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第二章 翔の仕事
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「・・・・お見舞い・・・。これ。」
そう言って、羽間さんは黄色系のお花でまとめられた花束を一応持参してきたのだろう花瓶へ生けてベッドサイドにある棚に飾った。
羽間さんは俺にとって怖い対象人物だ。でも、今日はいつもの怖いオーラは感じられない。
何も言わずに下を向く。
「聞いた、なんとなく。・・・そもそもの今回の原因は私だから・・・。知ってるとは思うけどね、俗に言うラウンジで副業バイトしてたの。別にお金に困ってたわけではないんだけど、お金ほしくて。そこで出会った客があの犯人。ラウンジで働いてるとああいう危ない輩もくるの。気を付けてはいたんだけどね、まさかお店特定されてるとは思わなかった。未来って書いてミクって呼び方を変えただけじゃそりゃ気づかれちゃうよね。」
何も言わずに話を聞く俺。いつもならキレそうな羽間さんだけど、今日は怒らず話を続けている。
「今回は私のせいでごめん。今までも・・・。私嫉妬深いみたいで、翔さんの弟のあなたにまで嫉妬して酷いこと言ってきた・・・。態度も・・・。避けられてたのもわかってるし、怖いと思われてるのもわかってる。でも、そういうことしたのは私だから。もうこれからは傷つける態度しないから・・・。これ。あの日渡そうとしてたの。食べれるようになったら食べて・・・。期限長いの選んどいたから・・・。」
羽間さんはそう言って机にお菓子を置くと帰って行った。
羽間さんは本心なのだろうか・・・。
わからない・・・。
けれど、あの日の事件は羽間さんが意図したものではないのは本当だろうから今日の言葉は信じていいのかもしれない・・・。
今日はなんだかたくさんのお見舞いがあって疲れたな・・・。
夕食前に少しだけ寝てしまった。
起きたら百々がいて、自分の夕食を俺の夕食の横に並べて準備していた。
「あ、廉ちゃん起きた?ごはんきてるよ~」
病院の夕飯は17時半からと少し早い。
俺は別に病人じゃないので普通の味付けの食事だからおいしいんだろうけど、食べられなくなってしまって長いので毎回お粥だ。しかもすりつぶしてる感じ。せめてもの救いはノリの佃煮かな。あと基本は卵粥にしてもらってるところ。
「今日は食べれたらいいね。」
そう言って百々がベッドを起こしてくれた。小皿に少しおかゆをすくい一度俺が自分で食べるかを待つ。
百々は看護大を目指しているから母親から聞いたりして学んでいるようで、俺で試しているようだ。
横でお見舞いの途中で買ったんだろう牛丼とサラダをおいしそうに食べている。
「廉ちゃんさ、ご飯食べれないのか食べないのかどっちなんだろうなぁ~・・・。」
窓の外を見ている俺を見て百々がつぶやく。
窓に反射する百々の表情はどこか寂しそうに見えた。
百々の疑問に答えるならば、それは俺にもわからない・・・だろうか。
食べたい気持ちも少しはある。
でも、胃が受け付けないなら食べたくない。
「あ、廉ちゃん苺の汁食べない?気分転換に。ママがいいよって言ってくれたの!」
そう言ってコンビニで買った苺を一つ取りだし、おかゆのふたを皿にしてそこで潰す。
汁をスプーンで掬うと口に当てられた。
「食べてみて?おいしいから」
家族だから百々は容赦しない。口を開けないならこじ開けてスプーンを突っ込んでくる。
将来看護師になった時それ絶対やるなよ・・・。
口の中に甘酸っぱさが広がる。
この味、久々だな・・・。
汁だけだからか、空嘔吐もなかった。
「よし!今日のノルマはOKだね!ママに報告しておくから褒めてもらって。」
そう言っていたずらっ子のように笑う百々。
百々の本当にうれしそうな笑顔も久々だな。
そう言って、羽間さんは黄色系のお花でまとめられた花束を一応持参してきたのだろう花瓶へ生けてベッドサイドにある棚に飾った。
羽間さんは俺にとって怖い対象人物だ。でも、今日はいつもの怖いオーラは感じられない。
何も言わずに下を向く。
「聞いた、なんとなく。・・・そもそもの今回の原因は私だから・・・。知ってるとは思うけどね、俗に言うラウンジで副業バイトしてたの。別にお金に困ってたわけではないんだけど、お金ほしくて。そこで出会った客があの犯人。ラウンジで働いてるとああいう危ない輩もくるの。気を付けてはいたんだけどね、まさかお店特定されてるとは思わなかった。未来って書いてミクって呼び方を変えただけじゃそりゃ気づかれちゃうよね。」
何も言わずに話を聞く俺。いつもならキレそうな羽間さんだけど、今日は怒らず話を続けている。
「今回は私のせいでごめん。今までも・・・。私嫉妬深いみたいで、翔さんの弟のあなたにまで嫉妬して酷いこと言ってきた・・・。態度も・・・。避けられてたのもわかってるし、怖いと思われてるのもわかってる。でも、そういうことしたのは私だから。もうこれからは傷つける態度しないから・・・。これ。あの日渡そうとしてたの。食べれるようになったら食べて・・・。期限長いの選んどいたから・・・。」
羽間さんはそう言って机にお菓子を置くと帰って行った。
羽間さんは本心なのだろうか・・・。
わからない・・・。
けれど、あの日の事件は羽間さんが意図したものではないのは本当だろうから今日の言葉は信じていいのかもしれない・・・。
今日はなんだかたくさんのお見舞いがあって疲れたな・・・。
夕食前に少しだけ寝てしまった。
起きたら百々がいて、自分の夕食を俺の夕食の横に並べて準備していた。
「あ、廉ちゃん起きた?ごはんきてるよ~」
病院の夕飯は17時半からと少し早い。
俺は別に病人じゃないので普通の味付けの食事だからおいしいんだろうけど、食べられなくなってしまって長いので毎回お粥だ。しかもすりつぶしてる感じ。せめてもの救いはノリの佃煮かな。あと基本は卵粥にしてもらってるところ。
「今日は食べれたらいいね。」
そう言って百々がベッドを起こしてくれた。小皿に少しおかゆをすくい一度俺が自分で食べるかを待つ。
百々は看護大を目指しているから母親から聞いたりして学んでいるようで、俺で試しているようだ。
横でお見舞いの途中で買ったんだろう牛丼とサラダをおいしそうに食べている。
「廉ちゃんさ、ご飯食べれないのか食べないのかどっちなんだろうなぁ~・・・。」
窓の外を見ている俺を見て百々がつぶやく。
窓に反射する百々の表情はどこか寂しそうに見えた。
百々の疑問に答えるならば、それは俺にもわからない・・・だろうか。
食べたい気持ちも少しはある。
でも、胃が受け付けないなら食べたくない。
「あ、廉ちゃん苺の汁食べない?気分転換に。ママがいいよって言ってくれたの!」
そう言ってコンビニで買った苺を一つ取りだし、おかゆのふたを皿にしてそこで潰す。
汁をスプーンで掬うと口に当てられた。
「食べてみて?おいしいから」
家族だから百々は容赦しない。口を開けないならこじ開けてスプーンを突っ込んでくる。
将来看護師になった時それ絶対やるなよ・・・。
口の中に甘酸っぱさが広がる。
この味、久々だな・・・。
汁だけだからか、空嘔吐もなかった。
「よし!今日のノルマはOKだね!ママに報告しておくから褒めてもらって。」
そう言っていたずらっ子のように笑う百々。
百々の本当にうれしそうな笑顔も久々だな。
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