みんなのたいちょう[完]

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「こわい、いや、……っ」
「怖くない。気持ちよくなるだけだ」

 ゴドフリーが頬をじっとりと撫でる。拘束していた男たちに「離れろ」と告げ、そのままルタを床に横たわらせた。
 即効性があるのか、ルタは頬を染め、肩で呼吸を繰り返している。じっとりと汗ばんだ皮膚に触れると、体温が高い。

「やっぱり、副作用がひどいのか? 隊長、気分はどうだ?」

 ルタは答えなかった。代わりに薄く開いた唇から掠れた声を漏らす。耳を澄ませてみても、言葉は形にならないものばかりで聞き取れなかった。

「……ッ」

 彼の目がどんどんと蕩けだす。潤んだ瞳が彷徨いながら俺を捉えた。その熱っぽさにドキリと胸が高鳴る。口元へ手を差し伸べた。吐き出す息が熱い。「やばい薬だったかもな、これ」とゴドフリーたちに問いかけた途端、手のひらにぬるりとした何かが這った。「うわ!」。俺は思わず素っ頓狂な声をあげる。
 ────ルタだ。ルタがベロベロとおぼつかない動きで、皮膚を舐めている。その目は弧を描いていて、どこか不気味だった。

「どうした?」
「な、なんか隊長が……」

 「ルパート」。舌足らずな声で名を呼ばれる。ルタが微笑みながら俺へ手を差し出した。

「きて」

 短くそう言われる。俺は導かれるように従った。途端に首に腕を回される。そのまま引き寄せられ、強引に唇を奪われた。

「んぐっ」
「ん、……んッ」

 ルタの口内は火傷するほど熱かった。唾液を啜られながら、舌を捩じ込まれる。首に回っていた腕の力が強まり、彼と密着した。

「んっ、る、ぱーと、まだ、まだ」

 口を離すと、ルタが舌を出し強請る。唾液の糸が切れ、たらりと彼の顎に落ちた。
 腑抜けた表情と本来の幼さが残る顔が相まって、余計に彼が未熟な少年のように見えた。

「すげぇ、これ、効果あるぞ……」

 目元を赤く染め、はあはあと呼吸を繰り返すルタの頬を撫でる。その手さえも舐めようとして舌を伸ばした。指を口内に入れ込むと、ちゅうちゅうとそれを吸う。舌で必死に愛撫する姿は下品で、下腹部が痛くなった。

「へぇ……おい、お前ら」

 ゴドフリーがルタのそばにいた男たちを呼んだ。彼らはパッと一斉に顔を上げる。

「本当に効果が出たのか知りたい。抱け」

 ニタリと下劣な笑みを浮かべ、顎で指示を出した。俺はルタから離れる。「ルパート、いかないで」と名残惜しそうに言われ、眩暈がした。

「た、隊長!」
「あっ」

 側で見ていた男がルタをぐいと引き寄せた。そのまま深く口付けをする。いつもは拒むルタだが、今回は違った。首へ腕を回し、ぐいと引き寄せる。深く口付けを交わし、頬を熱らせながら小さく喘いでいる。

「ん、はっ、んー……んっ」

 何度も上下する喉仏に、目が釘付けになった。ルタが必死に唾液を飲み、唇の端からも垂らしている。口を離した男に舌を伸ばし、唇を舐めた。男が「隊長……!」と感極まった声を出し、ルタを抱きしめる。ルタもまんざらではないのか「好き、好き」と連呼していた。その瞳はとろんとしていて淫猥だ。
 もう一人の男がルタの足を開き、反り立った性器を後孔に押し付ける。途端に「あっ」と媚びるような声を漏らした。

「あっ、あっ、あー……」
「隊長っ、ぐっ」
「あっ……ねぇ、キス、して」

 挿入した男に、ルタが強請る。頬へ手を伸ばし、舌を突き出した。男は間髪入れずキスをする。腰を打ち付けながら舌を絡める男に縋るように抱きつくルタの目は、虚ろとしていて、けれど蕩けそうなほど潤んでいる。弧を描き、嬉しそうに唾液を飲み下すルタは、今まで見たことがないほど腑抜けていた。
 「なんだ、効果あるじゃないか」。ゴドフリーが嬉しそうに呟き、鼻で笑った。ルタを抱いている男は、無我夢中で喘ぎを漏らしている。
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