それはダメだよ秋斗くん![完]

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「ひ、ぐ、ぅ……! あっ、あ゛……ッ」

 逃げようとする腰を、秋斗が掴む。指先が白く変色するほど力強く掴まれ、引き寄せられた。ごちゅん、と部屋に音が響く。一番奥に当たり、足先から頭の先まで電気のような何かが駆けた。どっと汗が吹き出し、うまく呼吸が出来なくなる。

「あ゛────」

 パニックに陥りそうになる僕の腹を、秋斗が優しく撫でる。汗ばんだ手のひらがやけに心地よく、短く息を吸い込む。

「八雲くん、見て?」

 秋斗が子供のように囁く。一体何事だ、と視線を遣ると、彼は下半身を見ていた。

「っ、えっ……? な、……っ」

 僕は驚きのあまり口をあんぐりと開けた。何故なら秋斗の性器が全て収まっていないからだ。半分以上は入っているが、それでもまだ残っている事実に恐怖を孕む。

「……八雲くん、まだ入るよな?」

 ふふ、と短く笑う秋斗が怖くて唾液を嚥下する。しかし、もっと奥に、そして強引にして欲しいと願っている自分もいる。
 行き止まりにも関わらず腰をゆるゆると動かす秋斗が、ぐっと打ちつける。

「ぅ゛、……! ん、ぁ! だ、めっ、それ以上は、む、り゛……!」
「いけるって」
「ダメ、それは、だめ、だよ……! あき、と、くっ────!」

 秋斗が強引に性器を突き立てる。腹の、更に奥。亀頭が入ってはいけない部分へ侵入し、抉じ開ける。言葉にならない喘ぎを漏らし、背中を撓ませる。秋斗は僕の腰を掴んだまま、奥の感覚に恍惚な顔をしていた。

「ッ────……!」
「はっ……八雲くん、どう? どんな感じ?」

 手のひらで頬を撫でられる。肩で呼吸を繰り返し、秋斗を見上げる。彼が子供をあやすように呟いた。目を細め優しげな表情をしているが、腰は脅すように奥を抉っている。まるで真綿で首を絞められているようだ。

「っ、お、ぐ、……、いだい゛……っ」
「痛い? 本当? すっごい気持ちよさそうだけど」

 ゆるりと性器を撫でられ、体が跳ねる。あぅ、と喘いだ僕を見て、秋斗が心底嬉しそうに口角を歪めた。

「……八雲くんは無理やりされるのも、痛いのも好きなんだ?」
「ちが、ちが……」

 首を横に振るが、全く説得力がない。そんなこと自分が一番わかっている。だって僕の性器は今にも弾けそうだし、顔は蕩けきっているに違いない。ベッドシーツを握りしめ、腹の奥を殴られるような鈍痛に耐える。

「あ、あっ、~……っ、あ、はぁっ、ぅ゛」

 痛い、気持ちいい。相反した感覚が麻薬のように体を巡る。秋斗に侵食されたい。全てを奪われて、壊されて、支配されたい。
 彼になら、何をされてもいい────。

「八雲くん、すっごい顔してる……」
「あ、……ぅ……?」

 秋斗の声で我にかえる。彼が頬を染め、僕を見ていた。

「可愛い……すっごい好き。好き……」

 糸が切れたように彼が動きを早める。ゴツゴツと抉られ、息が止まる。逃れようと体が勝手に動く。しかし、秋斗はそれを許さないと言いたげに腰を掴む力を強めた。

「あ゛! あっ、ぎ、ど、く! あっ、だ、めっ、ほん、と、……~ッ!」
「はぁ、っ、やくも、くん」

 彼が体を倒し、僕を抱きしめた。耳元で好きだと何回も囁かれ、体だけではなく鼓膜まで侵される。脳にジンジンと滲み、まともな思考ができなくなる。
 背中に手を回した。汗ばんだ皮膚が触れ合い、滑る。思わず爪を立て、抱きついた。

「あ゛、っ、あぁ゛、ッ……!」
「あ、イク……ッ」

 動きが早まる。やがて中に収まっていた性器が膨らみ、奥に熱いものが放たれた。同時に肺が圧迫されるほどの力で抱きしめられる。太い腕の中に収まると、幸福感で泣きそうになった。

「……すき、八雲くん、すき……すきだ……」

 秋斗の呟きに、僕も、と返答する。その言葉に、彼は何も返さず無言で抱きしめる力を強めた。
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