枯れ桜

時谷 創

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1話 未来の姿 

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身近でこんな事が起きるとは思わなかった。

突然ふってわいた事件、事故に皆、口に揃えてそう言うが、
俺、遠野 樹とおの いつきもずっとそう思っていた。

朝起きてご飯を食べ、学校に行き勉強する。

学食で席を奪い合い、また勉強し家に帰る。

微妙に違えどほぼ同じ事の繰り返し。

人はそれを退屈と言うが、今はその日常がいとおしい。

なぜ従ってしまったのか、なぜ疑いも足を運んでしまったのか。

もう足は根が生えたように動かす事もできない。

肌も急速に色を変え、水分が全く感じられないほど、がさがさになっている。

もう俺はここで死ぬのだろうか。

もしかするとそこに見えるのは、俺の未来の姿なのかもしれない。

梓が言ってたな。

この不自然な配置はどこかおかしいと。

業者の人がこんなふうに並べる訳がないと。

息が苦しくなってきた。

勘の鋭い梓ならこんな事をしているあいつをつき止めてくれるかもしれない。

もう時間がない。

遠野 梓とおの あずさ、俺の双子の妹に全てを託す。

俺が救われる事はもう無いと思うが、梓が何とかしてくれるはずだ。

俺の想いよ、梓に届いてくれ。
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