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転校初日と、食堂イベント1
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俺は、朝飯はご飯派だ。朝はやっぱり米を食わないと、一日調子が狂う。
とは言え、米だけだとそれはそれで寂しいんで、今日の朝飯は『おにぎり・豚汁・玉子焼き』だ。ちなみに豚汁は夜、カレーにリメイクする。
「「「いただきますっ」」」
今までは俺一人だったが、今日からは一茶・奏水・真白も一緒に食べることになった。
……どうして、こうなったのか。それは、昨日の夕方に遡る。
※
あの後、俺は腐男子と可愛いの――一茶と奏水に自己紹介をした。それから下の名前呼びは苦手なことを伝えると、真白の時みたいに話は丸く収まった。
俺が言うのも何だけど、二人とも寮長同様出来た人間だよな。まあ、ホスト担任が出来てないとも言うけど。
「谷君は右、使って」
一茶達の部屋の移動は、寮長の指示で昨日のうちに終わっていた。
そんな訳で用意されていた俺の部屋は、パーテーションじゃなく壁とドアでしっかり仕切られていて。しかもドアは、中から鍵をかけることも可能だった。
(プライバシー? それとも、貞操を守る為か?)
なんて笑えないことを考えつつ、荷物の整理をしていたら一茶から声がかけられた。
「晩御飯、サンドイッチで足りる?」
「作ったのか?」
「ハズレ。俺に、オカン属性はないよ」
何でも一茶と奏水は、顔重視の傾向があるこの学校で、結構人気があるらしく。昼は学食に(一茶の萌え探しの為に)行くが、朝晩はコンビニで買ってるらしい。
「と言う訳で、俺から谷君に転入祝いね」
「……特待生って、コンビニでの買い物もタダか?」
「えっ? あ、うん、そうだけど?」
「なら俺、明日から朝晩作るから、ついでにお前のも作ってやる」
「えぇっ!? 平凡で小柄で料理もするなんて、どれだけ萌えキャラなの!?」
「そうか、お前は飯いらないんだな」
「申し訳ありませんでしたっ」
途端に土下座する一茶を見て、俺は「金持ちなのにケチなのか、無茶苦茶ノリが良いのか」と考えた――うん、多分後者だな。
奏水もだけど、真白も料理を作ったことがないらしい。だから二人にも、朝晩俺が作ることを提案したら大喜びされた。
俺としては(タダとは言え)出来合いばっかりだと飽きるからなんだけど――これが、金持ちと庶民の違いかね?
その後、一茶に教えて貰った(目立つから連れては行かなかった)コンビニは、ほぼスーパーで。生徒や教師が利用するそうだ。
そこで野菜や米、あと肉を買って今朝に至る。庶民の飯で大丈夫かと思ったけど、三人ともあっという間に完食したんで問題なさそうだ。
それにしてもネット環境にキッチン、テレビに洗濯機――ここは、マンスリーマンションか? 金持ちは、ガキの頃から恵まれてるんだな。
一茶達は最初、職員室まで案内するって言ってくれた。
断ったのは俺だ。二人と登校したら、教室でのお約束(妙にハードルを上げられ、勝手に幻滅して文句を言われる)が実現しないかもしれない。そう一茶に言うと「ありがとう、心の友よっ!」とひどく感動された。
……と、そう言えば。
「一茶って昨日の、変態と真白がキスしたの見てないんだよな?」
「授業中だったからね。小説みたいに朝、来てくれるんだったら絶対待ち伏せたけどっ」
拳を握って力説する一茶を放置し、ブレザーを着ながらふむ、と俺は考えた。
王道展開だと、腐男子は転校生の出迎えイベントをしっかりチェックしてる。
授業免除があるのは生徒会&風紀委員、あと学年三位までの成績優秀者で。昼過ぎってイレギュラーだったから、来れなかったって考え方も勿論、出来るけど。
(もしかしたら……もう一人くらい、腐男子いるかもな)
※
他の生徒達が登校した頃、俺と真白も寮を出た。そして一階にある職員室へ、昨日のホスト担任のところへ行った。
「おはようございます」
「おはよう、橙司!」
「よう、真白……と、谷」
思いっきりおまけ対応、ありがとうございます。ここまで露骨だと、逆に執念を感じ……ないな。うん、ないないない。執念を持たれる、理由がないからな。
そう結論を出したところで、チャイムが鳴る。
席を立った担任の後に、俺と真白はついて行った。一年は三階、二年は二階、そして三年は一階を利用している。そんな訳で俺達は階段を登り、やがてSクラスへと到着した。
「ここで待ってろ。俺が呼んだら、入って来い」
そう言って、担任が教室に入った途端に生徒達から声が上がる。
「先生、今日も素敵です。抱いて下さい!」
「抱かせろーっ」
「ホストー」
……黄土色(甲高い声と野太い声だかららしい、納得)の歓声の中、とりあえず最後のが一茶なのは(知ってる声だし)解ったけど。
百歩譲って、最初のはともかく――いや、駄目だな。毎日コレとか、はっきり言って学級崩壊だろ?
