいぐるみ・・・離さず持ってて。」
「ぬいぐるみ?廉くんのお部屋にあるのかな?」
「ん・・・・。」
「そっか。お昼には帰れるから、楽しみだね。」
「うん」
「まだ夜中の3時だからもう一回寝ようか。寝れないなら安定剤もう一回するけどどうする?」
首を振る。
もう安定剤はお断りだ!!眠くなるし。
今も金縛りの疲れからか眠たいんだけど、汗でベタベタする・・・。
「シャワー浴びたい・・・ベタベタ・・・」
「汗かいたもんね。うーん、チューブ外してほしくないけどなぁ」
「寝れない」
必死に訴えると、5分以内で終わらせたらいいよ。と言われてシャワールームへ案内してもらった。
酸素がなくなった分少し苦しいけど、金縛りで苦しかっただけだからな。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

『 ゆりかご 』  ◉諸事情で非公開予定ですが読んでくださる方がいらっしゃるのでもう少しこのままにしておきます。

設樂理沙
ライト文芸
皆さま、ご訪問いただきありがとうございます。 最初2/10に非公開の予告文を書いていたのですが読んで くださる方が増えましたので2/20頃に変更しました。 古い作品ですが、有難いことです。😇       - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - " 揺り篭 " 不倫の後で 2016.02.26 連載開始 の加筆修正有版になります。 2022.7.30 再掲載          ・・・・・・・・・・・  夫の不倫で、信頼もプライドも根こそぎ奪われてしまった・・  その後で私に残されたものは・・。            ・・・・・・・・・・ 💛イラストはAI生成画像自作  

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

「今日でやめます」

悠里
ライト文芸
ウエブデザイン会社勤務。二十七才。 ある日突然届いた、祖母からのメッセージは。 「もうすぐ死ぬみたい」 ――――幼い頃に過ごした田舎に、戻ることを決めた。

ご飯を食べて異世界に行こう

compo
ライト文芸
会社が潰れた… 僅かばかりの退職金を貰ったけど、独身寮を追い出される事になった僕は、貯金と失業手当を片手に新たな旅に出る事にしよう。 僕には生まれつき、物理的にあり得ない異能を身につけている。 異能を持って、旅する先は…。 「異世界」じゃないよ。 日本だよ。日本には変わりないよ。

すこやか食堂のゆかいな人々

山いい奈
ライト文芸
貧血体質で悩まされている、常盤みのり。 母親が栄養学の本を読みながらごはんを作ってくれているのを見て、みのりも興味を持った。 心を癒し、食べるもので健康になれる様な食堂を開きたい。それがみのりの目標になっていた。 短大で栄養学を学び、専門学校でお料理を学び、体調を見ながら日本料理店でのアルバイトに励み、お料理教室で技を鍛えて来た。 そしてみのりは、両親や幼なじみ、お料理教室の先生、テナントビルのオーナーの力を借りて、すこやか食堂をオープンする。 一癖も二癖もある周りの人々やお客さまに囲まれて、みのりは奮闘する。 やがて、それはみのりの家族の問題に繋がっていく。 じんわりと、だがほっこりと心暖まる物語。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

十年目の結婚記念日

あさの紅茶
ライト文芸
結婚して十年目。 特別なことはなにもしない。 だけどふと思い立った妻は手紙をしたためることに……。 妻と夫の愛する気持ち。 短編です。 ********** このお話は他のサイトにも掲載しています

処理中です...