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「や、……やめ、やめっ、やめてっ……!」
触手を足や手で払うが力及ばず、されるがまま引き摺られる。地面に爪を食い込ませ抵抗するが、血が滲むだけだ。
「い、っ、だ、……! ヒィ!?」
下半身にぬるりとした感覚が広がり、振り返る。真後ろに迫っているモンスターが臀部あたりに乗っていた。悲鳴を上げ、逃れるため足をバタバタと蠢かせる。
「いや、い゛や、食べないで、いや、し、死にたく、な゛ぃッ……!?」
力が抜けた。動けなくなり、つま先の感覚が無くなる。目を見開き、何が起こったのか脳内で整理する。しかし、何も思い浮かばない。
何が、何が、何が────。
振り返ると、モンスターが先ほどと同じ状態で臀部あたりに体を乗せていた。ギョロリとした目が、僕を見据えている。
足に力を入れる。動かない。両方の足が、全く動かない。まるで、切断されて足の付け根から取れてしまったかのような、そんな。
「う、うそ、うそ……?」
彼が触手を這わせながら、背中に迫る。ぬるぬるとした感覚が服越しに広がり、額に汗が滲んだ。捕食される自分が脳裏をよぎり、喉の奥が狭まる。
不意に、視界の端に愛用している剣が見えた。先ほどは咄嗟に逃げようと試みた。だが、今は逃げることさえ儘ならない。剣を取り、このモンスターを退治しない限り、逃れるのは無理だ。
腕を伸ばし、柄頭へ触れようとする。あと数センチで手が届く距離にあるそれは、希望の光のように見えた。
「ひっ!」
しかし、その希望は綺麗に打ち砕かれた。伸ばしていた手に触手が絡まる。そのまま、勢いよく引っ張られた。体を押さえつけられたまま腕を後ろへ曲げられる。骨の軋みに涙が滲んだ。痛いと唸る僕のことなど気にしていないモンスターは、腕に触手を這わせる。
「な、何、なにして────ひぎぃっ!」
瞬間、鋭い痛みが走った。全身を駆け巡り、脳の奥まで響く。耳鳴りがして、口の中に唾液が滲んだ。吐き気が込み上げ、思わず嗚咽する。
「いだ、いだい゛、いだ……っいたい゛、いだい」
一心不乱に泣き叫ぶ。鼻水が垂れ、呼吸が出来なくなった。
恐るおそる、視線を上げる。そこには関節とは逆の方向に曲がった自身の腕があった。
「う、腕、うで、うで……」
あまりの光景に思わず絶句する。今まで、モンスターを狩る際に怪我はたくさんしてきた。けれど、こんな大怪我はしたことがない。いつもはマリンやクレアがサポートしてくれたし、回復だってしてくれた。しかし、今は違う。僕は一人だし、誰も助けてくれない────。
急激に現実味が脳を支配する。これは本当にまずい状況だ。僕は一歩ずつ死へ近づいている。歯がガチガチと鳴り、眩暈がした。全身に走った鈍い痛みが、恐怖を加速させる。
「た、助け、誰か、助け、助けてぇ゛!」
劈くような悲鳴が洞窟内に響いた。反響し、何処にも当たらないまま、闇に溶けて消えていく。 足を動かして抵抗したいが、感覚がなく、動きもしない。
最後の足掻きで、残った手で地面を這う。だが、その手にも触手が絡み、心臓が冷えた。
触手を足や手で払うが力及ばず、されるがまま引き摺られる。地面に爪を食い込ませ抵抗するが、血が滲むだけだ。
「い、っ、だ、……! ヒィ!?」
下半身にぬるりとした感覚が広がり、振り返る。真後ろに迫っているモンスターが臀部あたりに乗っていた。悲鳴を上げ、逃れるため足をバタバタと蠢かせる。
「いや、い゛や、食べないで、いや、し、死にたく、な゛ぃッ……!?」
力が抜けた。動けなくなり、つま先の感覚が無くなる。目を見開き、何が起こったのか脳内で整理する。しかし、何も思い浮かばない。
何が、何が、何が────。
振り返ると、モンスターが先ほどと同じ状態で臀部あたりに体を乗せていた。ギョロリとした目が、僕を見据えている。
足に力を入れる。動かない。両方の足が、全く動かない。まるで、切断されて足の付け根から取れてしまったかのような、そんな。
「う、うそ、うそ……?」
彼が触手を這わせながら、背中に迫る。ぬるぬるとした感覚が服越しに広がり、額に汗が滲んだ。捕食される自分が脳裏をよぎり、喉の奥が狭まる。
不意に、視界の端に愛用している剣が見えた。先ほどは咄嗟に逃げようと試みた。だが、今は逃げることさえ儘ならない。剣を取り、このモンスターを退治しない限り、逃れるのは無理だ。
腕を伸ばし、柄頭へ触れようとする。あと数センチで手が届く距離にあるそれは、希望の光のように見えた。
「ひっ!」
しかし、その希望は綺麗に打ち砕かれた。伸ばしていた手に触手が絡まる。そのまま、勢いよく引っ張られた。体を押さえつけられたまま腕を後ろへ曲げられる。骨の軋みに涙が滲んだ。痛いと唸る僕のことなど気にしていないモンスターは、腕に触手を這わせる。
「な、何、なにして────ひぎぃっ!」
瞬間、鋭い痛みが走った。全身を駆け巡り、脳の奥まで響く。耳鳴りがして、口の中に唾液が滲んだ。吐き気が込み上げ、思わず嗚咽する。
「いだ、いだい゛、いだ……っいたい゛、いだい」
一心不乱に泣き叫ぶ。鼻水が垂れ、呼吸が出来なくなった。
恐るおそる、視線を上げる。そこには関節とは逆の方向に曲がった自身の腕があった。
「う、腕、うで、うで……」
あまりの光景に思わず絶句する。今まで、モンスターを狩る際に怪我はたくさんしてきた。けれど、こんな大怪我はしたことがない。いつもはマリンやクレアがサポートしてくれたし、回復だってしてくれた。しかし、今は違う。僕は一人だし、誰も助けてくれない────。
急激に現実味が脳を支配する。これは本当にまずい状況だ。僕は一歩ずつ死へ近づいている。歯がガチガチと鳴り、眩暈がした。全身に走った鈍い痛みが、恐怖を加速させる。
「た、助け、誰か、助け、助けてぇ゛!」
劈くような悲鳴が洞窟内に響いた。反響し、何処にも当たらないまま、闇に溶けて消えていく。 足を動かして抵抗したいが、感覚がなく、動きもしない。
最後の足掻きで、残った手で地面を這う。だが、その手にも触手が絡み、心臓が冷えた。
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