「うるせぇぞ。馬鹿の一つ覚えのこと言っても、ガキは相手にしねぇし俺はバリタチ。あと柏原、何度も言うが誰がホストだ」
そして担任。まずは、騒ぎ自体を止めろ。
とは言え、米だけだとそれはそれで寂しいんで、今日の朝飯は『おにぎり・豚汁・玉子焼き』だ。ちなみに豚汁は夜、カレーにリメイクする。
「「「いただきますっ」」」
今までは俺一人だったが、今日からは一茶・奏水・真白も一緒に食べることになった。
……どうして、こうなったのか。それは、昨日の夕方に遡る。
※
あの後、俺は腐男子と可愛いの――一茶と奏水に自己紹介をした。それから下の名前呼びは苦手なことを伝えると、真白の時みたいに話は丸く収まった。
俺が言うのも何だけど、二人とも寮長同様出来た人間だよな。まあ、ホスト担任が出来てないとも言うけど。
「谷君は右、使って」
一茶達の部屋の移動は、寮長の指示で昨日のうちに終わっていた。
そんな訳で用意されていた俺の部屋は、パーテーションじゃなく壁とドアでしっかり仕切られていて。しかもドアは、中から鍵をかけることも可能だった。
(プライバシー? それとも、貞操を守る為か?)
なんて笑えないことを考えつつ、荷物の整理をしていたら一茶から声がかけられた。
「晩御飯、サンドイッチで足りる?」
「作ったのか?」
「ハズレ。俺に、オカン属性はないよ」
何でも一茶と奏水は、顔重視の傾向があるこの学校で、結構人気があるらしく。昼は学食に(一茶の萌え探しの為に)行くが、朝晩はコンビニで買ってるらしい。
「と言う訳で、俺から谷君に転入祝いね」
「……特待生って、コンビニでの買い物もタダか?」
「えっ? あ、うん、そうだけど?」
「なら俺、明日から朝晩作るから、ついでにお前のも作ってやる」
「えぇっ!? 平凡で小柄で料理もするなんて、どれだけ萌えキャラなの!?」
「そうか、お前は飯いらないんだな」
「申し訳ありませんでしたっ」
途端に土下座する一茶を見て、俺は「金持ちなのにケチなのか、無茶苦茶ノリが良いのか」と考えた――うん、多分後者だな。
奏水もだけど、真白も料理を作ったことがないらしい。だから二人にも、朝晩俺が作ることを提案したら大喜びされた。
俺としては(タダとは言え)出来合いばっかりだと飽きるからなんだけど――これが、金持ちと庶民の違いかね?
その後、一茶に教えて貰った(目立つから連れては行かなかった)コンビニは、ほぼスーパーで。生徒や教師が利用するそうだ。
そこで野菜や米、あと肉を買って今朝に至る。庶民の飯で大丈夫かと思ったけど、三人ともあっという間に完食したんで問題なさそうだ。
それにしてもネット環境にキッチン、テレビに洗濯機――ここは、マンスリーマンションか? 金持ちは、ガキの頃から恵まれてるんだな。
一茶達は最初、職員室まで案内するって言ってくれた。
断ったのは俺だ。二人と登校したら、教室でのお約束(妙にハードルを上げられ、勝手に幻滅して文句を言われる)が実現しないかもしれない。そう一茶に言うと「ありがとう、心の友よっ!」とひどく感動された。
……と、そう言えば。
「一茶って昨日の、変態と真白がキスしたの見てないんだよな?」
「授業中だったからね。小説みたいに朝、来てくれるんだったら絶対待ち伏せたけどっ」
拳を握って力説する一茶を放置し、ブレザーを着ながらふむ、と俺は考えた。
王道展開だと、腐男子は転校生の出迎えイベントをしっかりチェックしてる。
授業免除があるのは生徒会&風紀委員、あと学年三位までの成績優秀者で。昼過ぎってイレギュラーだったから、来れなかったって考え方も勿論、出来るけど。
(もしかしたら……もう一人くらい、腐男子いるかもな)
※
他の生徒達が登校した頃、俺と真白も寮を出た。そして一階にある職員室へ、昨日のホスト担任のところへ行った。
「おはようございます」
「おはよう、橙司!」
「よう、真白……と、谷」
思いっきりおまけ対応、ありがとうございます。ここまで露骨だと、逆に執念を感じ……ないな。うん、ないないない。執念を持たれる、理由がないからな。
そう結論を出したところで、チャイムが鳴る。
席を立った担任の後に、俺と真白はついて行った。一年は三階、二年は二階、そして三年は一階を利用している。そんな訳で俺達は階段を登り、やがてSクラスへと到着した。
「ここで待ってろ。俺が呼んだら、入って来い」
そう言って、担任が教室に入った途端に生徒達から声が上がる。
「先生、今日も素敵です。抱いて下さい!」
「抱かせろーっ」
「ホストー」
……黄土色(甲高い声と野太い声だかららしい、納得)の歓声の中、とりあえず最後のが一茶なのは(知ってる声だし)解ったけど。
百歩譲って、最初のはともかく――いや、駄目だな。毎日コレとか、はっきり言って学級崩壊だろ?
「うるせぇぞ。馬鹿の一つ覚えのこと言っても、ガキは相手にしねぇし俺はバリタチ。あと柏原、何度も言うが誰がホストだ」
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