7 / 12
7話 生贄
しおりを挟む
「ハァハァ…。何とか浦添署に来ることはできたけど、
なぜ私を狙うんだろう…」
今日の様子ではいつもと変わりなかったし、理由が思い当たらない。
「そうだ。お母さん。お母さんはどこにいるんだろう?」
そう思い浦添署の中を見渡していると、
キャー!
突然悲鳴が建物に響き渡る。
柱から悲鳴が聞こえてきた方向をそっと覗きこんでみると、女性警察官の姿があり、
指さす方向に目を向けてみると、体から桜が飛び出した男性警官の姿があった。
うぅぅぅ……
まだ意識があるみたいだけど、すぐに逃げなければ。
でも警察署より安全なところってどこ!?
「危ない!」
声に反応し、とっさに頭をかばってしゃがみこむと、駐車場の時と同じように、
木が壁に刺さっていた。
この木は一体何なんだろうと思っていると誰かが近づいてくる。
そこには……
香織の姿があった。
お見舞に行っているはずの香織が、告白事案で先輩の名前まで知っていたのは、
おかしいと思っていたが、でもなぜ?
「梓、さすがの運動神経って感じね。
浦添署まで逃げ込まれるとは思ってもみなかったよ」
「なんで香織がこんな事を? それにその能力は一体…」
「姉さんね。容体が悪化して先月にはもう危ない状態だと宣告されてたの。
日に日に弱くなっていく姉さんは見ていられなかった」
香織はそこで目を瞑り、刹那の静寂が署内を包む。
「そんな時、榊総合病院裏にある枯れかけの桜が話しかけてきた。
死の縁でさ迷っている姉の命を繋ぎ止めたかったら、
我と契約して生贄を捧げろと。最初は野良の動物だった。
けどそれだけでは足りなくなり、人を捧げるようになった」
「人って事はもしかして…」
「そう。この木で貫くと桜に変わるの」
聞きたくない。
聞きたくないけど……。
「香織の言うことが正しければ、あの学校の若い桜は」
「樹くんに目撃されたから仕方なく、ね」
「なんて事を……」
「姉さんが危ないの。あなたの命も頂くわ」
香織はそう言って手から木を出現させ、降り下ろす。
なぜ私を狙うんだろう…」
今日の様子ではいつもと変わりなかったし、理由が思い当たらない。
「そうだ。お母さん。お母さんはどこにいるんだろう?」
そう思い浦添署の中を見渡していると、
キャー!
突然悲鳴が建物に響き渡る。
柱から悲鳴が聞こえてきた方向をそっと覗きこんでみると、女性警察官の姿があり、
指さす方向に目を向けてみると、体から桜が飛び出した男性警官の姿があった。
うぅぅぅ……
まだ意識があるみたいだけど、すぐに逃げなければ。
でも警察署より安全なところってどこ!?
「危ない!」
声に反応し、とっさに頭をかばってしゃがみこむと、駐車場の時と同じように、
木が壁に刺さっていた。
この木は一体何なんだろうと思っていると誰かが近づいてくる。
そこには……
香織の姿があった。
お見舞に行っているはずの香織が、告白事案で先輩の名前まで知っていたのは、
おかしいと思っていたが、でもなぜ?
「梓、さすがの運動神経って感じね。
浦添署まで逃げ込まれるとは思ってもみなかったよ」
「なんで香織がこんな事を? それにその能力は一体…」
「姉さんね。容体が悪化して先月にはもう危ない状態だと宣告されてたの。
日に日に弱くなっていく姉さんは見ていられなかった」
香織はそこで目を瞑り、刹那の静寂が署内を包む。
「そんな時、榊総合病院裏にある枯れかけの桜が話しかけてきた。
死の縁でさ迷っている姉の命を繋ぎ止めたかったら、
我と契約して生贄を捧げろと。最初は野良の動物だった。
けどそれだけでは足りなくなり、人を捧げるようになった」
「人って事はもしかして…」
「そう。この木で貫くと桜に変わるの」
聞きたくない。
聞きたくないけど……。
「香織の言うことが正しければ、あの学校の若い桜は」
「樹くんに目撃されたから仕方なく、ね」
「なんて事を……」
「姉さんが危ないの。あなたの命も頂くわ」
香織はそう言って手から木を出現させ、降り下ろす。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
逢魔ヶ刻の迷い子3
naomikoryo
ホラー
——それは、閉ざされた異世界からのSOS。
夏休みのある夜、中学3年生になった陽介・隼人・大輝・美咲・紗奈・由香の6人は、受験勉強のために訪れた図書館で再び“恐怖”に巻き込まれる。
「図書館に大事な物を忘れたから取りに行ってくる。」
陽介の何気ないメッセージから始まった異変。
深夜の図書館に響く正体不明の足音、消えていくメッセージ、そして——
「ここから出られない」と助けを求める陽介の声。
彼は、次元の違う同じ場所にいる。
現実世界と並行して存在する“もう一つの図書館”。
六人は、陽介を救うためにその謎を解き明かしていくが、やがてこの場所が“異世界と繋がる境界”であることに気付く。
七不思議の夜を乗り越えた彼らが挑む、シリーズ第3作目。
恐怖と謎が交錯する、戦慄のホラー・ミステリー。
「境界が開かれた時、もう戻れない——。」
百物語 厄災
嵐山ノキ
ホラー
怪談の百物語です。一話一話は長くありませんのでお好きなときにお読みください。渾身の仕掛けも盛り込んでおり、最後まで読むと驚くべき何かが提示されます。
小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。
赤い部屋
山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。
真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。
東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。
そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。
が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。
だが、「呪い」は実在した。
「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。
凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。
そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。
「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか?
誰がこの「呪い」を生み出したのか?
そして彼らはなぜ、呪われたのか?
徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。
その先にふたりが見たものは——。
とあるアプリで出題されたテーマから紡がれるストーリー
砂坂よつば
ホラー
「書く習慣」というアプリから出題されるお題に沿って、セリフや行動、感情などが入りストーリーが進む為予測不可能な物語。第1弾はホラー×脱出ゲーム風でお届け!
主人公のシュウ(19歳)は目が覚めるとそこは自分の部屋ではなかった。シュウは見事脱出するのことができるのだろうか!?彼の運命は出題されるお題が握るストーリーの幕開けです!
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる