嵐は突然やってくる

白うさぎ

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第三章 二人の距離

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「ごちそうさまでした!ふぅ~さぁ今日も夜勤だ夜勤だ!!」
あれ?やけに夜勤多いな・・・。
今までしてることあったかな?と考える。
「そういえばまたお友達増えたんだね!」
と手元のラッコのぬいぐるみを直人さんが見る。
ぎゅっと握ると直人さんが微笑む。
「いいね!ラッコさんもかわいいよね!今度水族館へ行ってみようか!」
「・・・」
少し行ってみたいかもしれない・・・。
「廉くんはなんの生き物が好きかなぁ~?」
水族館の生き物か・・・。クラゲ・・・かな。
でも、イルカもラッコもアザラシも好きかも。セイウチはなんか笑っちゃう。
「廉くん、診察させてね。夜の診察もう終わらせちゃおうね!」
「・・・。」
「ふふ。たこさんウインナー食べたからかな?腸がよく動いてる。」
「・・・。」
「廉くん20歳もうすぐだね!一緒にお酒飲もうね!点滴夜の分しちゃおうか。」
看護師さんが来てくれてすぐに点滴が開始になる。
20歳か・・・俺周りに10歳くらいに扱われてる気がするんだけど。
歯磨きの場所まで今日は歩いてみる。
余り歩かない生活になると人はどうやら足に力が入りにくくなるのかフラフラする。
直人さんが点滴を持ってついてくるが簡単には手を出さない。
翔さんならすぐに手伝いそうなことも直人さんはやらせてくれる。
親子で少し考え方が違うようだと最近気づいた。
過保護なのは変わらないんだけどね。
「すごいね!歩いて歯磨きのとこまで行けたね!じゃぁ、歯磨きして戻ろうね。」
少し疲れたが何とか歯磨きが終わり布団に戻った。
「もう寝る?」
「・・・」
「電気消すね~。」
そう言って電気を消して病室から出て行った。


ラッコをにぎって目を瞑る。
今日は夢に百々と翔さんが出てきた。
現実と同じく悲しそうな顔をしていた。
俺が話さないとどうしてみんな悲しい顔をするんだろうか。
現実でも夢でも俺はそれがわからない。
「んー・・・」
「廉くん、起きてお水のもうね~!」
「ん・・・?」
「魘されてたよ?汗もちょっとかいてるね。着替える?」
「・・・」
「ん?」
「どうして・・・かなしいかお・・・するの?」
久々に出した言葉は掠れてたしなぜだか声に出しにくかった。
「!!・・・悲しい顔に廉くんは見えたんだね。廉くんがどこかに行っちゃいそうでみんな悲しかったのかもしれないね。はい、お水。」
「・・・そう・・。」
渡されたお水を半分飲む。
少しだが汗をかいたのでついでに着替える。
「まだ夜だから寝ようね!」
「・・・。」
「おやすみ~。」
心なしか直人さんの顔が明るくなった気がした。
俺が話すか話さないかで百面相してみんな変なの・・・。
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