1 / 1
シュウガシラ
しおりを挟む
とある青年の一行が、お化け屋敷を町おこしのイベントとして位置づけているある田舎町へ遊びに出かけた。
「廃病院」をモチーフにしたそのお化け屋敷は、本格的に怖いことで有名だった。
開かないトイレの中で騒ぐ【何か】や、入場者にすがり付こうとするゾンビ風のナースたちなどといった具合に。
お化け屋敷を出てはしゃぐ一行。
「あー面白かった!」
「俺はいまいちだったかな」
「何言ってんだよ。お化け屋敷のなかで一番騒いでたくせに」
「わー! それは言うな!!」
皆で軽口を叩きあいながら歩いているうちに、グループの一人が最後尾を歩く青年の顔が真っ青に青ざめていることに気がついた。
彼は、珍しく口数の少なかった仲間に対し、軽口を叩いた。
「よっ!珍しく元気ないじゃん。さてはお化け屋敷が相当怖かったと見えますな」
よほど具合が悪いのか、口元を押さえながら青ざめた顔の青年は答えた。
「お前らのせいだぞ」
「は? 何が?」
「お前らが騒いでたせいだと思うけど、昨日の民宿でお前らがお化け屋敷の名前を叫ぶ度に、『ここはシュウガシラだ』って二階で叫ぶ人がいて、結局一晩中どなり声で眠れなかったんだぞ。おかげでだるいのなんの。」
それを聞いた一同は互いに顔を見合わせた。
そんな声など、眠れなかったという青年を除いて誰一人として聞いてなどいなかったからだ。
ーーーーーーーー
後日、古い地図を調べてみると、その場所にはかつて『シュウガシラ』という村があったことが判明した。
ちなみに彼らの泊まった民宿も平屋で、二階など存在しないことも後日誰かがSNSに上げた写真から判明した。
「廃病院」をモチーフにしたそのお化け屋敷は、本格的に怖いことで有名だった。
開かないトイレの中で騒ぐ【何か】や、入場者にすがり付こうとするゾンビ風のナースたちなどといった具合に。
お化け屋敷を出てはしゃぐ一行。
「あー面白かった!」
「俺はいまいちだったかな」
「何言ってんだよ。お化け屋敷のなかで一番騒いでたくせに」
「わー! それは言うな!!」
皆で軽口を叩きあいながら歩いているうちに、グループの一人が最後尾を歩く青年の顔が真っ青に青ざめていることに気がついた。
彼は、珍しく口数の少なかった仲間に対し、軽口を叩いた。
「よっ!珍しく元気ないじゃん。さてはお化け屋敷が相当怖かったと見えますな」
よほど具合が悪いのか、口元を押さえながら青ざめた顔の青年は答えた。
「お前らのせいだぞ」
「は? 何が?」
「お前らが騒いでたせいだと思うけど、昨日の民宿でお前らがお化け屋敷の名前を叫ぶ度に、『ここはシュウガシラだ』って二階で叫ぶ人がいて、結局一晩中どなり声で眠れなかったんだぞ。おかげでだるいのなんの。」
それを聞いた一同は互いに顔を見合わせた。
そんな声など、眠れなかったという青年を除いて誰一人として聞いてなどいなかったからだ。
ーーーーーーーー
後日、古い地図を調べてみると、その場所にはかつて『シュウガシラ』という村があったことが判明した。
ちなみに彼らの泊まった民宿も平屋で、二階など存在しないことも後日誰かがSNSに上げた写真から判明した。
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
カッコウの子供
白い黒猫
ホラー
ある家族に降りかかった少し不思議な現象。それを叔父、息子、母親の三人の視点で語られる怪奇現象。それぞれの行動がどんな結末を導くのか?
独り暮らしのなのに部屋に誰かいるような気がする孝明。【何かがそこにいる】
自分の家に知らない男の子がいる。その子供は何故か陽一以外に見えないらしい。陽一はその子と友達になるが…【イラナイ】
言う事まったく聞かない四歳児の息子に振り回される静香は、日々ストレスとためていくが……【カッコウの子供】
優しくて美しい世界
白い黒猫
ホラー
大好きな優しくて格好よいセンセイは私の自慢の恋人。
そんなセンセイに会うために、センセイの住む街へと向かったけれど……
貢門命架の愛が狂っていくのか? 愛で世界は狂っていくのか?
11:11:11シリーズ作品。
と言っても同じ設定の世界での物語というだけで、他の作品知らなくても全く問題ありません。
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
君は、妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは、婚約中だが、彼は王都に住み、マリアは片田舎で遠いため、会ったことはなかった。でも、ある時、マリアは、妾の子であると、知られる。そんな娘は大事な子息とは、結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして、次の日には、迎えの馬車がやって来た。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
両隣から喘ぎ声が聞こえてくるので僕らもヤろうということになった
ヘロディア
恋愛
妻と一緒に寝る主人公だったが、変な声を耳にして、目が覚めてしまう。
その声は、隣の家から薄い壁を伝って聞こえてくる喘ぎ声だった。
欲情が刺激された主人公は…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる