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第二章 翔の仕事
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「廉くん、お洋服変えようね。百合さんが新しいパジャマ持ってきてくれたからね~。」
「・・・」
言われるがまま新しい服に着替える。
酷い怪我をしているわけではないので病院についたと同時にシャワー浴をさせられ、母さんが新しいパジャマを持ってくるまでは前のパジャマと下着をはいていた。
足の裏は1日外を歩いたからか真っ黒になっていたし所々すりむいてはいたので、シャワー浴では少し染みた。
母さんは百々が明日学校なのもあり、今日は直人さんが病院に泊まることになったようだ。
直人さんと二人きりは初めてで、なんか緊張するな・・・と思いながらも無視をする。
「ご飯、食べれるかな?今日は病院食じゃなくて外の牛丼買ってきたんだけど。廉くんのは小盛にしといたよ。」
出された牛丼をじっと見つめて、小さく掬い口に含むが1分もしないうちにベッドの上に戻した。
戻して済むならまだいいが、ずっと空嘔吐を繰り返す。
「ごめんごめん。ゴメンネ、頑張ったよ。もう歯磨きして寝ようね。」
空嘔吐が落ち着いたので、ベッドの上で歯磨きをしてガーグルベースにうがいをする。
あの時救ってくれた猫は首輪を見たお巡りさんが飼い主の元へ返してあげたらしい。
優しい猫だったな・・・。
「廉くん、お部屋暗くするね。」
暗くなるのと同時に目を閉じた。
直人さんは隣の空いているベッドで眠るらしい。
「おやすみ、廉くん」
起きた時には点滴がついていた。夜中に繰り返しパニックが起きたようで、直人さんがしたらしい。
寒い場所に昨日居続けたせいで熱も出てしまった。
外がざわざわしている。みんなが出勤したり面会したりかな・・・。
点滴なんてしなくていいのに、毎回毎回直人さんは俺が楽になるようにとしてくる。
お昼前に遅番なのか母親が病室に来た。
「廉ちゃん、これ。風太くんからもらったんでしょ?ピーター。少し安心するかなって持ってきたんだけど」
母親が布団をめくり俺の隣にもらった抱き枕兼犬のぬいぐるみピーターを横に置く。
「今からお仕事してくるけど、何かあったらすぐ呼んでね?」
そう言って頭を一撫でして病室を出た。
スマホもないので、窓の外を眺める。今日は青空だ。きっと昨日よりあったかいだろうな。
翔さんに言われたことが頭の中でぐるぐる回り始めた。
何とか制御しようと思うが、思うように制御できなくて点滴を引き抜いて自分の腕を噛む。
自傷行為は今までしたことがなかったが、熱のせいかな・・・もちろん噛みついた腕は痛かった。
「はぁはぁはぁ・・・・」
汗びっしょりでぬいぐるみに抱き着く。
昨日のネコがいたら寂しくないのにな・・・。
点滴を抜いたことは食事を持ってきた看護師によって直人さんと母さんに伝えられ、母さんにまた点滴をつながれた。
「つらいね。廉ちゃんはよく頑張ってるわ。ちょっと心のタンクがいっぱいになってしまっただけだから、大丈夫よ。」
どうでもいい。慰めの言葉さえ今は俺を惨めにさせる。
「・・・」
言われるがまま新しい服に着替える。
酷い怪我をしているわけではないので病院についたと同時にシャワー浴をさせられ、母さんが新しいパジャマを持ってくるまでは前のパジャマと下着をはいていた。
足の裏は1日外を歩いたからか真っ黒になっていたし所々すりむいてはいたので、シャワー浴では少し染みた。
母さんは百々が明日学校なのもあり、今日は直人さんが病院に泊まることになったようだ。
直人さんと二人きりは初めてで、なんか緊張するな・・・と思いながらも無視をする。
「ご飯、食べれるかな?今日は病院食じゃなくて外の牛丼買ってきたんだけど。廉くんのは小盛にしといたよ。」
出された牛丼をじっと見つめて、小さく掬い口に含むが1分もしないうちにベッドの上に戻した。
戻して済むならまだいいが、ずっと空嘔吐を繰り返す。
「ごめんごめん。ゴメンネ、頑張ったよ。もう歯磨きして寝ようね。」
空嘔吐が落ち着いたので、ベッドの上で歯磨きをしてガーグルベースにうがいをする。
あの時救ってくれた猫は首輪を見たお巡りさんが飼い主の元へ返してあげたらしい。
優しい猫だったな・・・。
「廉くん、お部屋暗くするね。」
暗くなるのと同時に目を閉じた。
直人さんは隣の空いているベッドで眠るらしい。
「おやすみ、廉くん」
起きた時には点滴がついていた。夜中に繰り返しパニックが起きたようで、直人さんがしたらしい。
寒い場所に昨日居続けたせいで熱も出てしまった。
外がざわざわしている。みんなが出勤したり面会したりかな・・・。
点滴なんてしなくていいのに、毎回毎回直人さんは俺が楽になるようにとしてくる。
お昼前に遅番なのか母親が病室に来た。
「廉ちゃん、これ。風太くんからもらったんでしょ?ピーター。少し安心するかなって持ってきたんだけど」
母親が布団をめくり俺の隣にもらった抱き枕兼犬のぬいぐるみピーターを横に置く。
「今からお仕事してくるけど、何かあったらすぐ呼んでね?」
そう言って頭を一撫でして病室を出た。
スマホもないので、窓の外を眺める。今日は青空だ。きっと昨日よりあったかいだろうな。
翔さんに言われたことが頭の中でぐるぐる回り始めた。
何とか制御しようと思うが、思うように制御できなくて点滴を引き抜いて自分の腕を噛む。
自傷行為は今までしたことがなかったが、熱のせいかな・・・もちろん噛みついた腕は痛かった。
「はぁはぁはぁ・・・・」
汗びっしょりでぬいぐるみに抱き着く。
昨日のネコがいたら寂しくないのにな・・・。
点滴を抜いたことは食事を持ってきた看護師によって直人さんと母さんに伝えられ、母さんにまた点滴をつながれた。
「つらいね。廉ちゃんはよく頑張ってるわ。ちょっと心のタンクがいっぱいになってしまっただけだから、大丈夫よ。」
どうでもいい。慰めの言葉さえ今は俺を惨めにさせる。
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