異世界に落っこちたおっさんは今日も魔人に迫られています！R18版

*第二十話 よろしいんですよ？

『翻訳』の魔法のお陰なのか、古くていかにも難しそうな本も、何とか読むことできる。

「『マレビト』を天に返すための儀式……！　天、て、元の世界って事か？！」

　泰樹たいきは愕然がくぜんとシーモスを見た。シーモスは得意げに微笑んで、うなずく。

「はい。おそらくは。この儀式は今から1000年ほど前に行われたと、この書物にはございます」
「そ、それ！　どんな儀式なんだ？！」

　気ばかりが焦る。泰樹はシーモスに詰め寄るが、彼はゆっくりと首を振った。

「申し訳ございません……儀式の詳細までは。私の蔵書ではこれが精一杯でございます」
「そん、な……！」

　泰樹は膝から崩れ落ちる。ようやく、地球に帰れると思ったのに。ぬか喜びさせておいて、それを取り上げるとは。泣きそうだ。

「……ですが、ご安心くださいませ、タイキ様。私の蔵書では、でございます。蔵書の規模の大きい書庫、例えば魔の王様の城に有ります書庫でしたら、何らかのヒントがございますかも」

　謎めいた笑みを崩さず、シーモスは泰樹に手を差し出した。泰樹は顔を上げ、シーモスの手を取って慌てて立ち上がる。

「……マジか？！」
「マジ、でございます。まだまだ探すべき物は多々ございますよ、タイキ様」

　シーモスの顔が、なんだか輝いて見える。

「魔の王様の書庫にはちょっとした知り合いがおります。その方なら力を貸して下さるでしょう」
「やった！　マジか！！」
「はい。それも、マジでございますよ！」

　泰樹とシーモスは、手を取り合って喜んだ。
　コイツ、どうしてこんなに力を貸してくれるのだろう。ふと、そんなことが気になる。

「どうして、アンタは俺が帰る方法を探してくれるんだ？　何の得にもならないのに？」
「はい。私も、それがどんな儀式なのか興味がございますし、それに、まったく、得が無いわけでもございません」

　意味ありげに言葉を切ったシーモスは、握られたままだった泰樹の手に唇を寄せた。指先に軽くキスを落とし、うっとりとささやく。

「さあ、タイキ様。儀式の情報を見つけたご褒美に『献血』していただけますよね？」
「う。そう言うことか……」

　結局、シーモスは『食欲』を諦めていない。隙あらば、泰樹から吸い上げようというのだ。『命の糧かて』を。

「私に触れられて不快だとおっしゃるなら、ご自分でなさっていただいても……よろしいんですよ？」
「やめろ！　耳元に息を吹き込むな！！」

　正直、シーモスに口でされるのはめちゃめちゃに気持ちよかった。アレを何度も味わってしまったら、もう引き返せない所にハマってしまうような気がする。
　泰樹はしぶしぶ、ベッドへ腰掛ける。
　自分でやった方がまだマシか。それならただの自慰なのだから、浮気の内には入らないだろう。とっとと済ましてしまおう。
　自分の自身を、夜気にさらす。えーと。いつもはAVとか、何かしらおかずがあるからなあ。妄想だけでイけるか？
　正直なところ、詠美えみは子育てと仕事で忙しく、夜の交渉は無くなって久しい。今、三人目が出来たりすると、生活が苦しくなると言うのも理由だ。
　だからと言って浮気するつもりも、風俗のお世話になるつもりもない。仕方なしに、悶々もんもんとする夜は一人きりで自慰をするのだが。

「……おい。なんでそこで見てるんだよ……」
「ああ、私のことはお気になさらず、お続け下さいませ」

　シーモスはそう言うが、じっと見つめられていては勃たつものも勃つ訳がない。

「アンタに見られてて、イけるわけ無いだろ！」
「おや？　そうですか？　ではお手伝いいたしましょうか？」
「結構でぇすーっ！！」

　シーモスをはねつけてみたものの、他人に見られていると言う緊張のせいか、なかなか硬くなってくれない。焦って擦ったために、何だか皮膚が痛みを感じてきた。

「……なあ、なんかさ……ローションとかねえか？　このまま擦こすると、痛い」
「潤滑剤でございますね？　ええ。ございますよ？　こちらをどうぞ」
「……用意の良いこって」

　シーモスに差し出された、小びんの蓋を開ける。トロリと粘度の高い、良い香りのする液体をたっぷり自身に落とす。すると、かなり具合が良くなった。

「あっ……ふ……こりゃ、良い……」

　水音をたてて、次第に硬度を増すモノを擦り立てる。これなら、おかずが無くてもすぐにイけそうだ。

「んっ……あー……あ、あ、……やば、も、イき、そう……っ」

　眉根を寄せ、泰樹は悩ましい顔で、その瞬間を堪こらえようとする。

「どうぞ、存分にイってくださいませ」

　いつの間にやら隣に腰掛けているシーモスが、身を乗り出してくる。

「あ、あ、ちょ、まっ、……息、吹きかけ……！　う、んぅっ……！」

　シーモスの一息で、あっけなく、泰樹は吐精する。飛沫は顔を近寄せていたシーモスに降りかかり、彼は嬉しそうにそれをすくい舐めとった。

「はぁっ……はあ、あ……？」

　何かおかしい。肩で息を整えながら、泰樹は違和感を覚える。いつもの自慰は、一度イってしまえばムラムラが収まるものだ。それなのに、今日はまだ勃起が収まらない。
　ソレはまだまだ硬く、天をさしたままだ。

