孤独な屋敷の主人について[完]

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秘密は柑橘の匂い

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「それね、弟がプレゼントしてくれたんだ」

 えへへ、と穏やかに微笑む彼が愛しくて胸が締め付けられる。同時に「弟」である自分に激しく嫉妬してしまった。
 オイルを手に垂らし、彼の首筋を撫でた。滑らかな触り心地に下半身が疼く。カルベルは気持ち良いのか、身を委ねていた。
 そのまま手を下ろし、服のボタンを外す。曝け出した胸元に指先を這わせた。胸の突起を掠めると、兄が鼻にかかったような声を漏らす。唇の端から溢れた甘い音に、眩暈がした。

「ん、あ、ぅ……あっ」

 控えめな突起を指先で潰したり、優しく引っ掻いてやる。いつもと違う感覚に戸惑っているのか、カルベルは手で口元を覆い、顔を真っ赤にさせ喘いだ。

「ん、……んっ、んー……」

 徐々に硬くなってきたそこを執拗に撫でる。兄が足をモゾモゾと動かし、息を上げた。

「あ、ぅ、う……む、くち、く……」

 はあはあと呼吸を乱し、額に汗を滲ませるカルベルが可愛くて思わず声を漏らしそうになる。きゅっと摘むと、腰が揺れた。

「む、くちくん、これは手に使う、やつ、だよ……」

 兄が拙い口調でそう言った。使い方が違うよと指摘されたが、俺は手を止めなかった。寧ろ彼を鳴かせるために、指先を動かす。執拗に撫でられた突起はピンと張り、脳の奥がチカチカするほど俺の興奮を擽る。色の薄いそこに舌を這わせると、カルベルが鋭い喘ぎをあげた。

「ひぅッ、う、っ~……! あ、なん、か、へんっ……」

 オイルと唾液が混じり合うと、どうやら気持ちがいいらしい。初めて知ったその事実に笑みを溢しながら、ちゅっと吸い付く。
 そのまま、空いた手を後孔へ滑らせた。ぬめりのあるオイルが、そこを解していく。ゆるりと指を忍ばせ、浅い位置で出し入れを繰り返す。

「あっ、あっ、あっ……」

 気持ち良いのか、蕩けた甘い声を漏らす。視線を上げると、とろんとした表情で喘ぐ兄が見えた。下半身が疼き、腰が重くなる。勃った自身を挿入してしまいたくなり、しかしその願望を押し殺す。
 突起から口を離し、後孔を攻めることに集中した。指を奥まで入れ込み、前立腺を潰すように押す。途端に彼の足がビクンと跳ね、背中が反った。

「お゛ッ────」

 兄の下品な声を聞いて、口の中に唾液が滲む。何度も指先に力を込めながら、オイルを追加する。ドロドロになったそこは、男性器を受け入れるためだけの箇所のように見えた。指をもう一本追加し、折り曲げる。前立腺を優しく撫でると、カルベルの性器から透明な液体が滲んだ。
 もう片方の手で、色の薄いそこを握りしめる。上下に優しく動かすと、兄が舌を出し喘いだ。

「あ、ぅ゛、だ、め、っ、ぼく、っあ────」

 潤んだ目が、どこかを見つめぼんやりとしている。口の端から垂れた唾液が頬を伝い、ベッドに染みていた。痙攣する体に、滲んだ汗。兄が快感に浸っているのだと実感し、余計に手の動きを強める。だめ、だめ、と繰り返すカルベルを無視し、彼の体内にあるしこりを撫でる。その度に、兄は面白いほど腰を揺らした。

「やめ、て……ッぼく、……だめ、っ、だめだか、らッ、ん゛、むくち、ぐ、────~ッ……!」

 撓む背中と、音にならない喘ぎ。兄の性器から白濁液が漏れ、俺は無意識に口角を歪めた。同時にビクビクと蠢く体内が指を締め付ける。名残惜しげに指を引き抜くと、それさえも気持ち良いのかつま先を痺れさせていた。

「あ゛ー……、あー……」

 放心状態のまま、合わない焦点で彼方を見つめる兄。そんな彼に口付けをした。歯列を舐め、口内へ舌を捩じ込む。まだ息が整わない彼は俺の舌を受け入れ、ちゅうと吸った。
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