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第1章 はじめまして。家族になった日
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病院につくと、直人さんと母親が車椅子を持って病院の玄関先で待っていた。
「すみません。こちらへ。」
「いえ。ご両親がいた方が彼も安心できるでしょうし。」
「廉くん、車椅子乗れるかな?」
直人さんに促されて車椅子に乗ると、百々が押してくれた。
「廉ちゃん、吐きそう?」
母親に聞かれてコクリと頷く。
すぐにガーグルベースを持たせてくれたので口元に当てると今日食べたものが出てしまう。
「廉ちゃん、だいじょうぶ?」
百々が心配げに後ろから尋ねてくるが、吐き気は止まらない。
「点滴打とうか。百合さんいいかな?」
「お願いします。」
「廉くん今からお薬と水分点滴で入れるけど、治療しながら警察の方の質問に答えられるかな?」
「...うん」
「ありがとう。名前は白山廉くんだね。」
「はい...」
「じゃあ、まず点滴してもらってから質問するね。」
警察の方が後ろを歩いて用意された応接間に入る。
別の看護師の人が点滴持ってきた。
消毒してすぐにチクッと点滴がつけられた。
「じゃあ、質問いいかな?」
「はい...」
「映像の触られた箇所以外で触られたりはしてない?」
コクリと頷く。
「あの人と面識はある?」
首を横に振る。
「あの映像データを提供してもらってもいいかな?」
縦に首を振る。
「痴漢された電車の時刻は妹さんに聞いてもいいかな?つらそうだから。」
「あ、はい。えっと13時10分発だったはず。東京駅から。」
「ありがとう。辛いけどあと一つだけ聞かせてくれるかな。」
小さく頷いた。
「だいたいどれくらいの時間触られてたかな。」
「廉くん、これどうぞ。話しにくいよね」
スケッチブックを持ってきてくれた直人さん。
震える手で触られ始めた駅名を書いた。
「そっか。ありがとう。もう質問しないからね。犯人は捕まえてます。その後について何かあればご両親に連絡しましょうか?」
「はい、彼の父の白山直人です。」
名刺を渡す直人さん。
母親は俺の代わりに被害届の一部を書いてくれていた。
「じゃあ、今日はゆっくりされてください。」
警察の方が帰るとすぐに直人さんがベッドのある個室へ連れて行ってくれた。
「廉くん疲れたでしょ。寝てていいよ。」
「百々ちゃん、廉ちゃんの点滴終わったら先に2人で帰れる?」
「あー、翔さんにお迎えさっき頼んじゃった。」
「翔、すぐ来るって言ってたでしょ?」
笑いながら翔さんの行動をいう直人さん。
「はい」
「翔のやつ、看護師さんに部屋聞きまくるから大騒動になるんだよ。受付に聞けばいいのに。」
なんとなく想像つくな。
5分しないうちにノックがあり扉が開く。
開いた扉からお祭りに売ってあるキャラクターのお面をつけた人が入ってきて、手にはスケッチブック。
「どうしたの?」
と笑う母親。
母親は何があってもあまり驚かないんだよね。
スケッチブックには"俺の顔見てまたパニックにさせたくないから。"との綺麗な文字。
「廉ちゃん、頑張ってごらん」
母親に言われて、おいでおいでをして翔さんを呼ぶ。
お面暑いだろうなーなんて思いながら、
そっとお面を横にずらした。
「こわく..ない..よ」
今は別の怖い事を経験した直後だから、翔さんの顔でも少し安心する。
「廉くん頑張れたね!」
なんか俺小学生みたいに扱われてないか?
