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命短し恋せよ男子
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「はは、ただの夢の話だ。そして、これも夢。でも、どうやらこの夢は、幸せな夢らしい」
彼の手を引き寄せ、その甲に口付けをする。こんなことをしても、彼は拒絶できない。立場上、どのような行為に及んでもいい。彼を好きにできるのだ。
それが、傲慢なことだと理解はできた。けれど、これは夢だ。だからこのくらい許されるはずだ。
「ルイ。好きだ」
目をぱちくりと瞬かせたルイがぴくりとも動かない。いきなり主人から告白を申し込まれて、彼も動揺しているのだろう。
「それは、床入りのお誘いと捉えたら良いでしょうか?」
強張った顔のまま、彼が真剣に告げる。俺は勢いよく起き上がり声を荒げた。
「違う! 俺はそこまで、望んでな……いや、望んでいるけど!」
「……では、今ここで脱いだほうがよろしいでしょうか?」
「違う! 違う! ごめん、望んでない!」
俺は息を乱し、無我夢中で叫んだ。ルイが起き上がり、落ち着くように背中をさする。
「違うんだ……違わないけど、違うんだ……」
俺はルイとそういう行為をしてみたいと何度も強く願っていた。だからこそ、こういう夢を見ている。けれど、俺は無理やり彼を抱きたいわけじゃない。そんなの、愛じゃない気がしたのだ。(しかし、綺麗事を言っておきながら内心では彼の中に押し入り、吐き出してしまいたいと思っている自分もいる。人間とは愚かなものだ。特に俺)
「ルイ。これは命令でもなんでもない。ただ、俺はお前が好きだってことを伝えたかったんだ。無理に行為をしようとしたりはしない。ただ、その……アーンしてくれたり、手を繋いだり……頬にちょっとキスをしてくれたりしたらいいんだ……いや、これも傲慢だよな。けど、それぐらい、いいだろ……夢だし……」
ボソボソと呟く俺を、たえずルイが撫でてくれている。その目は哀れな人間を見るものに近い。きっと精神的に参っている主人を慰めているのだろう。
「ケイト様……僕は、あなたのためなら、なんでもします」
「なんでも!? 今、なんでもするって言った!?」
「え……えぇ。僕はあなたの執事です。ケイト様が望むなら、なんでもします。それに……」
ルイが視線を逸らした。どこか火照った頬に目が釘付けになる。恥ずかしげに唇を舐め、息を吸い込んだ。
「僕は、ケイト様のことをお慕いしております」
その瞬間、俺はひっくり返って後ろに倒れる。鋭い奇声をあげ、歓喜に悶える。ルイは俺を「大丈夫ですか」と必死の形相で支えた。「ルイ、もう一度いってくれ」。まるで物乞いするように震える手で彼に縋る。「ケイト様、お慕いしております」。ルイが真剣な瞳をしていた。そんな目に見つめられると、心臓が口から飛び出そうになる。全身に汗を滲ませながら、息も絶えだえにこう告げた。
「俺も、しゅきぃ……」
「存じ上げております」。ルイは穏やかな春のように微笑んだ。
彼の手を引き寄せ、その甲に口付けをする。こんなことをしても、彼は拒絶できない。立場上、どのような行為に及んでもいい。彼を好きにできるのだ。
それが、傲慢なことだと理解はできた。けれど、これは夢だ。だからこのくらい許されるはずだ。
「ルイ。好きだ」
目をぱちくりと瞬かせたルイがぴくりとも動かない。いきなり主人から告白を申し込まれて、彼も動揺しているのだろう。
「それは、床入りのお誘いと捉えたら良いでしょうか?」
強張った顔のまま、彼が真剣に告げる。俺は勢いよく起き上がり声を荒げた。
「違う! 俺はそこまで、望んでな……いや、望んでいるけど!」
「……では、今ここで脱いだほうがよろしいでしょうか?」
「違う! 違う! ごめん、望んでない!」
俺は息を乱し、無我夢中で叫んだ。ルイが起き上がり、落ち着くように背中をさする。
「違うんだ……違わないけど、違うんだ……」
俺はルイとそういう行為をしてみたいと何度も強く願っていた。だからこそ、こういう夢を見ている。けれど、俺は無理やり彼を抱きたいわけじゃない。そんなの、愛じゃない気がしたのだ。(しかし、綺麗事を言っておきながら内心では彼の中に押し入り、吐き出してしまいたいと思っている自分もいる。人間とは愚かなものだ。特に俺)
「ルイ。これは命令でもなんでもない。ただ、俺はお前が好きだってことを伝えたかったんだ。無理に行為をしようとしたりはしない。ただ、その……アーンしてくれたり、手を繋いだり……頬にちょっとキスをしてくれたりしたらいいんだ……いや、これも傲慢だよな。けど、それぐらい、いいだろ……夢だし……」
ボソボソと呟く俺を、たえずルイが撫でてくれている。その目は哀れな人間を見るものに近い。きっと精神的に参っている主人を慰めているのだろう。
「ケイト様……僕は、あなたのためなら、なんでもします」
「なんでも!? 今、なんでもするって言った!?」
「え……えぇ。僕はあなたの執事です。ケイト様が望むなら、なんでもします。それに……」
ルイが視線を逸らした。どこか火照った頬に目が釘付けになる。恥ずかしげに唇を舐め、息を吸い込んだ。
「僕は、ケイト様のことをお慕いしております」
その瞬間、俺はひっくり返って後ろに倒れる。鋭い奇声をあげ、歓喜に悶える。ルイは俺を「大丈夫ですか」と必死の形相で支えた。「ルイ、もう一度いってくれ」。まるで物乞いするように震える手で彼に縋る。「ケイト様、お慕いしております」。ルイが真剣な瞳をしていた。そんな目に見つめられると、心臓が口から飛び出そうになる。全身に汗を滲ませながら、息も絶えだえにこう告げた。
「俺も、しゅきぃ……」
「存じ上げております」。ルイは穏やかな春のように微笑んだ。
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