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デートはどこまでお約束で?1
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「思いきって、告白したら……先輩、僕とつき合ってくれるって!」
「すごーい! 良かったねぇっ」
文化祭が終わった後、Sクラスは一致団結――なんてことは、当たり前だが全く無く。
ただし、一部生徒(主にチワワ)が盛り上がっていると言うか、浮かれてるおかげで俺への風当たりは少し弱くなっていた。
朝から、女子のような会話をくり広げているチワワ達に、奏水がやれやれとため息をつく。
「文化祭が終わった後、一学期で三年生が部活を引退するから……この時期、こんな感じになるんだよね」
「あそこだけ、お花畑みたいだよね♪」
「お花畑? あた……」
「真白」
一茶の言葉に、さりげなく酷いことを言いそうだった真白を、俺は名前を呼んで止めた。
いや、きょとんとしてるけどお前、今、絶対「頭がか?」とか言いそうだっただろ?
「出灰、何見てるの?」
「『るるる』」
そんなツッコミを入れつつ、携帯を見ている俺に奏水が尋ねてくる。
答えた俺が見ていたのは『見る・着る・食べる』の最後の『る』を並べたのが由来な、情報誌のホームページだ。百均には行ったけど、改めて街に遊びに行ったことがないから店とか知らないんだよな。
「今度の土曜日、かー……会計様と出かけるから。リサーチ」
「「「えっ!?」」」
「……えっ?」
瞬間、三人が驚いたような声を上げたのに俺も驚く。
今は他の生徒もいるんで『会計様』呼びをしたが、俺とかー君が幼なじみだってことは真白達に言ってある。なのにどうして、こんなに驚かれるんだろう?
「デートか、出灰!?」
「は?」
「きちんとコースを決めるとか、男前だね! 会計様受けも、オイシイよね♪」
「何?」
「真白、一茶……まあ、でも、リサーチとか意外とマメなんだね」
「……ああ」
二人に質問されて戸惑ったけど、奏水の言葉でようやく理解した。そっか、刃金さんの時はついてくだけだったもんな。
そもそも男二人でデートってとは思うが、かー君の気持ちを知ってるんでそれは言わないでおく。
「俺、店とか遊ぶ場所って知らないから」
答えになっているような、なっていないようなことを答えたところで次の授業を知らせるチャイムが鳴る。
俺はネットの接続を切って、携帯をズボンのポケットに入れた。そして教科書とノートを出しながら、声に出さずに呟いた。
(次の休みには、ちゃんとかー君を『おもてなし』しないとな)
※
文化祭の準備を始めた頃、同時進行で俺は『デリ☆』に新作を公開した。
表紙は、かー君が描いてくれて。タイトルは、桃香さんが言った『灰かぶり君』にした。
……今まで書いていた『天使の花園(てんはな)』と、読者層が被らない(何しろボーイズラブだ)とは思ってた。
『デリ☆』では、作者側で十五人くらいは誰が読んでくれたか解るんだが、何人か以外はまるで知らない名前ばかりだった。
そう、読んでは貰ってる。だけど、他のクリエーター達が書いている小説と違って、全く反応がない。
(やっぱり男の俺が書いてる小説じゃ、読者さんの萌えどころと違うのかな)
それはそれで仕方ないと思うんだが、せっかく表紙を描いてくれたかー君には本当に申し訳ない。だから俺は考えた。そして、決意した。
(元々、出かける約束はしてたけど……今回は、かー君にいっぱい楽しんで貰おう)
「すごーい! 良かったねぇっ」
文化祭が終わった後、Sクラスは一致団結――なんてことは、当たり前だが全く無く。
ただし、一部生徒(主にチワワ)が盛り上がっていると言うか、浮かれてるおかげで俺への風当たりは少し弱くなっていた。
朝から、女子のような会話をくり広げているチワワ達に、奏水がやれやれとため息をつく。
「文化祭が終わった後、一学期で三年生が部活を引退するから……この時期、こんな感じになるんだよね」
「あそこだけ、お花畑みたいだよね♪」
「お花畑? あた……」
「真白」
一茶の言葉に、さりげなく酷いことを言いそうだった真白を、俺は名前を呼んで止めた。
いや、きょとんとしてるけどお前、今、絶対「頭がか?」とか言いそうだっただろ?
「出灰、何見てるの?」
「『るるる』」
そんなツッコミを入れつつ、携帯を見ている俺に奏水が尋ねてくる。
答えた俺が見ていたのは『見る・着る・食べる』の最後の『る』を並べたのが由来な、情報誌のホームページだ。百均には行ったけど、改めて街に遊びに行ったことがないから店とか知らないんだよな。
「今度の土曜日、かー……会計様と出かけるから。リサーチ」
「「「えっ!?」」」
「……えっ?」
瞬間、三人が驚いたような声を上げたのに俺も驚く。
今は他の生徒もいるんで『会計様』呼びをしたが、俺とかー君が幼なじみだってことは真白達に言ってある。なのにどうして、こんなに驚かれるんだろう?
「デートか、出灰!?」
「は?」
「きちんとコースを決めるとか、男前だね! 会計様受けも、オイシイよね♪」
「何?」
「真白、一茶……まあ、でも、リサーチとか意外とマメなんだね」
「……ああ」
二人に質問されて戸惑ったけど、奏水の言葉でようやく理解した。そっか、刃金さんの時はついてくだけだったもんな。
そもそも男二人でデートってとは思うが、かー君の気持ちを知ってるんでそれは言わないでおく。
「俺、店とか遊ぶ場所って知らないから」
答えになっているような、なっていないようなことを答えたところで次の授業を知らせるチャイムが鳴る。
俺はネットの接続を切って、携帯をズボンのポケットに入れた。そして教科書とノートを出しながら、声に出さずに呟いた。
(次の休みには、ちゃんとかー君を『おもてなし』しないとな)
※
文化祭の準備を始めた頃、同時進行で俺は『デリ☆』に新作を公開した。
表紙は、かー君が描いてくれて。タイトルは、桃香さんが言った『灰かぶり君』にした。
……今まで書いていた『天使の花園(てんはな)』と、読者層が被らない(何しろボーイズラブだ)とは思ってた。
『デリ☆』では、作者側で十五人くらいは誰が読んでくれたか解るんだが、何人か以外はまるで知らない名前ばかりだった。
そう、読んでは貰ってる。だけど、他のクリエーター達が書いている小説と違って、全く反応がない。
(やっぱり男の俺が書いてる小説じゃ、読者さんの萌えどころと違うのかな)
それはそれで仕方ないと思うんだが、せっかく表紙を描いてくれたかー君には本当に申し訳ない。だから俺は考えた。そして、決意した。
(元々、出かける約束はしてたけど……今回は、かー君にいっぱい楽しんで貰おう)
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