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第二章

新歓開始

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 新入生歓迎会は例年通り、校舎に隣接した講堂で開催された。
 私は、ビアンカ様と商人であるそのご主人に頼んで色んな、けれど全て真っ白な花を用意して貰い、会場に飾った。
 そしてテーブルに並べたのは、修道院で作った食べ物である。食べ盛りの男子生徒達もいるのでお菓子だけではなく、保存食であるイワシの油漬けを使ったサンドイッチや、パスタも用意した。とりあえず、生徒達の反応は悪くない(気になるのかチラチラ見ている)ようだ。

(ビアンカ様、クロエ様、アントワーヌ様……助けてくれた皆様、ありがとうございます)

 心の中でお礼を言って、修道服の私は制服姿の一年生達を迎えた。生徒会役員の中にいる私を見て、何かを感じたのか一年生達が緊張するのが解ったが――ただ一人、アリアだけは警戒するように私を睨んでいた。

(えっと、脳筋エドガーとの交際宣言とかではないから……まあ、少し話はするけど)

 一年生歓迎会は、生徒会役員に任されているので今、この場に教師達はいない。そして生徒達は、それぞれ同じ派閥の者達同士でテーブルに集まったようだが、違う派閥の者達とは距離がある。
 ……ある、のだが。テーブルのお菓子や軽食同様、生徒達はチラチラ互いを気にしているのが解る。
 教師がいないのは、好都合だ。そう思い、私は制服姿の一年生が全員入場したのを見計らった。そして講堂の壇上にある講演者台へと向かい、一同の視線が集まったところで口を開いた。

「ごきげんよう。臨時講師のイザベルです。本日はささやかですが、我がタリタ修道院でこの歓迎会の為のお菓子や軽食、そしてお花を用意させて頂きました。ちなみに花の色は『何者にもなれる』ことを示す為、白に統一しています」

 そこで一旦、言葉を切るがアリア達一年生達の視線は向けられたままだった。少なくとも拒絶はされていないと感じ、けれど人見知りとしては咄嗟に腰が退けそうになるのを何とか堪えながら話の先を続けた。寝坊まではしないと思うが、今夜はクタクタになって即爆睡だと思う。

「この花の色は、皆様です。そしてこの学園は家ではなく個で過ごし、己の未来をしっかり見据える為の学びの場です。勿論、周りに迷惑をかけてはいけませんが……己と向き合い、変に型にはまることなく、限られた時間を自分の為に有意義に使って下さい。皆様に、幸運が訪れますように」

 そこで祈るように手を組んで、私は一同に微笑みかけた。
 ……しん、と講堂中に沈黙が落ち。
 次いで釘を刺しつつ、綺麗にまとめた話に拍手が起こったことに私はこっそり、安堵の息を吐いた。

(『口実』は用意したわよ? せいぜい、利用してちょうだいね?)
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