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その言葉に、弟は何も返さなかった。服の中に入れていた手を緩やかに動かし、胸の突起を撫でる。甲高い声が溢れ、僕は目を白黒とさせた。
こういう行為を、僕は知っている。ネットに転がっている動画を見たことがあるし、同級生がそれを見てはしゃいでいたのを知っている。
けど、そういうのは大人がすることで。ましてや兄弟ですることではない。
どこから情報を仕入れてきたのだろう。思考が停止した頭の中でそんなことを考える。
ぎゅうと乳首を摘まれ、体が痺れた。目の端に涙が溢れ、僕を組み敷くシュンを見上げる。
弟は、いつもと同じ表情をしていた。気に入らないことがあった時、怒りを何処かにぶつけたい時。そんな時に見せる瞳をしていた。彼の感情が汲み取れない。僕はどうして良いか分からず、その体を押し返した。
弟は九歳の時点で、三歳差の僕とほぼ変わらない体格をしていた。記憶の片隅にぼんやりと残る父の背中を思い出す。確か父はとても大柄な人間だった。その遺伝子を弟は上手く受け継いだのだろう。そのことが羨ましく感じる。
「シュン」
押し返そうと力を込めた手は意味を成さなかった。彼は微動だにせず、そのまま行為を続行する。
子供特有の柔らかな指先が突起に触れるたび、電気が走ったように体が跳ねた。声を漏らす僕が面白いのか、彼は顔を見つめたまま手を止めない。
「っ、ぅ、ゥ……っ」
「兄ちゃん」
強く瞑っていた目を開け、弟を見上げる。何処か熱っぽい瞳が僕を捉えていた。ゴクリと唾液を嚥下したシュンが、下半身を僕の体に擦り付ける。熱を持ち、硬くなったそれに目を剥いた。ゴリゴリと押し付けられ、頭が真っ白になる。
こんなことしちゃダメだ。そう繰り返す僕を無視し、シュンはズボンを脱ぎ捨てた。年相応の大きさと、相反して可愛げの無い勃ち方をしている性器を取り出す。
「ヒッ……」
「口あけて」
体を乗り上げ、口元へ性器を擦り付ける。唇に熱いそれが当たり、顔を顰めた。いやだ、と身を捩り抵抗するが髪を掴まれ引き寄せられる。まだ幼い肉の棒が唇の隙間から侵入し、固く閉じた歯列を撫でた。上唇の隙間へ入り込み、思わず口を開く。
瞬間、彼が腰を突き動かす。口内をまるで蚕食するように這い回る性器が恐ろしく、僕は目に涙を浮かべる。
反対にシュンは、恍惚そうな表情を浮かべていた。拙いながらも必死に腰を動かし、粘膜を使い快感を得ている。
「あっ、でる」
余裕のない声が頭上から落ちてきた。頭を引こうとした僕の髪を乱暴に掴み、腰を押しつける。喉の奥へ精液が飛び、咳き込みそうになった。それをグッと抑え、飲み下す。
喉の動きを確認し満足したのか、シュンは口から性器を引き摺り出し、息を吐き出した。僕は肩で呼吸を繰り返し、彼を押し退ける。喉に張り付いた性液を唾液で流そうと嚥下を繰り返す僕を横目にシュンは、無言でズボンをずり上げた。
その背中を見て、息を吐き出す。
────カッとなって、やっただけだ。どうせ、今日限りだ。
弟にされた屈辱的な行為を記憶から消そうと、固く目を瞑った。
しかし、この時の僕は知らなかった。この悪夢は始まったばかりだということを。
こういう行為を、僕は知っている。ネットに転がっている動画を見たことがあるし、同級生がそれを見てはしゃいでいたのを知っている。
けど、そういうのは大人がすることで。ましてや兄弟ですることではない。
どこから情報を仕入れてきたのだろう。思考が停止した頭の中でそんなことを考える。
ぎゅうと乳首を摘まれ、体が痺れた。目の端に涙が溢れ、僕を組み敷くシュンを見上げる。
弟は、いつもと同じ表情をしていた。気に入らないことがあった時、怒りを何処かにぶつけたい時。そんな時に見せる瞳をしていた。彼の感情が汲み取れない。僕はどうして良いか分からず、その体を押し返した。
弟は九歳の時点で、三歳差の僕とほぼ変わらない体格をしていた。記憶の片隅にぼんやりと残る父の背中を思い出す。確か父はとても大柄な人間だった。その遺伝子を弟は上手く受け継いだのだろう。そのことが羨ましく感じる。
「シュン」
押し返そうと力を込めた手は意味を成さなかった。彼は微動だにせず、そのまま行為を続行する。
子供特有の柔らかな指先が突起に触れるたび、電気が走ったように体が跳ねた。声を漏らす僕が面白いのか、彼は顔を見つめたまま手を止めない。
「っ、ぅ、ゥ……っ」
「兄ちゃん」
強く瞑っていた目を開け、弟を見上げる。何処か熱っぽい瞳が僕を捉えていた。ゴクリと唾液を嚥下したシュンが、下半身を僕の体に擦り付ける。熱を持ち、硬くなったそれに目を剥いた。ゴリゴリと押し付けられ、頭が真っ白になる。
こんなことしちゃダメだ。そう繰り返す僕を無視し、シュンはズボンを脱ぎ捨てた。年相応の大きさと、相反して可愛げの無い勃ち方をしている性器を取り出す。
「ヒッ……」
「口あけて」
体を乗り上げ、口元へ性器を擦り付ける。唇に熱いそれが当たり、顔を顰めた。いやだ、と身を捩り抵抗するが髪を掴まれ引き寄せられる。まだ幼い肉の棒が唇の隙間から侵入し、固く閉じた歯列を撫でた。上唇の隙間へ入り込み、思わず口を開く。
瞬間、彼が腰を突き動かす。口内をまるで蚕食するように這い回る性器が恐ろしく、僕は目に涙を浮かべる。
反対にシュンは、恍惚そうな表情を浮かべていた。拙いながらも必死に腰を動かし、粘膜を使い快感を得ている。
「あっ、でる」
余裕のない声が頭上から落ちてきた。頭を引こうとした僕の髪を乱暴に掴み、腰を押しつける。喉の奥へ精液が飛び、咳き込みそうになった。それをグッと抑え、飲み下す。
喉の動きを確認し満足したのか、シュンは口から性器を引き摺り出し、息を吐き出した。僕は肩で呼吸を繰り返し、彼を押し退ける。喉に張り付いた性液を唾液で流そうと嚥下を繰り返す僕を横目にシュンは、無言でズボンをずり上げた。
その背中を見て、息を吐き出す。
────カッとなって、やっただけだ。どうせ、今日限りだ。
弟にされた屈辱的な行為を記憶から消そうと、固く目を瞑った。
しかし、この時の僕は知らなかった。この悪夢は始まったばかりだということを。
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