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彼女とあのカフェでパフェを食べる。
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私は額に滲む汗と火照った頬を感じながら、縺れる舌先を上手く動かした。小野田は凄いね、と感心したように声を上げる。
「正夢になってんじゃん」
そう言われれば、そうだ。私がONP錠で見た夢は、現実になった。目の前でチョコパフェを頬張った彼女が続ける。
「あなたの笑顔が夢で見た娘に似てなかったら、私はあなたに興味を抱いてないし、そうなれば、私とあなたはこの場に来て、パフェを食べることもなかった」
小野田がスプーンを咥えた。咀嚼しながら歌うように語る。
「パフェを食べることがなければ、あなたから夢の話を聞けなかったし、あなたの夢は正夢になることは無かった。なんだか、面白いですね」
もっと言えば、ONP錠で見た夢を語らなければ殺人未遂で死にかける運命でもなかったんだけどね。と、自身を皮肉るように歯を見せた。
「ところで。夢の私は、どんな女でした? 見た目通り、生意気そう? 意外に物静か? 清楚系?」
私は夢の中の彼女を思い出す。如何にも派手目な女性、という想像で作り上げた彼女と、目の前にいる彼女を比較し、苦笑いを漏らした。
「ほんのちょっと、派手でした」
小野田は肩を揺らし、笑った。どう? モノホンは意外と落ち着いてるでしょう? と、夢より薄めのメイクを施した目を弧にした。
「ねぇ。その夢では、他にどんなことをしてたんですか?」
いっそのこと、全てを正夢にしちゃいましょうよ。と、彼女は愉快そうに言った。いや、実は夢の中ではパフェを食べること以外に、なにもしてなくて。そう呟き、私は酸味のあるイチゴを口に含む。そういえば、夢では彼女から渡されたガトーショコラを食べられなかったし、パフェを半分以上残していたな。そう思い起こしていると、彼女が私のパフェを見つめている。どうかしましたか? と尋ねると、彼女は徐にガトーショコラのブロックをスプーンに乗せた。チョコソースと生クリームがついた、それ。彼女はスプーンを私へ向けた。
「これあげるから、イチゴください」
────夢と同じだ。
私は思わず吹き出し笑った。本当に正夢のようだ。
彼女は私の笑みの理由が理解できていないようで、頬を膨らませている。
「子供っぽいって思っているんですか?」
違いますよ。夢と同じなんです。そう伝えたかったが、話すのはこのガトーショコラを頬張ってからにしよう。きっと、彼女は驚くだろうな。想像するだけで、ワクワクする。
あーん、と指示をする彼女に従い、私は大きく口を開けた。
「正夢になってんじゃん」
そう言われれば、そうだ。私がONP錠で見た夢は、現実になった。目の前でチョコパフェを頬張った彼女が続ける。
「あなたの笑顔が夢で見た娘に似てなかったら、私はあなたに興味を抱いてないし、そうなれば、私とあなたはこの場に来て、パフェを食べることもなかった」
小野田がスプーンを咥えた。咀嚼しながら歌うように語る。
「パフェを食べることがなければ、あなたから夢の話を聞けなかったし、あなたの夢は正夢になることは無かった。なんだか、面白いですね」
もっと言えば、ONP錠で見た夢を語らなければ殺人未遂で死にかける運命でもなかったんだけどね。と、自身を皮肉るように歯を見せた。
「ところで。夢の私は、どんな女でした? 見た目通り、生意気そう? 意外に物静か? 清楚系?」
私は夢の中の彼女を思い出す。如何にも派手目な女性、という想像で作り上げた彼女と、目の前にいる彼女を比較し、苦笑いを漏らした。
「ほんのちょっと、派手でした」
小野田は肩を揺らし、笑った。どう? モノホンは意外と落ち着いてるでしょう? と、夢より薄めのメイクを施した目を弧にした。
「ねぇ。その夢では、他にどんなことをしてたんですか?」
いっそのこと、全てを正夢にしちゃいましょうよ。と、彼女は愉快そうに言った。いや、実は夢の中ではパフェを食べること以外に、なにもしてなくて。そう呟き、私は酸味のあるイチゴを口に含む。そういえば、夢では彼女から渡されたガトーショコラを食べられなかったし、パフェを半分以上残していたな。そう思い起こしていると、彼女が私のパフェを見つめている。どうかしましたか? と尋ねると、彼女は徐にガトーショコラのブロックをスプーンに乗せた。チョコソースと生クリームがついた、それ。彼女はスプーンを私へ向けた。
「これあげるから、イチゴください」
────夢と同じだ。
私は思わず吹き出し笑った。本当に正夢のようだ。
彼女は私の笑みの理由が理解できていないようで、頬を膨らませている。
「子供っぽいって思っているんですか?」
違いますよ。夢と同じなんです。そう伝えたかったが、話すのはこのガトーショコラを頬張ってからにしよう。きっと、彼女は驚くだろうな。想像するだけで、ワクワクする。
あーん、と指示をする彼女に従い、私は大きく口を開けた。
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