点滴のしてある手をドンとベッドに叩きつけて不機嫌をだすと
「廉ちゃん!!点滴してる手でそういうことしない!!」
母親の雷が落ちた。
プイッとみんなに背を向けて目を瞑る。
「ちょっと見せてね~」
直人さんに点滴がずれていないか確認されつつ目を瞑ったら眠たくなってきた。
「廉ちゃん、子供扱いされたから不貞腐れちゃった」
百々がくすくす笑ってる。
頭を翔さんが撫で始めたことにより、完全に夢の中へ落ちていった。
「すみません。こちらへ。」
「いえ。ご両親がいた方が彼も安心できるでしょうし。」
「廉くん、車椅子乗れるかな?」
直人さんに促されて車椅子に乗ると、百々が押してくれた。
「廉ちゃん、吐きそう?」
母親に聞かれてコクリと頷く。
すぐにガーグルベースを持たせてくれたので口元に当てると今日食べたものが出てしまう。
「廉ちゃん、だいじょうぶ?」
百々が心配げに後ろから尋ねてくるが、吐き気は止まらない。
「点滴打とうか。百合さんいいかな?」
「お願いします。」
「廉くん今からお薬と水分点滴で入れるけど、治療しながら警察の方の質問に答えられるかな?」
「...うん」
「ありがとう。名前は白山廉くんだね。」
「はい...」
「じゃあ、まず点滴してもらってから質問するね。」
警察の方が後ろを歩いて用意された応接間に入る。
別の看護師の人が点滴持ってきた。
消毒してすぐにチクッと点滴がつけられた。
「じゃあ、質問いいかな?」
「はい...」
「映像の触られた箇所以外で触られたりはしてない?」
コクリと頷く。
「あの人と面識はある?」
首を横に振る。
「あの映像データを提供してもらってもいいかな?」
縦に首を振る。
「痴漢された電車の時刻は妹さんに聞いてもいいかな?つらそうだから。」
「あ、はい。えっと13時10分発だったはず。東京駅から。」
「ありがとう。辛いけどあと一つだけ聞かせてくれるかな。」
小さく頷いた。
「だいたいどれくらいの時間触られてたかな。」
「廉くん、これどうぞ。話しにくいよね」
スケッチブックを持ってきてくれた直人さん。
震える手で触られ始めた駅名を書いた。
「そっか。ありがとう。もう質問しないからね。犯人は捕まえてます。その後について何かあればご両親に連絡しましょうか?」
「はい、彼の父の白山直人です。」
名刺を渡す直人さん。
母親は俺の代わりに被害届の一部を書いてくれていた。
「じゃあ、今日はゆっくりされてください。」
警察の方が帰るとすぐに直人さんがベッドのある個室へ連れて行ってくれた。
「廉くん疲れたでしょ。寝てていいよ。」
「百々ちゃん、廉ちゃんの点滴終わったら先に2人で帰れる?」
「あー、翔さんにお迎えさっき頼んじゃった。」
「翔、すぐ来るって言ってたでしょ?」
笑いながら翔さんの行動をいう直人さん。
「はい」
「翔のやつ、看護師さんに部屋聞きまくるから大騒動になるんだよ。受付に聞けばいいのに。」
なんとなく想像つくな。
5分しないうちにノックがあり扉が開く。
開いた扉からお祭りに売ってあるキャラクターのお面をつけた人が入ってきて、手にはスケッチブック。
「どうしたの?」
と笑う母親。
母親は何があってもあまり驚かないんだよね。
スケッチブックには"俺の顔見てまたパニックにさせたくないから。"との綺麗な文字。
「廉ちゃん、頑張ってごらん」
母親に言われて、おいでおいでをして翔さんを呼ぶ。
お面暑いだろうなーなんて思いながら、
そっとお面を横にずらした。
「こわく..ない..よ」
今は別の怖い事を経験した直後だから、翔さんの顔でも少し安心する。
「廉くん頑張れたね!」
なんか俺小学生みたいに扱われてないか?
点滴のしてある手をドンとベッドに叩きつけて不機嫌をだすと
「廉ちゃん!!点滴してる手でそういうことしない!!」
母親の雷が落ちた。
プイッとみんなに背を向けて目を瞑る。
「ちょっと見せてね~」
直人さんに点滴がずれていないか確認されつつ目を瞑ったら眠たくなってきた。
「廉ちゃん、子供扱いされたから不貞腐れちゃった」
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