「あ……なん、で……？」
「ああ、私といたしましたことが！　潤滑剤と間違えて媚薬をお渡ししてしまいました。申し訳ございません、タイキ様」

　白々しく、シーモスは声を上げる。

「……あぁ？　わざとだろ？」
「いいえ、事故でございます」
「ん、ぅ……わざとだろぉー！！」

　詰め寄る顔も、快楽に蕩けたままでは迫力に欠ける。

「この上は責任を持って、タイキ様を堕とし……いえいえ、気持ちよくして差し上げますから。ご安心くださいませ」

　にぃっとシーモスは愉快げに笑う。その顔を見て、間違いが事故だと思う者は誰もいないだろう。



　もう、三度はその手でイかされただろうか。

「は、あ……バッカやろ……っ」

　罵ののしる声も、甘くかすれて。泰樹はベッドに転がされ、だらしなく足を開かされている。
　今はシーモスの形の良い指先が、試すように泰樹の菊門に差し込まれていた。

「んーっ！　あ、そこ、やめっ……！　さわん、な……ぁ……！」
「ああ……ここがよろしいのですね？　こんなにひくついて、くわえ込んで……」

　高熱に浮かされているときのように、全身が熱い。何度達しても、甘い疼うずきは終わりが見えない。シーモスの指は的確に、弱い所をついてきて、息つく暇が無い。

「も、抜け、よぉ……っ……も、イきたく、ない……あ、あぅ……っ」
「……嘘つき。まだ、こんなにガチガチにしてらっしゃるのに？」

　シーモスの言葉通り、泰樹のソレは媚薬と自身が吐き出したモノで濡れそぼり、怒張している。

「……ねえ？　タイキ様。ここに、もっと気持ちいいモノが、欲しくありませんか？」
「ひぅっ……！　もっ、と……？」

　涙でぐずぐずに濡れた瞳が、シーモスを見上げる。体内を犯すシーモスの指が、コリコリと弱点をついてきて、思わず泰樹の腰がはねた。

「もっと太くて、熱くて、硬いモノで、ここを……ごりごり擦られたら……タイキ様はどうなってしまわれるのでしょうね？」
「や、だ、……っいら、ない……っ太くて、あ、ふぅ……硬いの、は……っ」

　かろうじて残った理性が告げる。それだけはいけない、と。

「へえ。もしかして、怖いのですか？　正体を無くされるほど、気持ちよくなるのが？」
「こわくねえ……っんっ……ほんとに、きもち、いいの、か……？　それっ……」

　とことんまで快楽を追い求めたら、イってもイっても終わらない、この生殺しのような状態から抜け出せるのか。
　くらり。視界が歪ゆがむ。だめだ。と誰かが、心の中で叫ぶ。

「……あ、あ、……いれてぇ……も、おかしく、なっち、まう、からぁ……っ」

　口をついてでた言葉が、理性を裏切る。ただ、快楽を貪りたい。ただ快感に溺れたい。その一心で。

「かしこまりました、タイキ様。少し力を抜いていて下さいませ。直ぐに良くして差し上げますから」

　そう笑って、シーモスは泰樹のよく馴らされた蕾に自身の先端を宛がう。初めは遠慮がちに、次第に深く、熱い楔くさびを沈めて行くにつれて、泰樹はびくりと身を震わせた。

「あ、あ、あ、……！　太い、あ、やめ、やっぱ、……無理ぃ……！」
「大丈夫。もう半分は入りましたよ、タイキ様」

　泰樹の泣き言を無視して、シーモスはすっかり自身を泰樹に飲み込ませる。

「さあ、動きます、よ？」
「あ、あっ……や、だ、ぁ……っ！　痛え……あ、ソコ、やだ、あ、ああっ……！　動くなぁ……！！」

　緩やかなストロークでさえ、初めての身にはこたえるのか。泰樹は泣きわめき、逃げ出そうとする。その腰を捕らえて、シーモスは容赦なく挿入を続けた。

「ふぅ……ひ、あ、っ……あぐっ……！　お、ぁ、あ、あ、あぁ……っ！」
「ああ……！　馴れて参りましたね、タイキ様。気持ち、よろしいでしょう？」

　打ち付ける速度が、増して。受け入れる泰樹の腰も、あわせて揺らめいている。

「……んぅーっ！！　あ、あぁ……わ、かん、ねぇ……！　へんっ……あたま、おかしく……っなる……っ！！」

　度を超えた快楽が、泰樹を壊していく。くわえ込んだモノが身を貫く度、背をのけぞらせ、うわごとのように嬌声きようせいを上げる。

「あ、あ、あぁ……！！　イくっ……また、イく、からぁ……！！」
「は、あ……っ……どうぞ？　もっと、もっと……沢山イって下さいませ……！」

　泰樹が、もう幾度目か解らない絶頂を迎えた瞬間。最奥を突いたシーモスが、熱を解き放つ。それを腹の中に感じながら、泰樹はゆるやかに意識を失った。