みんなのたいちょう[完]

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愛の深度

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「はっ、た、たいちょ、っ、たいちょ」

 抑えきれなくなった声を漏らしながら、惨めに腰を振る。裏筋と亀頭を愛撫する唇は、俺を慰めるためだけにそこに存在しているかのように思えた。

「ぅ、っ、あ……」

 勢いよく吐き出された精液を自分の手で押さえる。しかし、興奮しすぎたようだ。液体は手に収まらないほど溢れていた。
 
 乱れた呼吸が静かな部屋に響く。吐き出した余韻に溺れながら、脳内が虚ろとする。
 ────やってしまった、やってしまった。
 俺はついに、やってしまった。隊長を本格的に「そういう目」で見てしまった。けれど、後悔はなかった。むしろ、もっと乱暴なことをしたいと思っている自分がいる。彼の奥深くに入り込み、吐き出したいとさえ願っている。

「……」

 ルタを見下ろす。自分が何をされたのか知らぬまま、夢の中に居る彼がどうしようもなく愚かで愛おしい。
 そんな彼をもっと汚してやりたくて、鈴口に溜まった精液を彼の歯列へ塗りつけた。

「うぅん……」

 ルタが小さく唸る。俺はバッと素早く体を離し、衣服を整えた。しかし、ルタは起きる気配がない。口元をもごもごと動かし、やがて寝返りをうった。
 そこで俺は我にかえった。立ち上がり、踵を返す。転びそうになりながら小屋を後にする。
 額に汗が滲み、首筋にまで垂れた。唇が戦慄き、歯がガタガタと震える。
 自分の小屋に入り、膝から崩れ落ちた。震えた手で額を拭い、乱れた呼吸を整える。
 ────バレてないだろうか?
 彼は起きていなかった。きっと明日、朝になっても先ほど起こった出来事に気がつかないだろう。なんてことない顔をしてみんなに指示を出すのだ。
 そうだ、そうに決まっている。

「……明日も早いんだ、寝よう」

 自分に言い聞かせ、ブランケットに包まった。無理やり目を瞑り、跳ねる心臓をなんとか落ち着かせる。未だにルタの唇の感触が頭から離れなかった。



「お前、昨日ルタの小屋で何やってたんだよ」

 俺の小屋に来たかと思えば、ニヤニヤしながらゴドフリーが尋ねてきた。俺は洗濯に出す衣類をまとめていた手を止め、体を強張らせた。固まった俺を見ながら、ゴドフリーが壁に寄りかかり肩を揺らし笑った。
 なんと返して良いか分からず、頬を引き攣らせる。指先が震え始め、口の中に溜まった唾液を嚥下した。俺の動揺っぷりがよほど面白いのか、ゴドフリーが悪魔のように口角を上げる。

「言えないのか?」

 彼は、何処からどこまで見ていたのだろうか。俺が小屋に入るところ? それとも中でおこなっていた行為? 出てくるところ? 口を開閉させた俺に痺れを切らせたのか、呆れたようにぼやく。

「口もきけなくなったのか? お前は」
「どこから見てた」

 素直に言葉が漏れた。動揺する俺に気分をよくしたのか、ゴドフリーが愉快そうに目を細める。
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