永遠に君推し

中頭かなり

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宇宙でランデヴー

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「あ、おはようございます。今日は僕たち二人でお仕事なんですね。どうぞ、よろしくお願いします」

 モニターが敷き詰められた作業室で、俺はルイと鉢合わせた。ひと足さきに回転椅子に腰を下ろしていた彼が振り向き、にこりと白い歯を見せる。
 瞬間、俺は全身の力が抜けたかのようにその場に倒れた。

「ぎゃあ! 大丈夫ですか! ケイトさん!」
「致死量の笑みを浴びただけだ、気にしないでくれ」
「急に倒れたら気にしますよ!」

 ゆっくりと起き上がる俺に「無理しないで。今日は僕一人でやります」とルイが告げる。二人きりの時間を自ら無碍にするわけないだろ、と叫びそうになりながら彼の隣に座る。

「どうせ今日も暇ですし、ちょっとだけサボりませんか?」

 彼が思い出したようにパンと手を叩いた。思い立ったが吉日と言わんばかりに立ち上がり、部屋を出ようとする。くるりと振り返り手招きをした。

「行きましょう。ね?」

 その言葉は、まるで蜂蜜のようにドロリとしていて、俺は酩酊しかける。グッと息を呑み、大きく頷いた。



 ルイに導かれるがまま辿り着いたのは、地下だった。エレベーターで降り、足を踏み入れた途端、どんよりとした空気が蔓延る。まさかこんな暗いところでサボり? つまり、なんかその、いやらしい展開とかが待ち受けているのでは? と悶々としていた俺は、パッとついた明かりにより正気を取り戻す。
 目の前には目眩がしそうなほど茫洋とした空間が広がっていた。壁際に展示されているように並んでいる白い服へ視線を遣る。着るのも一苦労しそうなそれは、いわゆる宇宙服と呼ばれるものだ。金魚の水槽のようなヘルメットまで、ご丁寧に置かれている。
 ルイがそれを手に取り、俺へ渡した。

「これを、着るのか?」
「えぇ。一緒に外へ出ましょう」

 外とはつまり、船の外へ行くということか。俺は納得したように頷き、宇宙服を着てみる。
 ────色んな世界線を飛び回って、知ったことがある。それは、ルイが必ず死ぬということ。そして、その世界線の知識は脳に入っていなくても体に染み付いているということ。脳は理解できなくても、指先は勝手に動くのだ。つまり、俺が教員の仕事をしている世界線に飛んだら、頭は理解してなくても体が勝手に授業を行ってくれるということである。
 なんとまぁ、都合の良いことだろうか。俺は自分の夢に感謝をする。
 慣れた様子で宇宙服を着る俺を横目に、ルイも宇宙服を手に取る。

「えへへ、本当は無断で出ちゃいけないんですけどね」
「え!?」
「僕一人で怒られるのは怖いんで、道連れです」

 悪戯っ子のように微笑む彼があまりにも可愛くて、ヘルメットを床に投げつける。ルイに「そ、そんなに怒らなくても……」と怖がられてしまい、俺は荒ぶる癖をどうにかしなければ、と反省した。
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