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◇
「アーデ」
澄んだ声が鼓膜を撫でる。体に誰かが乗っかっていた。馬乗りになっているのは、紛れもなくルタだ。スカイブルーの瞳を弧にさせ淡い金髪を掻き上げる彼は、奉られる女神のようにも見えたし、穢らわしい売女のようにも見えた。
「気持ちよくしてあげるよ」
ふふ、と小さく微笑む彼を見て、察した。これは夢だ、と。昼間に見た姿と全く違うルタに、唾液を嚥下する。男たちの体液に汚され、虚ろな瞳をしていた彼と乖離している姿は、この狂った催しが始まる前の清らかなルタそのものだ。
手を伸ばし、頬に触れる。柔い感触に脳の奥がチカチカとハレーションを起こした。
「ふふ、もう硬い」
ルタの指が、張り詰めた性器を撫でる。舌なめずりをしながら体を離し、俺の下半身に顔を埋めた。下着越しに頬擦りをするルタがこちらを見上げ、ニィと笑う。白く整った歯がやけに目立って見えた。
────ルタはこんな顔しない。
ルタは穢れを知らない戦士だった。誰よりも清らかで、美しかった。俺だけは、その姿を覚えていようと思った。けれど、俺は、俺は……こんな欲望に塗れた夢を見ている。
下着をずらしたルタが、亀頭を口に含んだ。飴を舐めるように愛撫する姿を見て、もうすでに爆ぜそうだった。
「あは、いっぱい、でてる」
先端から滲むカウパーを美味しそうに啜るルタの姿に耐えきれなくなり、彼の後頭部を掴む。そのまま喉の奥へ先端を叩きつけた。暖かな粘膜に包まれ、背中に快感が駆ける。鳥肌が立ち、涎が垂れた。
ルタはというと、恍惚とした目で喉の奥を犯されている。なんなら舌を使い、裏筋を刺激していた。かと思えば睾丸へ手を伸ばし、緩やかに撫でる。
「ん……ぐ、ん、ッ……っ」
髪を掴み、剥がす。喉からズルズルと引き摺り出された性器は、彼の唾液で塗れていた。肩で呼吸を繰り返す合間を見計らい、再度性器を叩きつける。ごちゅ、という音が響き、ルタが痙攣した。
「はっ、たいちょ、淫乱、ですねっ」
「っ────……! っ、ー……っ」
声を出せないルタが愛しい。必死に性器にしゃぶりつく姿に眩暈がした。
「あ、で、でるっ、たいちょ……!」
髪を掴み、ガツガツと揺さぶる。ルタは俺を見上げ、出していいよと言わんばかりに目を細めていた。
◇
夢精していた。俺は枕に顔を埋め、乱れた呼吸を整える。脳が爆発するほど興奮し、心臓がバクバクと動きを早める。股間の辺りでじっとりとした感覚が広がっていて、泣きたくなった。
「……っ」
脳裏にルタの蠱惑的な顔が浮かぶ。自分が作り出した妄想の産物だと分かっていても、彼は美しく、そして淫猥だった。
────彼を犯したい。彼を穢したい。彼を、彼を。
そう思っている自分がいる。彼を暴き、狂わせ、泣かせたい。じわじわと侵蝕する黒い感情は徐々に俺を蝕んでいった。
額に浮いた汗が徐々に冷える。窓から、目が眩むほどの朝日が差し込んでいた。
「アーデ」
澄んだ声が鼓膜を撫でる。体に誰かが乗っかっていた。馬乗りになっているのは、紛れもなくルタだ。スカイブルーの瞳を弧にさせ淡い金髪を掻き上げる彼は、奉られる女神のようにも見えたし、穢らわしい売女のようにも見えた。
「気持ちよくしてあげるよ」
ふふ、と小さく微笑む彼を見て、察した。これは夢だ、と。昼間に見た姿と全く違うルタに、唾液を嚥下する。男たちの体液に汚され、虚ろな瞳をしていた彼と乖離している姿は、この狂った催しが始まる前の清らかなルタそのものだ。
手を伸ばし、頬に触れる。柔い感触に脳の奥がチカチカとハレーションを起こした。
「ふふ、もう硬い」
ルタの指が、張り詰めた性器を撫でる。舌なめずりをしながら体を離し、俺の下半身に顔を埋めた。下着越しに頬擦りをするルタがこちらを見上げ、ニィと笑う。白く整った歯がやけに目立って見えた。
────ルタはこんな顔しない。
ルタは穢れを知らない戦士だった。誰よりも清らかで、美しかった。俺だけは、その姿を覚えていようと思った。けれど、俺は、俺は……こんな欲望に塗れた夢を見ている。
下着をずらしたルタが、亀頭を口に含んだ。飴を舐めるように愛撫する姿を見て、もうすでに爆ぜそうだった。
「あは、いっぱい、でてる」
先端から滲むカウパーを美味しそうに啜るルタの姿に耐えきれなくなり、彼の後頭部を掴む。そのまま喉の奥へ先端を叩きつけた。暖かな粘膜に包まれ、背中に快感が駆ける。鳥肌が立ち、涎が垂れた。
ルタはというと、恍惚とした目で喉の奥を犯されている。なんなら舌を使い、裏筋を刺激していた。かと思えば睾丸へ手を伸ばし、緩やかに撫でる。
「ん……ぐ、ん、ッ……っ」
髪を掴み、剥がす。喉からズルズルと引き摺り出された性器は、彼の唾液で塗れていた。肩で呼吸を繰り返す合間を見計らい、再度性器を叩きつける。ごちゅ、という音が響き、ルタが痙攣した。
「はっ、たいちょ、淫乱、ですねっ」
「っ────……! っ、ー……っ」
声を出せないルタが愛しい。必死に性器にしゃぶりつく姿に眩暈がした。
「あ、で、でるっ、たいちょ……!」
髪を掴み、ガツガツと揺さぶる。ルタは俺を見上げ、出していいよと言わんばかりに目を細めていた。
◇
夢精していた。俺は枕に顔を埋め、乱れた呼吸を整える。脳が爆発するほど興奮し、心臓がバクバクと動きを早める。股間の辺りでじっとりとした感覚が広がっていて、泣きたくなった。
「……っ」
脳裏にルタの蠱惑的な顔が浮かぶ。自分が作り出した妄想の産物だと分かっていても、彼は美しく、そして淫猥だった。
────彼を犯したい。彼を穢したい。彼を、彼を。
そう思っている自分がいる。彼を暴き、狂わせ、泣かせたい。じわじわと侵蝕する黒い感情は徐々に俺を蝕んでいった。
額に浮いた汗が徐々に冷える。窓から、目が眩むほどの朝日が差し込んでいた。
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